目次
「いつか家を売りたい」と思いながらタイミングが分からないという方も多いと思います。不動産の売却にベストな時期というのはあるのでしょうか?不動産の専門家に聞いてみました。
読者からの質問
物件を売りやすい時期はあるのでしょうか?
不動産のプロからのアドバイス
(1)比較的売りやすい時期は3つ
人が動くシーズンは不動産の売り時
まず一つ目は春(2~3月)や秋(9月)など入学や就職、あるいは転勤の時期です。賃貸ほどではありませんが、売買市場でもこの時期は動きが多くなります。やはり転勤を機に購入を考えるというニーズが多いです。
参考までに首都圏の中古マンション売買の成約件数を月別にまとめた資料をご覧ください。
賃貸と大きく違う点は、物件探しの期間です。賃貸は内覧から入居まで1週間程度で可能ですが、売買の場合はそこまで短期間というのはなかなか難しいでしょう。売買では内覧後の売買契約やローン契約、決済・引渡しがあります。
このため購入する時期の遅くとも2~3ヶ月前から物件探しを開始することになります。
春に購入の場合は11月頃から、秋に購入の場合は7月頃からスタートする人が割と多いようです。お盆や年末は外した時期です。
こういった異動の時期は売りやすいと考えられるでしょう。
(2)物件の築年数が築20年~25年ごろ
不動産は相場物ですので、俗に言う「底値」にあたる時期は売りやすいと考えられます。建物は土地と異なり毎年価値が下がっていきます。
これは新築時から毎年下落し、その下落幅が落ち着いた段階を指します。近年の中古市場では、個別性要因を除外すれば一戸建もマンションもおおむね築20~25年程度で下落幅が小さくなります。
その後は緩やかに下落していくという、いわゆる底値となります。底値を過ぎればあとは建物の残存年数だけが減っていくため、年月が経過すればするほどに売りにくくなります。一戸建に比べてマンションのようなコンクリート住宅の方がいわゆる耐用年数(税法上の法定耐用年数・経済的耐用年数・残存耐用年数など)は長いです。
それでも同じ程度の築年数が「底値」となります。これは新築マンションの供給により中古マンションの価値が早い段階で底を打つという状態です。
(3)物件エリアの需要過多や供給不足
いわゆる需要と供給の関係です。需要過多や供給不足という状況下では、物件を売りやすい時期だと考えられます。恒常的に需要過多・供給不足という地域の場合は時期的なものは関連性も低いです。
しかし、突発的や特定の事情がある場合に限れば、時期という要素は大きな関連性を持ちます。
不動産を売りやすくなる出来事
例えば、大企業の転入です。大勢の従業員とその家族が近隣地域に転入してくるのですから、移転時期には著しく需要過多となります。
また、都市計画や道路計画や区画整理などにより、特定のエリアで一定期間は不動産売買を制限したり困難になる時期があります。この場合は供給不足となります。
不動産を売りにくくなる出来事
逆に、大型の新築マンションや住宅団地の分譲開始があれば、住宅供給数は増加してしまいますし、新築に比べれば中古住宅への需要も減少します。新築が落ち着くまでは足元を見られて大幅な値下げ交渉ばかりされることもあります。この時期は物件を売りにくいと考えられるでしょう。