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空き家の放置は「リスク」と隣り合わせ
空き家を持っているだけでお金が出ていきます
相続したご実家や住まなくなったご自宅を活用しないで、そのまま放置してしまっていませんか?
「どうせ高く売れないでしょ」「どうやって売ればいいかわからない」 などの理由で空き家を放置しているとしたら、それはとてももったいないことです。空き家は所有しているだけで、固定資産税などの税金や管理のための費用がかかりますからね。
2014年に成立した「空き家対策特別措置法」により、放置されている空き家への風当たりは強くなっています。従来までは、空き家だとしても住宅が建っている土地の固定資産税は最大1/6にまで優遇されていました。しかしこの法律により、管理不行き届きの空き家(特定空き家)と判断された場合、固定資産税の優遇は撤廃されるようになっています。つまり空き家が特定空き家になったら固定資産税の税率が上がるのです。
また行政は、固定資産税の優遇を撤廃するだけではなく、空き家所有者に対して罰金を課したり、空き家を強制撤去できたりする権限を持つようになりました。
空き家の放置は、大きなリスクと隣り合わせでもあるので注意が必要です。しかし、実際はどうしていいか分からなくて放置という方も多いようですね。
空き家を放置しているのなら、早く、スムーズに売却するべきです。ここからは空き家を売る方法とともに、スムーズに売るための注意点の流れと手順をお伝えします。
空き家の3つの売却方法
空き家の売却方法には、次の3つが考えられます。
- そのまま売却する
- 建物を解体して空き地として売却する
- 業者に買い取ってもらう
これ以外にも人に貸して家賃をもらう方法もありますが、今回は空き家を売却することに絞って解説します。
それでは、ひとつずつ、メリットやデメリットを見ていきましょう。
1.そのまま売却する
一番簡単なのは、空き家をそのまま売ることです。「そのまま売る」というのは、建物の取り壊しもリフォームもしないで、不動産会社に仲介してもらって中古物件として売るという意味です。
建物を解体しなくても、「古家つき」の土地として売却することもできます。 そのまま売るメリットは、手元に残るお金が3つの売却方法の中で一番高いということです。解体やリフォームのための費用がかかりませんし、一般消費者に向けて売ることで相場通りの売却が見込めます。
その反面、必ず売れるとは限らないという点がデメリットだといえるでしょう。売れないときの理由は以下のように様々考えられますが、その場合は値段を再検討したり、他の売却方法を検討したりします。
- 価格が高い
- 古い建物が土地の価値を下げている
- 立地が悪い
- 接道状況が悪い
2.建物を解体して土地として売却する
続いての売却方法は、建物を解体してから空き地にして土地として売る方法。空き家が古く、人が住める状況にないときは、更地にした方が購入したいと考える人は増えると考えられます。
また建物を解体して売るメリットの1つに、「相続空家の3,000万円特別控除」が適用になるという税制メリットもあげられます。この控除特例は、相続した空き家売却時の売却益(譲渡所得)から最大3,000万円が控除でき、課税される所得税や住民税をゼロにしたり、引き下げたりできるものです。適用要件の1つに、「相続した家屋の全部の取り壊しをした後に敷地を売却したこと」とあります。その他の主な適用条件は、以下の通りです。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- マンションではなく戸建て・相続の直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
- (建物を解体しない場合)売却時において一定の耐震基準を満たすものであること
- 相続開始から3年後の12月31日までに売ること (参考:国税庁)
一方、建物を解体してから売るデメリットは、解体費用がかかることです。一般的な大きさの木造住宅なら、解体費用に100万円前後はかかります。この費用を売却金額に上乗せすることができればいいのですが、多くの場合それはできません。解体したとしても売れない可能性があることもまた、考えなくてはなりません。また、解体せずに古家付きの土地として売る方法もあります。
