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相続した不動産を売却する流れは6ステップ
相続の物件は早く売ることが重要
「相続」「不動産の売却」と聞いただけで、何やら難しい手続きや話し合いが必要と思われている方も多いはず。ただ相続した不動産を売却するだけなら、普通の不動産売買と流れはほとんど変わりません。
相続売却の6つのステップ
- 【Step1】査定や相場から売却価格の目安を知る
- 【Step2】不動産会社と媒介契約を締結する
- 【Step3】販売活動・内見の期間
- 【Step4】売買契約を締結する
- 【Step5】決済・所有権移転
- 【Step6】引き渡し
売却後は相続税の納付が必要ですが、納付期限までに申告しなかったら追徴課税というペナルティがあります。時間をかけて不動産を高い金額で買ってくれる人を見つけたくても、あまり余裕はありません。
そのため売却完了までの流れは、だいたいでも良いので事前に把握しておいたほうが良いでしょう。
また、親の家であっても不動産登記簿の名義変更手続きをしないと、いずれの方法で売るにせよ売却することができません。名義変更手続きも完了させておいてください。
【Step1】不動産の売却方法を検討する
まず相続に限らず、不動産の売却は以下の方法が一般的です。
- 一括査定サービスを利用
- 不動産買い取り業者に売却
- 特定の不動産業者との媒介契約にて売却
「不動産買い取り業者への売却」が、もっとも早く簡単に売却できます。中が散らかっていても、買取の場合は大丈夫です。仲介手数料も発生せず、初期費用や手間もかかりません。
ただ売却を急がなければならない場合、安く買い叩かれる可能性が高いことは念頭に置きましょう。
売り出し価格や売却時期などしっかり検討したいなら、一括査定や不動産業者と媒介契約を結んで売却するのがベストです。
【Step2】不動産会社と媒介契約を締結する
媒介契約とは、不動産会社に仲介を依頼するための契約。媒介契約には3種類あります。
- 一般媒介 複数の不動産会社に仲介を依頼する契約
- 専任媒介 特定の不動産会社に仲介を依頼する契約
- 専属専任媒介 専任媒介と同じく特定の1社だけに仲介を依頼する契約
一般媒介は、多くの不動産会社を通して物件を宣伝していく方法で自由度の高い媒介契約です。
専任と専属専任の2つは、信頼する1社とだけ契約する形態。専任媒介は自分で買主を見つけるなどする個人間取引をしても問題ありませんが、専属専任媒介は必ず不動産会社を通して契約しなければなりません。
不動産会社を探す際は、複数の会社に見積もりを出してもらいましょう。また、任せる不動産会社を探す際に相続に詳しいとか、「不動産買取」も行っている不動産会社などを探して、できるだけ早く売ることを優先させた方が賢明かと存じます。
そういう不動産会社探しはHOME’Sが便利。全国1700社以上の不動産会社が登録しております。
【Step3】販売活動・内見の期間
不動産会社と媒介契約を結んだら、実際の販売活動が始まります。親の家が遠くにある場合は、不動産屋に鍵を預けて内覧対応を任せることもできます。
専属専任媒介や専任媒介の契約なら、定期的に販売活動の状況を報告してもらえます。
一般媒介は報告の義務がないため自ら反響の状況や内見数など確認し、売れる見込みなどを把握しておいたほうが良いでしょう。
【Step4】売買契約を締結する
売買契約を含めた手続きは不動産会社が先導してくれるため、そう難しく考える必要はありません。
ただ相続で売却するのですから、スムーズに手続きを進めるために以下のような書類は予め準備しておいたほうが良いでしょう。
- 基本書類(本人確認書類・実印・住民票・印鑑証明・銀行通帳など)
- 登記済権利書
- 購入時の契約書・重要事項説明書
- 耐震診断や住宅性能評価などの証明書
- 土地測量図・境界確認書
- 建築図
- 建築確認済証
- 固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書
- (マンション)管理規約や重要事項調査報告書など
【Step5】決済・所有権移転
買主がローンを利用する場合、通常は銀行の専用部屋に以下の関係者が集まって決済と所有権移転の手続きを行います。
- 売主(自分)
- 買主
- 不動産会社の担当者
- 銀行の担当者
- 司法書士
売買契約の決済では多額のお金が動くため、ローンを利用しない場合でも銀行の専用部屋を使用するケースがほとんどです。
【Step6】引き渡し
決済や所有権移転が無事に完了すれば不動産を引き渡します。
