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賃貸物件を借りる場合は賃貸借契約を結ぶことになります。しかし賃貸借契約とはどういうものなのか、よくわからなくて不安な人も多いでしょう。賃貸借契約をする場合は確認しておくべきポイントが多くあり、確認しておかないとトラブルにつながる可能性もあります。
そこでこの記事では、賃貸借契約するときに必ずチェックしておきたいポイントを6点解説します。トラブルを防いで快適に暮らしていくために、ぜひ参考にしてください。
契約期間と更新について
1つ目のポイントは、契約期間と更新についてです。具体的なポイントである以下3点について解説します。
- 短期の解約の違約金はないか?
- 定期借家契約ではないか?
- 更新料はいくらか?
短期の賃貸借契約で違約金はないか?
短期間で契約を解除して退去した場合に、違約金がかかるかどうか確認しておきましょう。というのも、契約期間が満了となる前に退去すると、違約金がかかる場合があるからです。
一般的には2年間で賃貸借契約を結ぶので、2年未満で解約すると違約金がかかることがあります。契約期間内の解除による違約金額については、0.5か月~1か月分の賃料を要求される場合が多いです。そのため、短期契約の違約金は賃貸借契約を結ぶ際に必ず確認しておきましょう。
定期借家契約ではないか?
定期借家契約でないかどうかも要チェックです。定期借家契約は、契約期間が終了した時点で賃貸借契約が終了します。つまり、定期借家契約の物件は契約期間が終了した時点で、借主は退去しなければなりません。そのため、契約する物件が定期借家契約ではないかどうかも確認しておきましょう。
定期借家は借地借家法38条に厳格に契約締結時の留意事項が記載されています。条文で以下が定められていますので、しっかりと説明を聞いて契約締結を行ってください。説明が無かった場合の更新が無い旨は無効です.
〇公正証書によるなど書面によって契約をする時に限り、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。
〇建物の賃貸人は、あらかじめ建物の賃借人に対して同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。
〇建物の賃貸人が前項の規定による説明をしなかった時は、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。
更新料はいくらか?
更新料があるかどうか確認し、更新料がかかる場合は金額なども確認しておきます。というのも、契約を更新するときは貸主に対して更新料を支払うケースが多いからです。
一般的には2年ごとに契約を更新して、更新する際に「賃料の1カ月分」を更新料として支払う物件が多いでしょう。ただ、物件によっては更新料が「賃料2か月」の場合もあるので、更新料の有無と金額は忘れずに確認しましょう。
賃料や共益費について
2つ目のポイントは、賃料や共益費についてです。賃料や共益費については以下を確認します。
- 支払い方法
- 支払い期日
- 滞納時のルール
賃料や共益費(管理費)の支払い方法は、一般的に振り込みや自動引き落としです。また、支払い期日は翌月分を前月末日までに支払う物件が多いです。
滞納時のルールについても要チェックです。具体的には、滞納時に延滞金がかかるかどうか確認しましょう。延滞金がかかる場合は、延滞利率も合わせて確認しておきます。このように、賃料や共益費は金額だけでなく、支払い方法・支払い期日・滞納時のルールも確認しておくと良いです。
禁止事項
3つ目のポイントは禁止事項についてです。禁止事項の例をあげると、ペット飼育、楽器演奏、石油ストーブの使用、他人の同居、長期不在、危険物の持ち込みなどがあります。とくにペット飼育は要注意です。というのも、ペット飼育可能な物件でも以下のような制限があるからです。
- 飼って良い動物の種類やサイズ
- 頭数および匹数
- 共用部のルール(ケージに入れるなど)
禁止事項に違反すると退去させられることもあるため、しっかり確認しましょう。
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契約の解除について
4つ目のポイントは、契約の解除についてです。契約が解除されるケースにはどのような項目があるか確認しておきましょう。契約が解除される代表的な項目は以下の通りです。
- 賃料の滞納
- 規約を破る行為
最悪の場合には強制的に退去させることもあるため、どのような場合に契約が解除されるのかは必ず確認しておきましょう。
契約違反は別論ですが、賃貸人から賃貸借契約を解除して退去させる場合はハードルの高い正当事由が必要とされ、借主は守られています。契約を守って住んでいれば退去のリスクは低いです。
原状回復について
5つ目のポイントは原状回復についてです。原状回復は、退去時の費用負担に関係する重要なポイントなので、以下について詳しく解説していきます。
- 原状回復とは?
- 費用負担
原状回復とは?
原状回復とは「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
つまり、借主がわざと壊したり、不注意で傷つけたりした場合は借主の使い方に問題があったと見なされます。このような場合には、原状回復費用(工事費用)を借主が負担しなければなりません。しかし、上記のような費用を借主がすべて負担するわけではありません。借主が費用を負担すべきものとそうでないものがあるので、詳しくは次項で解説していきます。
費用負担
原状回復の費用負担について、以下より事例を交えて紹介していきます。簡単に言うと、室内の損傷が「経年劣化」に該当すれば、借主に原状回復費用の負担はありません。
①:壁紙
カレンダーによる画鋲の穴など軽微な穴は、経年劣化の範囲内となるため原状回復費用が発生しません。子どもの落書きや、タバコやペットによる汚れや臭いは原状回復費用が発生します。
②:フローリング
ワックスが落ちたり、家具を置いたりしたことで凹みができた場合は、経年劣化の範囲内となるため原状回復費用が発生しません。ただし、何かを落とたことでできた大きな傷には原状回復費用が発生します。
③:バス・トイレ・キッチン
バス・トイレ・キッチンなどの水回りについては、その汚れが一般的な範囲かどうかで判断されます。水垢やカビなど、水回りは汚れが付きやすい場所です。汚れがあまりにひどい場合は原状回復費用が発生することがあります。このように、全ての傷・汚れが借主負担ではないので、原状回復の定義については確認しておくと良いでしょう。
昨今は東京都が定める「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」に準じて原状回復などを処理することが多いです。下記ページから閲覧できますので参考にしてください。https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-4-jyuutaku.htm
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特約事項について
6つ目のポイントは特約事項についてです。特約事項についても、自分に不利な項目がないかしっかり確認しておく必要があります。たとえば、原状回復費用は経年劣化した箇所には発生しませんが、特約事項で「原状回復に関わる費用はすべて借主の負担とする」とされていることもあるのです。
このように借主に不利な項目が記載されている場合もあります。後で困ったことにならないように、特約事項に自分が不利になる項目がないか確認しておきましょう。
まとめ:賃貸借契約する時は……
この記事では以下の内容を紹介しました。
賃貸借契約をする場合は確認しておくべきポイントが多くあります。毎月の賃料から退去時の費用まで確認して、その賃貸物件に問題がないかしっかりチェックしましょう。原状回復費用の負担と特約事項は「費用負担」に関係してくるので、とくにチェックしておくべきです。新たな住まいで快適に暮らしていくために、ぜひこの記事をご活用ください。
監修者:Y.Suzuki
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