目次
マイホーム購入の流れと注意点
6つのステップごとにプロが解説します
マイホーム購入は、人生最大のイベントの一つです。立地や購入先などを含めると、長期スケジュールで検討を要します。「新たなライフステージ」に向けて、マイホーム購入で失敗しないための段取りの把握が必要です。
検討項目
- マイホームを持ちたいと考える…購入時期を家族で共有、スケジュール明確化
- WEBサイトや書籍で情報収集…開発会社や販売会社に資料請求し、具体化
- モデルルーム見学…モデルルームの装飾品にはオプションが多い
- 資金計画の立案…建物価格以外の諸経費・税金に配慮
- 物件比較と住まいに求める優先順位を決める…家族と優先順位の調整、予算オーバーに注意
- 売買契約…設備や見積金額などの疑問点を全て解消後に契約
1.マイホームを持ちたいと考える
「こんな生活をしてみたい」、「あんな家に住んでみたい」というイメージ作りから、家族で話し合うと考えやすくなります。
いつ頃購入して、新たな生活をスタートさせるのかを家族で共有しておくと、自ずと注意点も浮かび出てきます。購入時期が決まれば、購入スケジュールも明確になります。
2.WEBサイトや書籍で情報収集
住みたい家のイメージが共有できたら、WEBサイトや雑誌、チラシなどで情報収集を始めます。「いいなあ」と思う物件があれば、開発会社や販売会社に資料請求をします。
設備についても気になるキッチンや収納設備などの資料を集めておくと、間取り検討の参考になります。
3.モデルルーム見学
ある程度の情報収集ができれば、実際にモデルルームなどの見学に行きます。遮音性、断熱性、気密性などの確認をし、間取りや設備の工夫箇所を参考にします。
ここでの注意点は、モデルルームは過剰に装飾されている場合が大半であるため、どれが通常設備で、どれがオプションかを把握することが必要です。
4.資金計画の立案
間取りや設備のイメージが少しずつ具体的になってきたら、資金計画を立てます。大半の方が住宅ローンを利用しますが、無理なく返済できるか否かが重要です。
建物価格以外にも諸経費や税金、引越し費用などがかかります。
購入後もローン返済以外に管理費・修繕積立金・税金がかかりますので、返済能力に応じたシミュレーションを数パターン準備しておくと良いです。
物件比較と住まいに求める優先順位決めていく
なるべく多くの物件・見積を比較し、準備した資金計画と照らし合わせて、総合的に満足度の高い物件を絞り込んでいきます。
見積の中身も大項目だけでなく、中項目・小項目まで確認して疑問が生じれば質問をし、不明点を解消するようにします。
小項目まで確認すると、見積に間違いがあることもあり、金額が数十万安くなることもありますので、妥協は禁物です。家族との話し合いの中での優先順位にも配慮しながら、最終決定をします。
売買契約
疑問点を全て解消し、納得できれば売買契約へと進みます。
マイホーム購入の主な失敗1:資金計画
住宅購入に伴う諸費用の諸費用が抜けている
住宅ローンの返済額だけを検討してのマイホーム購入をすると、様々な諸経費が毎年発生し、立ち行かなることになります。その様な失敗を避けるために事前の準備が必要です。
住宅購入時や購入後には、住宅ローン以外にも様々な諸経費がかかります。それらをまとめますと下表の通りです。
購入時点・購入直後の諸費用
- 頭金(物件価格の1~3割ぐらい)
- 仲介手数料 (新築の場合は不要)
- 住宅ローン事務手数料
- 住宅ローン保証料
- 引越し費用
- 火災保険
- 印紙税:契約時
- 登録免許税:登記時
- 不動産所得税:購入直後
購入後のランニングコスト
- 住宅ローン(元金+利息)
- 管理費 (修繕積立金)
- 固定資産税・都市計画税(毎年)
「いくらの住宅が買えるか」よりも「いくらなら無理なく返済できるか」に重点を置いた方が、失敗しなくて済みます。
特に、毎月かかる管理費・修繕積立金や毎年かかる固定資産税・都市計画税は結構な金額になります。また経過年数に伴い、修繕積立金は段階的に支払金額が増加するシステムを採用している場合が多いので、そのことも見越しての資金計画が必要です。
自己資金(頭金)が抜けていた
