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マンションの価格推移をつかんでおけば売り時、買い時が分かります。
マンションの価格が築年数に応じて変わっていくのは何となく分かると思いますが、具体的に築年数に応じたマンションの価格推移はどのように動くのでしょうか?
本記事では、時の経過に伴ったマンションの価格推移をお伝えします。その上で、築何年くらいのマンションがお買い得、もしくは売り時なのかもお伝えしましょう。
築年数が経つとマンションの価格が下がる?
本記事では、築年数が経つごとにマンションの価格が下がることを前提としていますが、なぜ、築年数が古くなるとマンションの価格は安くなってしまうのでしょうか?
これは、築年数が古くなることでマンションの構造躯体や設備などが少しずつ古くなっていくことが理由として挙げられるでしょう。
10年、20年以上前のマンションだとデザイン的にも新築マンションと比べると古く感じてしまう物件も多くなります。
修繕積立金の存在がマンションの価格推移に影響
また、構造躯体や設備が古くなると大規模修繕が必要になります。マンションごとに長期修繕計画にそって修繕積立金を貯めていますが、建物の状況によっては必要な修繕費用が増し、修繕計画そのものを見直す場合があります。
この見直しによって入居者全員で積み立てる「修繕積立金」の額が高くなってしまうと、マンションの価格が下がる要因となります。
マンションの買い手は、住宅ローンの返済額と修繕積立金+管理費の合計額がいくらか……つまり、月額で支払う住宅への総コストで購入の判断をするからです。
たとえば、「修繕積立金と管理費の合計が1万円であれば月8万円まで払える」という方は、修繕積立金と管理費の合計が2万円になってしまうと7万円程度までしか負担できなくなってしまいます。
金利1%程度、借入期間35年で住宅ローンを借りると、2,800万円程度の借入額でおおよそ月8万円の返済額。返済額に上限が月7万円に変わると2,500万円程度までしか借入できなくなります。
このように、さまざま要因で築年数が経つごとにマンションの価格は安くなるのです。
新築マンションには新築プレミアムがある
新築マンションには新築プレミアムがあるとされています。新築物件を購入後、いざ住み始めると「一度、住んだ」という事実だけで1~2割程度マンションの価格が下落することがほとんど。
これは、日本人は新築物件が好きで、新築というだけで中古よりも価値があるとされているからです。
また、中古マンションと新築マンションでは価格の決まり方が違うという側面も、新築プレミアムが生まれる理由だと考えられます。
マンション価格の決まり方
中古マンションは、売り手側の希望売却価格と買い手側の希望購入価格のバランスの取れたところで価格が決定。
一方、新築マンションは、もちろんマーケットから逸脱しない価格設定は意識するものの、マンションを建設するのにかかった建設費用や販売するためのプロモーション費用、人件費などを考慮して売り出し価格が決められます。
また、新築マンションは販売しやすいように、当初の修繕積立金を安く設定し、月々の支払額を少なくするケースも多いです。
新築でマンションを購入し、数年後に売却を検討すると「思った以上に価格が安くなっている」と感じることが多いでしょう。
築15年でマンションの価格はおよそ半分になる
中古マンションの価格は、新築から築年数が経つごとに下がり続け、築15年程度でおおよそ半分程になることが多いようです。
マンションの専有面積1坪当たりの単価(土地の坪単価の様なもの)で比較してみます。
三井住友トラスト不動産の不動産マーケット情報で見られる東京都 大阪府 愛知県の築年別中古マンション坪単価(2011年流通物件)によると、東京都、大阪府、愛知県それぞれの築1年と築15年の価格の違いは以下のようになっています。
- 東京都:261.4万円(築1年)→175.0万円(築15年)
- 大阪府:163.2万円(築1年)→89.6万円(築15年)
- 愛知県:153.3万円(築1年)→72.8万円(築15年)
データから見るマンションの価格推移
同データを見てみると築1年から築15年までは同じ位のペースで価格が下がり続けていることが分かります。また、築20年以降は3都市とも価格の下落がやや緩やかなペースになる傾向です。