3.業者に買取してもらう
「どうやっても売れない」というときや、「解体など余計な手間暇かけずに、すぐに売りたい」という場合に検討するのが、不動産買取業者に空き家を買い取ってもらうという方法です。不動産会社に空き家売却を仲介してもらって買主を探すのではなく、不動産業者に買主になってもらうという売却方法になります。
業者に買取してもらうメリットは、即時売却できること。早ければ数週間で空き家を売り切ることが可能です。買主が業者なのでローン審査などはなく、即金即決で買取してもらえるんですね。その他のメリットは、次のような点です。
- 仲介ではないので仲介手数料が不要
- 瑕疵担保責任の免責
- 解体やリフォーム不要
いいことづくめにも見えますが、業者買取には大きなデメリットがあります。それは売却金額が安くなってしまうこと。不動産業者による買取は、相場価格の7割ほどになるのが一般的です。買取業者は、買い取った空き家を解体したり、リノベーションしたりして販売することで利益を得ます。そのため「仕入れ」である買取は、相場通りにとはいかないものなんですね。
スムーズに空き家を売却するためにするべき3つのこと
3つの空き家売却方法をみてきましたが、一番スムーズに売れるのは業者買取です。ただし売却金額もあきらめたくないのであれば、まずは一般的な「仲介」によって売却してみるべきでしょう。いずれの場合においても、空き家をスムーズに売るためには、次の3つことを速やかにおこなうべきです。
相続登記
空き家を相続したときは、すぐに相続登記の手続きをしましょう。相続登記は義務ではありませんし、期限などもありません。しかし登記して所有権を自分に移していない不動産は、売却することができません。所有権を第三者に主張するためにも、登記することは重要です。
遺産分割でもめたり、権利関係が複雑であったりする場合は、相続登記できるまで時間を要することもあります。スムーズに空き家を売るためには、弁護士や司法書士などに相談して、速やかに相続登記しましょう。
また、お金と違って家は分割できないためご兄弟で共有名義で家を相続しているケースもあります。売却の場合は住民票や印鑑証明等の書類が必要ですが、共有名義のばあいは名義者全員の書類が必要になります。
遺品整理・片付け
相続した実家や、それまで住んでいた住宅は、家具や家財の荷物が置き去りになっていることがよくあります。そのままの状態で売りに出せないわけではありませんが、荷物が溢れかえっている家なんて買いたくないですよね?早期売却のためには、できる限り家の中が何もない状態にしておくべきです。
空き家が遠方にあったり、荷物が多かったりする場合は、遺品整理業者や不用品処分業者にお願いして家の中を綺麗にしてもらうことができます。しっかりした業者に頼めば、思い出の品や貴重品をゴミに出されるようなことはありません。むしろこのような業者はプロの鑑定士なども在籍しているため、一度に片付けや不用品買取を済ませることができて楽かもしれませんよ。
空き家の査定
相続登記や家の片付けより優先させてもいいくらいなのが、空き家の査定です。「いくらで売れるか」の見込みがわかれば、遺産分割が進む可能性もありますし、片付けるための活力にもなるはずです。
「お父さんが建てた思い出が詰まった大事な実家」だと手放すことに反対する親族も、二束三文にしかならないという査定が出た場合には、業者買取を検討することもできます。査定は無料ですので、まずは依頼してみるといいと思いますよ。
不動産一括査定サイトを使って複数の不動産会社に見積もり査定を出してもらう方法が手軽かと思います。不動産の店舗に行く必要もなく、自宅にいながらスマホから必要事項入力すると査定してもらえます。
空き家はどんどん売れない時代に…
売れるときに売り切るのが得策
空き家問題は、深刻化しています。空き家率はどんどん上昇を続け、都心部においても空き家が目立つようになりました。それに対して日本の人口はどんどん減り続けているのですから、今後ますます家や土地は売りにくくなります。売れなくなるのは、まず空き家からです。
高く売りたい、好条件で売りたいというのは、不動産売買において誰もが思うことです。しかし空き家の売却は、「スムーズに売る」ことも大きなメリットの1つ。売却方法を考え、売るための行動をおこし、空き家が売れるうちに売り切ることが大切です。