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この記事はマンション売却時に、売却価格よりも住宅ローンの残債の方が大きくなってしまった場合の対処法について述べた記事です。競売や任意売却の紹介ではなく、普通に住宅ローンが支払えている人に向けた情報です。
マンション売却時の残債は大きなハードル
マンションを売却しようとする時、一つ大きなハードルがあります。それはマンションの住宅ローンの残債です。マンションを売却する際、前もって査定を行うことが通常ですが、その査定額がローンの残債よりも少ないこともあります。そのため、今回はマンション売却してもローンの残債が払えなそうなときの対処法について、ご紹介いたします。
マンション売却額よりも残債の方が多い時の対処法
解決策は抵当権を外すこと
そもそも、マンションの売却金額が残債よりも低いということは、どういうことが問題となるのでしょうか。それはマンションについている銀行の抵当権が外せないということが問題となります。通常、抵当権付きの物件を購入者する人はいません。そのためマンションの売却時に抵当権が残っていると、事実上、マンションが売れません。マンションの売却金額よりも残債が多いことは、抵当権が簡単に外せないため問題となるのです。
逆に言えばマンションの売却金額よりも残債が大きくても、抵当権さえ外れれば、マンションを売却することは可能です。ではどのようにすれば抵当権を外すことができるのが、2つの方法を紹介いたします。
1)買い替えローンの利用
1つは、買い替えローンの利用です。買い替えローンというのは、あまり聞き慣れない人も多いと思いますが、要は次に購入するマンションに、売却するマンションのローン残債を上乗せして借りることを言います。ローンが増えるだけなので、決して残債が無くなる訳ではありません。買い替えローンは銀行からしてみれば、新規に購入するマンションの担保価値以上に融資を行うことになるため、リスクを取ることになります。そのため買い替えローンには各銀行で厳しい審査基準を設けています。
厳しい審査
審査基準は銀行によって異なります。例えば、
- 満20歳以上71歳未満で、最終返済時の年齢が満81歳未満であること
- 団体信用生命保険に加入すること
- 安定した収入(契約社員、派遣社員は審査が通らないこともあります)があること
- 売却するマンションのローンに延滞等のないこと
- 保証会社の保証を受けられること
などの要件を全てクリアすることを求めている銀行もあります。
残債が少ない時はメリットもある
このように買い替えローンは厳しい基準がありますが、従前の金利よりも低い金利のローンが組める場合もあります。このようなケースでは、ローンの残債が少ない場合であれば、むしろ買い替えローンの利用によりメリットがでるケースもあります。
また5年を超えて保有する居住用マンションを売却して買い替えた際に、売却損が出た場合、この売却損をその年の他の所得と損益通算でき、損益通算しても赤字となった金額については翌年以降3年間繰り越して所得から控除もできます。売却損を出して買い替えを行う際は確定申告も忘れないようにしましょう。
2)高く売れる時期まで待つ
2つ目の方法としては、高く売れる時期まで待つことです。高く売れる時期まで待てば。残債も減りますし、仮に買い替えローンを利用したとしても、負担は軽くなります。
ご存知のように、マンション価格は景気の変動により、中古マンション市場の相場も変動します。マンションの売却価格よりも残債が多い方は、マンション価格が高騰している時期に購入している方も少なくないはずです。マンション価格が高い時期に購入して、マンション価格が安い時期に売却するのは、避けたいと思うのが心情でしょう。
取引件数に注目
マンションが高く売れる時期を見極めるためには、マンション価格の先行指数である取引件数に着目する必要があります。マンションの価格は、取引件数が増えると、それに遅れて価格が上昇するという性質があります。逆に取引件数が減ると、それに遅れて価格も下落していきます。
マンションの取引件数については、公益財団法人東日本流通機構などの組織が公表をしています。これらの公表されている「件数」のデータから売り時かどうかを判断するのが一つの方法です。
税制の変わり目に注目
また税制の変わる直前も取引件数が一気に伸びるため、そこに合わせて売却するのも一つです。特に注目すべきは消費税と住宅ローン減税となります。次に消費税が10%になるタイミングは、再び大きな駆け込み需要が発生することが予想されます。
一方で住宅ローン減税は消費税による住宅需要の落ち込みを回避するために設けられた税制のため、消費税とは逆の動き方をします。今のところ平成31年までの期限付きですが、税制の期限は頻繁に延長されます。恐らく消費税が10%に上がって数年たった頃に、期限が切れることが予想されます。その際も再び大きな駆け込み需要が発生することが予想されます。
まとめ
売却よりも今ある住宅ローンの残債をなるべく減らすこと
以上、マンション売却してもローンの残債が払えなそうなときの対処法について見てきました。このような状況になった時は、まずは売却よりも今ある住宅ローンの残債をなるべく減らすことの方が重要です。できるだけ残債を減らしてからマンション売却に臨みましょう。