不動産の売却と買取は全く異なるやり方です

仲介手数料を払う売却がポピュラーな売り方

家を案内する女性

不動産の売却方法には、仲介と不動産買取があります。それぞれにメリット・デメリットがありますし、特徴にも違いがあります。それらを説明した上で、仲介よりも不動産買取を利用したほうが良いのは、どんな場合なのかを解説します。

仲介と買取のそれぞれの流れを説明します。

  • 仲介…不動産会社を通して、買主を探す方法です。不動産売却では一般的な方法です。
  • 買取…不動産会社が買取する方法です。買取には2種類あります。
監修者から

以前は販売する不動産の築年数も浅く、そのままの状態でお客様に売却出来る不動産が多かったので仲介による売却がポピュラーでした。しかし、昨今は築年数の古い住宅も増えています。

そのため、リフォームしないと販売できない。そんな住宅も増えてきています。このような背景で、現在では不動産買取も一般的な不動産の処分方法になってきました。

 

即時買取

売主が売却したい不動産を、不動産会社に買い取ってもらう方法です。数日から数週間で売却可能です。

買取保証

仲介にて売却を一定期間設け、売却できなければ不動産会社と事前に取り決めた価格で買い取ってもらう方法です。高く売却できる可能性を残しながら、定められた期間を過ぎれば不動産会社に買取してもらう方法です。

仲介と買取の流れ

仲介と買取の流れは下表の通りです。仲介には時間を要する広告・販売期間がありますが、買取にはありません。

かかる日数仲介買取
1日売却相談・価格査定依頼売却相談・価格査定依頼
同日
不動産会社から査定価格の提示不動産会社から査定価格の提示
同日売却依頼・媒介契約締結---
3ヶ月〜広告・販売期間---
買取証明書受理---
1日契約条件調整契約条件調整
同日不動産売買契約締結不動産売買契約締結
同日残金決済・引渡・現金化残金決済・引渡・現金化

仲介と買取の相違点

不動産業者 女性

買主、売却期間などに違いがあります。

買主

仲介の場合の買主は主に個人。住むための購入が多くなります。一方、買取の場合、不動産会社が買主となります。未利用の土地や建物を購入し、リフォーム・リノベーションなどの付加価値を付け、転売を行う目的で購入します。

売却期間

仲介と買取の最も大きな違いが売却期間です。仲介は売却期間が長く、買取は短くなります。

仲介のデメリット・時間がかかる

リフォーム打ち合わせ

不動産会社は売買契約を約3か月後に行うことを想定して売却価格を査定します。その査定価格が相場と大きく違ったり、不動産固有の条件である立地や損傷・劣化、維持管理の状況によっては、売買契約に至る期間が延長します。

場合によっては、1年超えもあります。

買主候補者が現れても契約条件などの交渉もあり、売主側の条件との折り合いがつかず、売買契約に至らない場合もあります。売買契約に至った場合でも、決済が完了するまでには売買契約から1~2か月を要します。

買取はすぐ売れる

買主は不動産会社となるので、ゼロから買主の候補者を探すために広告・販売活動をする必要はありません。広告・販売期間が不要となるので、短期間での売却が可能になります。

直接、売主が買主である不動産会社と売買条件などを交渉しますので、売買契約に早く至ります。買主側の住宅ローン解除特約も無く、不測の事態が生じる可能性も低くなり、売却を進めることができます。

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不動産処分方法:不動産買取を選択するとどうなる? 不動産を売却する方法には、仲介業者に間に入ってもらって一般の方向けに販売を行う「不動産仲介」と、買い取りを行っている不動産業者に直接買い取ってもらう「不動産買取」の2パターンがあります。

 

商品価値が十分ある場合に限っては、売却のほうが高く売れる

仲介は市場相場並みに売却でき、買取は売却価格を低く抑えられる傾向にあります。

仲介の場合

多様な広告を利用して広く買主候補者を募るため、市場相場価格での売買契約に至る可能性が高くなります。個人の買主が多いため、値交渉も比較的スムースに進みます。

買取の場合

不動産会社は購入した不動産をお客様に販売できる状態にするため、リフォームやリノベーションを行い、付加価値を付けて転売。その上に販売経費・税金などの必要経費や加工手間がかかります。

つまり、買取の段階では、物件はまだ商品として不完全。手を入れてお客様に販売できる状態になった不動産と比較すると、売却価格は当然低く抑えられます。

目安として買取価格は、物件が十分な商品価値を持つ状態の70%前後になることもあります。

監修者から

注意しなければならない点は物件の状態です。不動産会社が手を入れなくても十分きれいで商品価値が100%であれば買取は損です。そのまま仲介会社に任せましょう。

逆に、経年劣化してそのままでは商品価値が100%と言い難い状態のお部屋……つまり、実力の70%くらいの状態のお部屋は買取が良いです。

買取価格も当然物件の状態に比例して70%位。その上で、不動産会社がリフォームなど費用をかけて加工して30%分を埋め、最終的には100%の状態にしてマーケットに売り出します。

売却は高く売れるが仲介手数料というコストもかかる

仲介の場合には仲介手数料が必要ですが、買取の場合には不要です。

不動産会社(仲介業者)へ支払う報酬(仲介手数料)限度額は、宅地建物取引業法で規定されています。仲介手数料は法律で上限が決まっており、物件価格によって%は変わってくるのですが物件価格×3%+6万円×消費税で計算できます

不動産の取引金額が3,000万円の場合の仲介手数料限度額は?

