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マイホームを購入する際に気になるのはやはり金利ではないでしょうか。金利は景気情勢によって上下するので、いつ買えばよいのかを悩む方は多いです。そして金利はこれから不動産を売却しようとする方にとっても無視できない重要な要素です。この記事では、住宅ローンの種類や近年の金利推移について解説しています。ぜひ不動産の購入・売却時の参考にしてください。
金利とはなにか
金利とは利子や利息と呼ばれるものと同じだと考えて構いません。不動産は大きな買い物ですので、一括で買うことはできず基本的には金融機関で住宅ローンを組んで購入することになります。お金を借りるわけですから当然利息をつけて返していくことになります。利息は「利息額=元金額(=借入残高)×金利(利率)×借入期間」という式で計算できます。
初めてローンを組む方にとっては意外かもしれませんが、総返済額や利息は、借りた金額だけでなく返済完了までの期間によっても大きくなるわけです。
金利の「〇%」というのは1年間でかかる利息を表しています。たとえば100万円借りた際の金利が5%で、1年間かけて返済する場合の総返済額は、借りたお金の100万円に加えて100万円×5%の5万円が必要になるので105万円となります。半年で返済する場合は、金利も半分になり総返済額は102万5千円です。借りた金額は同じでも、完済までの期間によって総返済額が大きく変わるのが金利の特徴です。
金利が不動産の売却時にも重要な理由
住宅ローンの場合、借りる金額は大きく完済までの期間は長いです。そのため、わずかに金利が上がるだけでも総支払額はずっと大きくなります。買い手の支払い能力には限界がありますので、金利が上がると不動産購入に充てられるお金は少なくなります。返済期間を長くするという方法もありますが、元気に働ける期間にも限界がありますし、返済期間を延ばせば利息も大きくなりますので現実的とは言えません。
仮に金利が上がれば買い手がつかず不動産価格は下がり、逆に金利が下がればそれを利用して不動産を購入する動きが活発になりますので、不動産価格は上がります。金利によって住宅購入が活発になるかどうかが決まるので、お金を借りる側ではない住宅の売主にとっても金利は無視できない存在なわけです
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金利はどうやって決まる?
住宅ローンの金利は銀行が決めています。そのため銀行によって金利は異なります。私たちがお金を預けたりお金を借りたりする銀行は、私たちから預かったお金を使って資産運用をして利益を上げています。資産運用の元手となるのは私たちの預金だけではなく、銀行の銀行である日本銀行から借りたお金も含まれています。
日本銀行が各銀行にお金を貸す際にも、当然金利がかかります。銀行が住宅ローンなどで私たちにお金を貸す際には、いわばお金を借りる中間マージンを取られている状態です。銀行が私たちにお金を貸す際には、日本銀行からの金利よりも上乗せすることで利益を上げるという仕組みになっています。つまり銀行が住宅ローン金利を決定する大きな要因は日本銀行からの金利だということです。
住宅ローンの種類
各金融機関は、さまざまな住宅ローンを用意されており、商品によって金利も異なります。住宅ローンにおける金利には「変動金利」「固定金利」の2種類があり、固定金利は「固定期間選択型(固定金利選択型)」と「全期間固定金利型」に分かれています。それぞれの特徴について確認しておきましょう。
変動金利
変動金利はその名の通り景気などに合わせて金利が変動するもの。スタート時の金利は固定金利よりも低いですが、上昇するリスクもあります。多くの銀行は半年ごとに金利を見直しており、もし金利が上昇しても毎月の返済額が上昇するのは5年に1回、最大でも1.25倍までとなっています。そのため、急激に返済額が大きくなることはありません。しかしこれは金利が1.25倍までにしかならないという意味ではなく、あくまで月々の返済額のこと。金利が高くなれば総返済額も増えるので、返済期間が延びるといったことは起こりえます。
固定期間選択型(固定金利選択型)
商品名に「3年固定」や「10年固定」などとついている住宅ローンのことです。固定期間が長いほど金利は高いです。一定の期間は金利が変わらないのが特徴です。固定期間終了後は改めて固定期間選択型にするか、変動金利型にするかを選びます。最初の固定期間終了後の金利は、その時点における金利が適用されます。全期間固定金利型と比べると固定期間が短いのでスタート時の金利は低いですが、固定期間終了後の金利次第でどうなるか分からないというリスクはあります。
全期間固定金利型
借り入れから返済完了まで金利が変わらないタイプの住宅ローンで、「フラット35」が代表的な商品です。変動金利よりもスタート時の金利は高いですが、最大のメリットは金利が上昇するリスクがないところです。これにより借入時から総返済額と毎月の返済額を確定できます。仮に市場の金利が下がった場合は、借り換えを行うことで金利を低くすることも可能です。
どの金利タイプを選ぶべきか
現在の変動金利の金利が約0.44%であるのに対し、全期間固定金利型は約1.3%です。そのため変動金利を選ぶ方が増えています。どれを選べばよいかに正解はありませんが、まずは完済まで金利の変わらない「全期間固定金利型」から検討するのがおすすめです。3つの金利タイプの中では金利が高いとはいっても現在は過去最低水準です。
変動金利は金利が安いので、予算が少ない方におすすめだという考えは誤解です。たしかに金利が低いままならそれでもよいのですが、上昇したときに返済が不可能になるリスクは考慮すべきでしょう。変動金利は借入金額が少ない場合におすすめの住宅ローンです。
「3年固定」や「10年固定」を選ぶのを検討していただきたいのは、期間中にライフスタイルが変わる方です。たとえば子どもの教育費がかかるのでまずは10年固定にするといった選択肢があります。
現在の住宅ローン金利は過去最低水準
現在の変動金利の金利が約0.44%であるのに対し、全期間固定金利型は約1.3%です。これらの現在の住宅ローン金利は、どの金利タイプのものも過去最低水準になっています。非常に低い金利にあるので不動産は買いどきであると言えますし、金利が低いと市場が活発になるので売りどきでもあります。
これから住宅ローンの金利は上がる?下がる?
これからの住宅ローンの金利が上がるか下がるかは、日本銀行の金利次第です。実は日本銀行からの金利は、すでにゼロに限りなく近い数値になっています。これは、銀行がお金を日本銀行から借りやすくすることで一般の人も銀行からお金を借りやすくし、結果として世の中にお金が出回るようにする金融緩和策の一環で、以前から行われています。日本銀行はこの金融緩和策を維持することを明言していますし、必要に応じて追加の金融緩和策を実施することを発表しています。
また、マイナス金利政策として、日本銀行に預けているお金に対する利子がマイナスになっています。つまり一般の銀行は日本銀行にお金を預けると減らないどころではなく損をする状態になっています。このことからも住宅ローン金利は上がらないだろうという予測ができます。
住宅ローンの金利から見る不動産の買いどき・売りどき:まとめ
この記事では以下の内容を紹介しました。
監修者:Y.Suzuki
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧
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