築15年くらいまで価格が下がり続ける理由の一つは、一般的に築12~15年程度で大規模修繕を実施するマンションが多いからでしょう。
大規模修繕を実施したマンションは、外壁塗装工事を実施するので外観がきれいになるメリットがある一方、管理組合に積み立てられた修繕積立金が少なくなってしまうデメリットも。
とくに、新築時に販売しやすいように修繕積立金を安く設定していたマンションでは、大規模修繕工事を実施した時に次の大規模修繕工事のための積立金が不足すると考えられます。そのため、修繕積立金を増額することも少なくありません。
先述の通り、修繕積立金が高くなるとマンションの売却価格は安くせざるを得ないため、結果として築15年程度のマンションは売買価格が安くなりやすいのです。
築30年を超えると下げ幅は小さくなる
三井住友トラスト不動産のデータでは、築20年を超えると価格の下げ場が緩やかになり、築30年を超えるとさらに下げ幅が小さくなります。
同データで東京都、大阪府、愛知県の築20年と築30年、築40年の坪単価を見て
みると以下のようになります。
- 東京都:149.9万円(築20年)→147.6万円(築30年)→142.1万円(築40年)
- 大阪府:69.3万円(築20年)→64.0万円(築30年)→49.9万円(築40年)
- 愛知県:56.7万円(築20年)→52.3万円(築30年)→40.3万円(築40年)
東京都のマンションの価格推移は、築20年から40年にかけての下げ幅が5%未満。ほとんど動いていないともとれる結果です。
一方、大阪府や愛知県のマンションの価格推移は、築20年から30年の下げ幅は小さいものの、築30年から築40年までは比較的大きな下げ幅です。
このように、マンションの価格推移は地域によって多少の差があります。
とはいえ、築15年程度までの下げ幅と比べるといずれも小さな下げ幅。総合的に考えると、築20年以降、築30年以降のマンションの価格は、そう大きく変わらないと考えられます。
中古マンションの買い時と売り時はいつ?
ここまで、中古マンションの価格推移を見てきました。では、中古マンションの買い時と売り時はいつなのでしょうか?
「中古マンションの価格は築15年程度で新築マンションの半額程度になる。その後、築20年を超えると下げ幅が緩やかに、築30年を超えるとさらに下げ幅が小さくなる」……これが大前提です。すると、買い時と売り時は以下のように考えられます。
- 築年数から見る中古マンションの買い時:築15年~築20年
- 築年数から見る中古マンションの売り時:築20年~築30年
価格推移から考えるマンションの買い時
東京都のデータのように築20年と築40年の価格が大きく変わらないのであれば、築15~築20年程度のマンションがお買い得と言えます。
ただし、大阪府や愛知県のように、築20年と築40年のマンションに大きな価格差が見られるエリアもあるので、実際には個別に判断する必要があるでしょう。
価格推移から考えるマンションの売り時
一方、中古マンションの売り時は築20年目以降です。大きく価格が下がることは稀なので、築年数が古ければ古いほど、売主としてはお得。耐震性の問題や買い手側のローンの組みやすさなども、築20年~築30年のマンションが「売り時」の理由ですね。
マンションの耐震性についての補足
1981年6月以降に建てられたもの(正確には確認申請を提出した建物)を新耐震基準と呼び、それ以前のものを旧耐震基準と呼んでいます。
旧耐震基準の建物については、既に価格が安く安定しており、購入時の金銭的な負担が新しいマンションより軽いため、税制優遇措置はありません。また、最近では災害に対する意識が強くなっていることもあり、敬遠する人もいます。
また、あまり築年数が古いと金融機関の審査が厳しく、住宅ローンが組みづらくなります。もちろん、築50年以上の物件でも住宅ローンはついている実績はありますが、後々売却を考えているのであれば築20~30年程度で決断することをおすすめします。
マンション価格推移のまとめ
この記事では以下の内容を紹介しました。
個別に事情が異なることも多いのですが、売買価格は築15年程度で半額になり、築20年目以降緩やかになるのが全体的な傾向です。売り時や買い時の判断に役立てるようにしてください。