(3,000万円×3%+6万円)×1.10=105.6万円

となります。

買取の場合は不動産会社へ支払う報酬(仲介手数料)は不要です。以上をまとめますと、下表の通りです。

 仲介買取
買主主に個人不動産会社
売却期間販売・広告に要する時間が必要となるため、長くなります不動産会社が買主となるため、販売・広告が不要となります
売れる価格市場相場価格での売却の可能性が高くなります。よって買取よりは高く売却できます不動産会社が転売するため、付加価値をつけたり、必要経費や利益を上乗せするため売却価格は低く抑えられます
仲介手数料取引金額の3%プラス6万円(取引金額が400万円長の場合)不要

買取のメリット

不動産について説明する女性

買取は、仲介と比べて買主、売却期間などが異なるため、さまざまなメリット・デメリットが生じます。すでにご紹介した仲介手数料が不要になることと、すぐに売れること以外にも3つのメリットがあるので紹介しましょう。

瑕疵担保責任(*1)が免責

仲介の場合、売主には瑕疵担保責任が生じます。売買契約書には一般的に引渡し後3か月間、不動産の瑕疵(損傷・劣化・不具合)や設備の故障が発覚した場合、売主の責任が生じることが記されます。

買取の場合、不動産会社が瑕疵をわかった上で購入しますので、瑕疵担保責任が免責となる売買契約が多くなります。後日、生じる可能性のあるトラブルの回避が可能になります。

*1 瑕疵担保責任とは?

不動産を売却後に瑕疵(欠陥)が発覚した場合、売主の買主に対する責任のことです。

内覧対応しなくてもよい

仲介の場合、買主候補者の内覧は必須となり、内覧回数も売買契約ができるまで続ける必要があります。買取の場合、不動産会社が現地調査後に内覧をすることはありません。

多様な種類の不動産を買取

戸建・区分マンション以外にも、アパート1棟やマンション1棟などの買取をしてくれる不動産会社もあります。

ただ、再建築不可物件(道路に接している面積が狭い等の理由)など買取ができない物件もあるためどんな不動産でも売れる訳ではありません。

買取を利用したほうが良い場合はどんな時?

汚いキッチン 住宅

上記の仲介と買取の違いや買取のメリット・デメリットを鑑みますと、どんな時に買取を利用したらよいのかが見えてきます。

築古物件

外壁などに損傷・劣化がなくても、隠れた水道管や下水管などが老朽化し、売却後に瑕疵担保責任により高額な修繕費を要求される可能性があります。このようなリスク回避のために買取は有効です。また築古物件は買主候補者にとっては、建物や設備の老朽化をイメージさせますので、売却しづらくなります。

このような場合でも、不動産会社は転売するノウハウを所有していますので、買取は有効です。

早く売却したい時

不動産会社が買取しますので、広告・販売期間が不要です。場合によっては1週間で決済されることもあります。早く現金化する必要がある場合には、買取がお勧めです。

特に住む予定がない親の家を相続した場合なども、時間をかけて売却するより買取の方が手間がかからず良いかもしれません。

事件・事故物件

事件・事故の内容にもよりますが、告知義務が生じる場合には仲介での売却は困難を極めます。買取ならば、不動産会社が事情に対応して付加価値を付けて売却したり、賃貸で活用したり、さまざまなノウハウを所有していますので、早期に解決します。

築浅物件でも損傷・劣化が酷い場合

損傷・劣化により見た目が悪いと、内覧に来られる買主候補者のイメージは悪くなります。仲介では売却するのに長期化する可能性が高くなります。買取ならば、不動産会社がリフォーム・リノベーションにより、魅力的な物件に様変わりする術を知っていますので、早期に解決します。

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買取に向いている物件もある

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手間なく早く売れる買取も一つの手段です

不動産買取について、以下の内容を中心に説明をしてきました。

訳あり(築古、事件・事故、損傷・劣化)物件であったり、早期に現金化したい事情を抱えている場合は、買取が有効です。最大のメリットは手間なく早く売れることであり、デメリットは売却価格が安くなることです。この特徴を活かして買取を利用されることをお勧めします。

監修者から

ご近所さんに売却を知られたくない場合も、買取がベストです。不動産の販売活動は、最大の見込み客である「ご近所さん」に販売中の物件の周知から始まります。

つまり、隣人から周辺エリアの方にあなたが自分の不動産を売っていることを知られます。これを嫌う方は買取を選ぶと良いでしょう。買取ならば周囲に知られずに物件を売却できます。

監修 鈴木 良紀
(株)ウィルゲイツ・インベストント勤務。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。宅地建物取引士・ビル経営管理士

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不動産コンサルタント、水辺プロデューサー。アパート、マンション3棟所有:自主管理、不動産WEBサイト数社へ不動産記事投稿、不動産投資、資産組換えのアドバイス、水辺を中心としたまちづくり活動を企画、治水・親水の両立を目指す。資格:1級建築士、1級土木施工管理技士、宅地建物取引士