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家の買い替え・住み替えは上手にやれば、生活が向上。しかし、やり方次第では後の人生に良くない影響を与えることも……。この記事は、家の買い替え・住み替えの代表的な失敗パターンを知り、失敗を避けることを目的にしたものです。不動産のプロの意見を、是非参考にしてください。
読者からの質問
家の買い替えに失敗するのはどのようなケースがありますか?
家の買い替えで失敗しないために!不動産のプロからアドバイス
よくある家の買い替え失敗事例は4つです。順番にご説明していきます。
家の買い替え失敗例①:売却が間に合わずに買い替え物件を契約解除
まずは、買い替え物件を先に購入契約しているのに、自分の家が購入物件決済日までに売却出来ないケースです。自分の家が売却出来ていないので、お金がなく、購入物件の代金を支払えません。この場合は、契約解除という形になります。手付金を解約金として契約解除できますが、手付解約の期限は契約書に定められているので注意です。
もしも、手付解約の期限を過ぎてしまうと、債務不履行になります。すると、違約金まで支払う羽目に……。違約金は契約で定められている金額で、売買代金の20%程度です。元々、大きな買い物ですから、代金の20%も相応の金額でしょう。高確率で後悔することとなります。
ただし、当事者同士の合意さえあれば、決済期限を延長することも可能です。どうしても自宅売却の流れが購入タイミングに間に合いそうもない時は、延長交渉を行ってみるべき。「間に合わなかった」で後悔するのではなく、特例であろうとまずは交渉するのがおすすめです。
確かに期日延長の可能性もありますが、相手方も賃貸住宅の解約を行っているなどの事情があることも。延長を断られてしまうことも少なくありません。買い替えはタイミングが合わないとリスクが高いです。自宅を売却した金額が、確実に入金される合意を不動産会社にしておくと安心です。
不動産業者との間で取り決める内容は、ある期日まで希望金額で販売活動を行い、期日内に売却出来なければ合意の金額で不動産業者に直接売却するというもの。この手法であれば高く売れる可能性も残しつつ、自分の家の売却が買い替え物件の購入決済に間に合わない事態も避けられます。
家の買い替え失敗例②:焦って安く売却
次は、買い替え住宅を先に購入した時にによくある失敗です。購入する新居の契約解除期限までにどうにか売却するために、元の家を大幅に値下げして売ってしまうことがあります。ご近所トラブルなどの理由で家を売る場合、近所に知られないように不動産買取を選ぶ方もいますが、この場合も通常の不動産売買の相場よりも3割ほど安くなります。
なんとか期限までに家の売却が完了したとしても、それは当初の計画よりも低い売却価額。手持ち資金で賄えればまだ良いです。困るのは、住み替えによって家を安く売った分だけ、金融期間からのローンの融資額が増加してしまうケース。
毎月のローン返済額や返済する利息の増加、返済期間や返済回数の伸長もありえます。40代や50代の年齢で長期ローンを抱えると、子供に返済を強いることになるかもしれません。家の買い替えで最も効率的な方法は、借り替えローンを活用すること。ローンには諸条件や諸費用などがかかりますが、その時の金利や優遇などの内容次第では返済額を減らすことも可能です。
住宅の売却時のマイナスを長い目で見て取り返していくという意識を持っておくと良いでしょう。また、家を安く売った場合と手付金解約のマイナス金額を天秤にかけるのも1つの手。手付を解約流しにした方がダメージを抑えられる場合もあります。
近所トラブルなどで家を売る場合、トラブル内容をきちんと伝えてから家を売却するようにしてください。後々のトラブルの元になります。解除期限が迫って安く売却せざるを得ないのは、計画的な買い替えプロジェクトが行われていないからです。
業者買取でなくても、マーケットに聞けば確実に売れる金額はあります。確実に売却できる金額をボトムとして、最初は高めの価格設定にし、計画的に販売すると良いでしょう。価格変更のタイミングも、最初からきちんと決めておけば慌てるような事態にはなりにくいものです。念のために、不動産業者と買取金額の合意をしておけば、リスクはほぼゼロになります。
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家の買い替え失敗例③:売却に時間がかかり希望物件がなくなる
不動産の売り先行の場合によくある失敗の1つです。家の買い替えの最中、今の家を高値で売却しようと粘っているうちに、狙っている物件が売れてしまったという失敗ケース。
売却の初期に買主が現れてしまうと「もっと高値で売れかも」と思ってしまいがちです。すると、より高い金額で売却しようとするため、多くの人が最初の買主の申し出を断ってしまいます。しかし、そう思い通りにならないことも多く、最初の買主以降は買付申込も入らずに月日だけが経過してしまう失敗ケースです。納得できる金額で買主が現れたら、あまり欲を出さないほうが良いでしょう。「少しでも損したくない」という気持ちに振り回され過ぎないようにしてください。
また、狙っていた住宅が売れてしまっても、キャンセルや契約解除により再度売りに出されることもありますし、他のいい住宅物件が出てくることもあります。定期的なチェックがおすすめです。ただし、時期によってより速やかな決断が求められることもあるので、覚えておいてください。とくに、引越しや転勤が多い3~4月や9月は、ファミリー向けの中古マンションや一戸建てが、よく売れる時期です。やっと見つけた良い物件も、すぐに売れてしまう可能性は高いでしょう。
このケースも当初の計画が重要です。買い替え物件の購入物件の予算は最初からきちんと決めておくこと。また、住み替えたい物件に出会った場合、自分の家をどこまで安く売却するかのシミュレーションもしておくべきです。住み替え先の物件に、100%満足できることは稀。ほとんどの買主が、60点から70点くらいの物件を検討していることも知っておいてください。
減点部分をどこまで妥協できるか……そこで購入するか否かを判断しています。ごく稀に100点の物件に出会うこともあるかもしれませんが、その時は勝負時ですから「勝負時が訪れたら……」と想定しておくのも重要です。
家の買い替え失敗例④:買い替えが間に合わず、仮住まいが必要
家の買い替えの際に住宅ローンが残っている場合は、何としてでも売却してローンを完済したいところ。しかし、次の家探しが後回しになり賃貸マンションに仮住まいになってしまう失敗もあります。
その場合、家賃もかかりますし住み替えのための引っ越し費用は2倍。思わぬ出費になります。ただ、ローンが完済していれば、買い換えのための次の融資は受けやすいでしょう。ダブルローンと比較すればそんなに大きな失敗ではありませんが、早く次の家を見つけたいですよね。不動産屋に相談し売りに出される物件情報をこまめにチェックしておくようにしましょう。
家の買い替え・住み替えでは、思わぬ失敗をしてしまうことも少なくありません。個人ブログを漁れば、実際に家の買い替えで失敗した人の体験談も数多く出てきます。家の買い替えに失敗しないように、なるべくここで紹介した注意点を守るようにしてください。
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まとめ:家の買い替え・住み替えで失敗しないために
この記事では以下の内容を紹介しました。
何よりも当初の計画が重要です。以下の行動を行っておけばここに記載のあるような、行き当たりばったりで困ることは無くなります。
- 高めの金額で販売して、必ず売れる金額まで最初に決めたタイミングで価格変更する
- 業者買取について金額の合意をしておく
- 100点の物件が現れたときにどこまで価格を下げれるかの最ボトムシミュレイションをしておく
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