プロが教える!はじめてのマンション相続マニュアル

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マンション

目次

相続税が平成27年に改定され、「相続税なんて一般庶民のうちには関係ない」と思っていた方に対しても、今後は相続税の課税対象となるケースが増えています。今回はマンションを相続された方、あるいは相続されるご予定の方に、マンションを相続するとどのくらい相続財産の評価額が軽減されるのか、また相続した後のマンションにそのまま住む場合、売却した場合に利用できる特例について解説します。

なぜマンションを相続すると相続税が減るのか?

不動産特有の評価方法を理解しましょう

相続税対策としてなぜ現金ではなく不動産を相続させた方がよいのか。マンション含め不動産の相続税評価額の計算については、土地と建物に分けて計算します。

土地:路線価(1㎡あたり)×面積(㎡)
建物:固定資産税評価額

一般的にですが路線価は実際に取引される市場価格の8割程度、固定資産税評価額は同じく市場価格の6割程度の価格と低い価格で評価されます。つまり現金でもっているよりも不動産を購入した時点で相続税での評価額が下がるわけです。

次に、マンションでの相続に焦点を移しますが、基本的には上記の評価方法と変わりませんが1つだけ「持分割合」という項目が加算されます。

土地:路線価(1㎡あたり)×面積(㎡)×持分割合
建物:固定資産税評価額

マンションは1つの土地・1つの建物を多くの人が分け合って所有していることです。そのため、最終的な評価額は各人ごとの「持分割合」によって決まります。
建物の評価額については、市町村から毎年送付されてくる固定資産税の「課税明細書」に記載されています。次に土地については、敷地面積に「路線価」と「持分割合」を掛け合わせて計算する必要があります。路線価については国税庁HPの「路線価図・評価倍率表」を参照してください。

タワーマンション購入が節税になる理由と注意点

近年、タワーマンションが首都圏を中心に建設が非常に多くなっており、これを活用した相続税対策が話題になっています。タワーマンションがなぜ相続税節税になるかと言えば、先に説明した不動産(マンション)の相続税の計算方法を見ていただければわかりますが、入居戸数が普通のマンションよりも非常に多いため、持分割合が非常に少なくなります。よって、土地の相続税評価額が下がります。

併せて建物の方ですが、タワーマンションの高層階になると人気が高く、販売価格が非常に高くなります。ただしタワーマンションの1階であろうが、最上階であろうが相続税の基準となる固定資産税評価額は変わらないのです。つまり1階が3000万で売られている部屋と最上階1億円で売られている部屋も固定資産税評価額は一緒なのです。

これだけを説明すると、節税対策としてタワーマンションの購入が良いと思いますが、近年税務署もタワーマンション節税に対して監視の目を強化しており、単に居住用ではなく節税目的で購入した物件と露骨にわかるような事案については、「時価」評価でその後、追徴課税が課せられる恐れもあります。

また、平成30年4月1日以降完成のタワーマンションについては階層ごとに固定資産税が変わるように見直しがされるようですので、計画的な対策が必要かと思います。

相続したマンションは住む?売る?

簡単なマンションの評価額の計算

ケース1、配偶者が相続したマンションに引き続き住む場合

配偶者がそのままマンションに住む場合については、配偶者控除などを利用することで相続税を大きく軽減させることができます。配偶者には相続した財産について法定相続分の額もしくは1億6000万のいずれか大きい金額まで非課税にすることができます。
実際、この制度を利用することで配偶者の相続税はほぼゼロにすることができます。

ケース2、誰も住む予定がなく賃貸もしくは売却をする場合

相続人の誰もが別に自宅を持っており、そのマンションに住まない場合は注意が必要です。そのまま空き家の状態にしておくと、管理費や修繕積立金が毎月、固定資産税が毎年かかってきます。

賃貸に出すというのも1つの手ですが築年数が経ったマンションの場合は家賃が低い割にリフォームや修繕費用がかさむため注意が必要です。また入居者が決まってからも入居者からの対応や家賃管理なども必要ですので、賃貸を検討する場合は一度専門家に相談することをお勧めします。

また売却する場合でも、そのマンションに相続人が同居していたか、していなかったかにより使える特例が変わります

同居していた場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」として譲渡所得から3000万円が控除できます。また居住年数が10年を超える場合は、上記の3000万控除と併せて軽減税率の特例も利用できます。

具体的には、軽減税率の特例を適用すると、以下のようになります。

  • 譲渡所得が6,000万円以下の場合
    所得税10% 住民税4%
  • 譲渡所得が6,000万円超の場合
    6,000万円以下の部分は所得税10%、住民税4%
    6,000万円超の部分は所得税15%、住民税5%

短期譲渡所得の所得税30%+住民税9%、長期譲渡所得の所得税15%+住民税5%と比較しても税率が低くなっていることがわかります。どちらの特例も適用条件がありますので必ず利用する際は専門家などに確認してください。

マンション相続のまとめ

マンションによる相続対策は直前ではなく計画的に

露骨な節税の為によるマンション購入は税務署から指摘を受ける場合があります。ただし計画的に居住用などで購入しておくことで相続対策としては大きく寄与できます。