空き家などは現況渡しとするのか建物を解体するのか事前に決めているはずです。鍵の受け渡しや残置物の処分を行って、速やかに引き渡しを行いましょう。
相続発生から相続税納付までの話し合いと手続き
1. 相続人、もしくは代表相続人の決定
相続不動産の売却だけなら、不動産会社や銀行の担当者、司法書士といったプロがいますので手続きはスムーズに行われます。売主である相続人は、書類を用意して先方が作成した書類にサインと捺印するだけと言っても過言ではありません。
ただ相続全般の話となると別です。中には相続に関わる手続きすべてをサポートしてくれる不動産会社もありますが、基本的には相続人が自分で各種手続きや相続税の納付を完了させます。
では相続から相続税の納付まで、どのような話し合いや手続きが必要か見ておきましょう。
相続財産と相続の権利がある人を明確にして、誰が代表となって相続手続きを進めていくのか決めなければいけません。遺言書があれば、その内容に従います。
2. 遺産分割協議と不動産の相続登記
相続する財産が現金だけなら遺産相続しやすいものの、簡単に分けられない不動産が絡むと少々難しい話し合いが必要です。相続財産は、主に以下3つの方法で分配されます。
換価分割 | 遺産が実家だけというケースなどにおいて、売却して現金化した後に平等に分割する |
現物分割 | 不動産の他に現金などがあった場合、不動産とそれ以外の財産で分けて現物で分割する |
代償分割 | 相続人が複数人の場合、一人が現物を相続して同じ価値だけの現金を他の相続人に払う |
相続財産が実家のみなどの場合、「換価分割」で進めるのがベターだと考えられます。相続登記で不動産の名義を代表者に変更し、不動産を売却してお金に換えてから相続人に分配するという流れが一般的です。
3. 相続税の申告と納税
不動産の売却と並んで複雑なのが相続税の申告。
葬儀費用や生命保険、各控除額など記載する書類が多くあります。そのため国税庁では「相続税の申告書等の様式一覧」と共に、申告書の作成について大まかに手順を示してくれています。
引用:国税庁 相続税の申告書の記載例等
最初に財産や相続にあたっての費用を各表に記載し、最後に第一表でまとめるという流れです。
相続する財産や遺産分割協議の内容が複雑でなければ、自分でも申告書を作成できます。ただ無理に相続人だけで納税手続きを行うより、税理士への依頼も検討したほうがよいでしょう。
相続で不動産を売却する時の注意点
相続税納付までのタイムリミットは10か月
相続でやるべきことや不動産の売却の流れが把握できれば、あとは順を追って手続きを進めていけば間違いありません。ただし、絶対にミスできない注意点が2つあります。
売却が完了したら相続税を納めなければいけませんが、納付期限は相続が発生してから10か月以内です。
イレギュラーなケースを除いては、10か月以内に手続きなどを済ませて相続税を納付しなければなりません。遺産分割や売却でもたついてしまうと、あっという間に日が過ぎてしまいます。
計画的、かつ迅速な相続を心がけましょう。
専属専任媒介契約は十分に話し合って決める
不動産会社と媒介契約をする際、専属専任媒介契約は少し注意が必要です。
専属専任媒介契約を締結したあとに相続人のうち1人が「自分が買う」と言い出しても、専属専任媒介契約の期間内は必ず不動産会社を通さなければなりません。
また専属専任媒介契約の途中解除は、場合によって違約金が発生します。
遺産分割の話がまとまっていないとか仲介手数料を浮かせたいといった希望があるようなら、仲介を依頼する会社との媒介契約はしっかり話し合っておいたほうがよいでしょう。
相続した不動産の売却はプロによる手続きと事前の準備でスムーズに!
売却前に相続人が誰かはっきりさせる必要がある
では最後に、相続発生から相続税納付までの流れをおさらいしておきましょう。
- 相続の発生
- 相続人、もしくは代表相続人の決定
- 遺産分割協議と不動産の相続登記
- 不動産の売却(6つのステップ)
- 相続税の申告と納税
自宅の住み替えなどで家を2~3度買うことはあっても、基本的に親の家は一つなので、相続で不動産を売却するなんて人生で何度も経験することではありません。そのため特に税金については注意が必要です。
相続税に関しては、意図していなくても不動産売却時の税金の計算方法が間違っていて税務調査で指摘されたら延滞税や加算税が課せられます。また不動産売却時の税金は相続税だけでなく、売却益が発生するようなら譲渡所得による確定申告も必要です。
時間のかかる不動産売却が無事に完了しても、相続後に必要な手続きや節税対策なども軽視できません。
遺産分割で揉めたり不動産の売却でもたついたりしないよう、不動産会社や税理士などへの相談や協力を仰いでスムーズに進めていきましょう。