目次
これから戸建ての売却を考えている方に向けて、家の売却価格の相場を知るための方法について詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。
家の売却価格を決める2つの要素
売却価格は土地価格と建物価格を合わせたものになります。家の売却相場を知るためにはこの2つを調べることが基本です。
建物の価格は築年数とともに低下する
実際に人が住む住居部分は、年数とともに傷んできます。そのため、建物部分だけで考えた場合、売却価格は上昇することはなく、下がっていく一方です。
建物価格の下落はゆるやかに起こるのではなく、木造戸建ての場合、新築から築10年までと築10年から築20年の期間で下落スピードが異なります。
新築の状態を100としたとき、築10年では50に、築15年で30、築20年では20ほどになります。
税法上の参考値ですが、国税庁が定めている減価償却費では、木造建築物は年間3.1%ずつ価値が減少していくとされています。築20年の木造建物は“3.1%×20年=62%”の価値減少。残存価値は38%と計算出来ます。
しかし、計算上の残存価値と商品としての価値は全く別物です。古く汚くなった物件は消費者に購入意欲を与えるのが極めて困難。そのため、税法上の残存価値以上に商品価値は下落していく傾向です。。
築10年までは建物価格の下落スピードは速く、築10年を過ぎたあたりからは下落スピードがゆるやかです。
築10年までの期間は築年数が1年変わるだけでも相場は大きく変動します。そのため、建物価格の視点からすれば、築10年未満の戸建ての売却で悩んでいるならなるべく早く決断をした方がよい、ということになります。
また、築20年超えの戸建ての場合、建物部分にはほとんど価値がなくなってしまいます。リフォームを行っていないのなら、建物部分に価格がつくことは期待できないでしょう。
木造の場合は20年を建物の寿命、鉄筋コンクリート(RC造)なら47年が寿命というのがひとつの目安となります。
土地の価格は立地と景気で変動する
建物と違い、土地には年月による価格減少はありません。
土地の価格においては立地が非常に重要になります。東京の一等地と北海道の広大な土地の一画では、同じ広さでも東京の方が高くなるのはイメージしやすいでしょう。
超高齢社会にある日本においては、すでに人口の減少が始まっています。都市圏と呼ばれるようなところでも、東京以外の地域では人口が横ばいもしくは微減してきています。
そのため、都市圏以外は今後、基本的に土地価格は下落していくと考えられます。ただ、土地の価格は立地に加えて、景気によっても変動し、景気が良くなれば土地価格も上昇する傾向にあるので、立地と景気の2つの観点から土地価格を見定めることが重要です。
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自分の戸建ての売却相場を知る3つの方法
戸建ての売却相場には築年数や建物の設備、立地、景気などさまざまな要素が複雑に関わっています。
そのため、ゼロから自分で相場を見定めることは簡単ではありません。そこでヒントとなるのが「自宅と条件が似ている物件がいくらで売れたか」です。
この情報はネットで調べられます。ここでは、更新頻度や情報量の点から、いくつかおすすめのサイトを紹介します。
①レインズマーケットインフォメーション:実際の売却事例が分かる
レインズマーケットインフォメーションは、地域、沿線、最寄り駅、駅からの距離、築年数、間取り、土地面積などの条件で絞り込んで、売却事例が検索できます。
非常に更新頻度が高いので、常に最新の売却事例をチェックできるのも大きなメリット。
絞り込みで自宅の条件と近いものを表示させれば、大体の相場がつかめます。
また、レインズでは、実際にいくらで買い手が見つかったかを表す「売却価格」もチェックが可能。実際の売値が分かるので参考にしやすいです。
②Home`s:売り出し価格のチェックに便利
Home`sは、売却事例が分かるサイトではなく、実際に今売りに出されている物件を紹介するサイトです。そのため、基本的には家の購入を考えている人向けのサイトにはなりますが、売り出し価格の相場の把握にも有効です。
物件には売り出し価格と売却価格があります。売り出し価格は、言い換えれば売主側の希望価格です。
物件の購入には基本的に価格交渉がありますし、希望価格で買い手が見つからなければ価格を下げて再度売り出すといったことが必要になりますので、売り出し価格のまま売却に至るケースは多くありません。
一方、売却価格は実際にいくらで売れたかを示す金額です。
レインズマーケットインフォメーションは、売却価格を知るのに便利ですが、いくらで売り出せばよいのかの相場を知る際にはHome`sが便利です。
また、Home`sでは、物件の外観や内観が写真で表示されます。同じ築年数であっても物件によって内観が大きく異なることがありますので、写真表示は自分の家と同じ状態の家を探す大きなヒントとなるでしょう。
一括査定サイトの利用も!
ホームズでは一括査定のサービスも行っています。家を売る際にそれぞれの不動産業者に査定を出してもらうのは、少し面倒。複数の不動産屋の査定金額がわかるので、利用をおすすめします。もちろん査定は無料です。
③Howma:手っ取り早く相場が知りたいときに
Howmaは、AIで自動的に売却価格の目安がチェックできるサイトです。
他のサイトほど詳細に条件を絞りこむことはできませんが、住所、築年数、延床面積、土地面積、建物階層、建物構造、間取りなどを入力するだけで、自動的にいくらで売れそうかを算出してくれます。延床面積(のべゆかめんせき)とは、建物の各階の床面積の合計のことです。
Howmaは「まだ売却予定はないけれど、将来的に売るかも」と考えているときに、手っ取り早く相場を知るのに向いています。
使い勝手の良いサイトですが、どのように価格が計算されているのかは分からないので、あくまで参考程度にしておくことをおすすめします。
商品という意味では、建物は自動車や冷蔵庫などと同様に経年劣化によって商品価値が下がっていきます。自動車で言えばシートがボロボロでは購入しようという人はいないし、冷蔵庫も作動音が大きければ購入しようという人は稀でしょう。
建物は不動産なので、価格の規模が10倍から100倍高額になります。よって自動車を買うときよりも消費者の目線は厳しくなります。
年数が経てば商品として販売可能な状態にするためにかかる費用(リフォームなど)は増加していくので、商品と価値がある状態で早めに売却するのは一つの方法と言えます。
まとめ:家を売る前には必ず査定で相場を知ろう!
この記事では以下の内容を紹介しました。
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監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