不動産の取引で確認しておくべき売買契約書の内容

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目次

初めての方は特に不動産売買契約書の読み取りが難しいと思います。せっかくお気に入りの物件を見つけたのに契約で失敗してしまっては悔やんでも悔やみきれません。ここでは不動産売買契約書の内容の中でも特に注意すべき点や分かりにくい点を挙げて解説していますので、参考にしてください。

初心者が注意しておきたい不動産売買契約書の内容

ビジネスマン

不動産売買契約書にある専門用語を分かりやすく解説

不動産売買契約書を読んでみたけれど、「意味が分からない」「どこが大事だかわからない」などの悩みは誰にでもあります。不動産売買契約書には専門用語が使われており、直接不動産会社から説明を受け、その場では理解していたものの、あとで読み返すとよくわからなくなってしまった……。

初めてのことならこのような経験はあると思います。このような状況に陥らないために、宅建士の資格を持つ私が不動産売買契約書の読み方を解説します。

サンプルを使って不動産売買契約書を解説

ポイント

不動産売買契約書で基本となる内容

※不動産売買契約書 サンプル書類ダウンロード

不動産売買契約書

ここで紹介しております不動産売買契約書のサンプルは、公益社団法人 京都府宅地建物取引業協会のサイトを参考にしております。
まず、不動産売買契約書に記載されている売買物件の情報について記載があるはずです。土地は所在、地番、地目、地積、建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積です。地積や床面積が実測値ベースなのか登記簿ベースなのかの確認も必要です。

また売買代金はもちろん、代金の内訳や手付金や中間金の額、それぞれの支払日を確認します。契約の対象となる物件と対価としての代金は不動産売買契約書の基本となります。なお、契約後に実測値と公簿面積との違いを清算する場合はその旨の記載があります。

その他の基本となる内容

基本的な内容以外に、所有権移転、引渡し、登記手続きが行われる日が記載されています。事前に聞いていたことと同じかどうか確認しましょう。また、固定資産税や都市計画税は1月1日時点の所有者に1年分まとめて課税されます。年途中で所有者が変わった場合、売主と買主の間で清算することになっています。マンションの管理費などと同様、清算についての記載を確認します。

確認すべき不動産売買契約書の内容①:手付金

契約書

手付金には解約手付、違約手付、証約手付の3種類ありますが、多くは解約手付と定めていて、記載がなければ解約手付となります。解約手付は売主か買主、どちらかが契約を解除するときに支払う保証金で、買主は事前に支払った手付金を放棄する、売主は事前に受け取っている手付金に加え、同額の手付金を支払うことで契約解除となります。

また、手付金は売買代金をすべて支払う時に返ってきますが、手続き上煩雑になるため、売買代金に充当することがあります。なお手付金の額は、売主が宅建業者の場合は売買代金の20%が上限となっています。想定外のことで契約を解除しなければならないことも考えられますので、手付金についての取り決めは確認しておきましょう。

確認すべき不動産売買契約書の内容②:危険負担

契約書

物件を引き渡す前に自然災害で建物が全壊した場合、だれがその損害を負担するのでしょうか。法律上、物件引渡し前に建物が全壊し、買主が住めなくなったとしても契約後であれば買主が負担しなければなりません。ただ、この場合は買主負担が重いため、契約には売主が負担する旨を記載するのが一般的です。

確認すべき不動産売買契約書の内容③:瑕疵担保責任・ローン特約

契約書

瑕疵(かし)とは、欠陥のことで、建物に欠陥が見つかった場合、売主に修繕を依頼するか、賠償請求することになります。この瑕疵担保責任について規定されているか、責任を負う期間はどのくらいに設定されているか確認しましょう。

また、ローンを組んで不動産売買契約を結ぶ場合、契約後にもかかわらずローン審査の結果、買主が代金を支払えないことがあります。買主の責任ではなく契約を解除する場合に、ローン特約があれば無条件で契約を解除することができます。

売買契約の流れ

ここで不動産売買契約を結ぶまでの流れについて解説しておきます。まず売主と買主が、物件の状況や条件、日程などを確認し、双方に問題なければ次のステップに進みます。そして契約を締結する前に行われるのが重要事項の説明です。重要事項説明書は宅地建物取引士が説明し記名押印しなければなりません。契約前にじっくり聞くことができる段階です。なるべくこの時に不明な点を解消すれば、この次のステップである契約に安心して進めます。

不動産売買契約書:分からない箇所は問い合わせること

マンションの部屋

トラブル時には不動産売買契約書の内容が重要になる

この記事では以下の内容を紹介しました。

不動産売買契約書は、後でトラブルになったとき解決しやすいようにお互いのルールとして定めておく書類です。いくら口で良いことを言われたとしても不動産売買契約書に書いていなければ守ってもらえるとは限りません。一般的に不動産の売買は金額が大きくなります。トラブル時にスムーズに解決できるよう契約書をよく読み、慎重に契約を交わしましょう。