自己資金(頭金)をどれだけ準備できるかにより、住宅ローン返済額にも影響し、生活にも影響します。
建物価格を100%としますと、諸経費+税金は約10%となり、資金総額は約110%となります。これに対し、自己資金(頭金)を30%、住宅ローンを80%位にしますと、住宅ローン返済に無理が生じない目安となります。
3000万円の物件購入の場合
- 建物価格 3000万円
- 諸経費・税金 300万円
ローンと頭金の割合
- 頭金 物件価格の1~3割 300~900万円
- 住宅ローン 2,400~3,000万円
頭金は多く貯める方がもちろんいいのですが、生活には他の支出もあります。子どもに関する費用、医療費、自動車、臨時出費にも備えて手元にある程度はいざという時のためのお金を残して頭金に回しましょう。
頭金が少なく、ローンの割合が多いと金利分のトータルの出費が多くなります。逆に頭金を出し過ぎて、新居に映ったら預貯金数十万円以下ではリスクの高い生活になります。
住宅ローン金利が抜けていた
住宅ローンの種類は、主に3タイプあります。
- 変動金利型…返済額が5年間は固定です。6年目以降は金利見直しを半年に1回行い、返済額 の調整をするタイプです。
- 固定金利型…契約時の金利が、完済まで変わらないタイプです。
- 固定金利選択型…返済開始から一定期間固定金利とし、その後固定金利か変動金利かを選択する タイプです。
将来、金利が上昇して返済額が増加することに対して困る人は、固定金利型を選択されるとリスクの軽減となります。現在の低金利が当面の間続くと分析し、金利が上昇しても返済に支障が無い人は変動金利型を選択されると良いです。
マイホーム購入の主な失敗2:立地
いい家だけど、遠すぎた
間取り・広さや子供の教育環境を優先することにより、郊外へ移ることはよくあることです。しかし通勤に時間がかかり過ぎると、職場に着くまでに疲れ果ててしまうこともあり、後悔することになります。
ブラウン大学(アメリカ)の研究によりますと、通勤時間1分長くなるごとに、睡眠時間が約0.22分短くなると報告されています。通勤時間が1時間違うと、睡眠時間が約13分短くなる計算です。
通勤は毎日要する時間ですから、余裕を持たせた通勤圏内での立地の選択が、マイホーム購入を失敗しないポイントの一つです。
また住宅評価額は、都心の人気エリアであれば下がりにくい傾向にありますが、郊外で人気の無いエリアであれば、すぐに下がります。
将来住替え時にマイホームを手放す際にも、評価額が購入時の数分の一ということにもなりかねません。将来売ることも考えての立地の選択が、マイホーム購入を失敗しないポイントの一つです。
マイホーム購入の主な失敗3:消費増税支援策の適用
住宅ローン控除とすまい給付金とは
2019年10月1日より、消費税率が8%から10%に引上げられました。その景気対策として政府は住宅購入支援策である「住宅ローン控除」や「すまい給付金」などの制度の拡充を図りました。
それらを利用すると、消費増税前にマイホーム購入するよりも、消費増税後にマイホーム購入する方が有利になる場面も出てきました。ただしそれらの条件を満足しない住宅の購入により、せっかくの減税や給付金の恩恵を受けられない失敗事例もあります。
住宅ローン控除
年末ローン残高(上限額:4,000万円)の1%が、所得税から還付される制度 です。消費増税に伴い、控除期間が10年から13年に延長され、最大控除額が 80万円増加しました。
すまい給付金
住宅を購入すると、現金がもらえる制度です。給付額は最大30万円でしたが、 消費増税後は最大50万円に増加しました。
それらの主な条件の一部とトラブル事例を下記に説明します。
適用条件、床面積が50㎡以上
「住宅ローン控除」、「すまい給付金」の共通条件となります。この場合の床面積は、登記簿に表示される床面積です。戸建の場合は壁芯、マンションの場合は内法により測定します。
トラブルになるのがマンションの場合です。広告に表示される面積は壁芯で測定された床面積です。内法は壁の内側の辺長で測定されますので、広告で53㎡以下の床面積ですと、内法面積では50㎡を割る場合があり、上記制度を利用できないというトラブルが発生します。
登記面積がいくらになるか、司法書士に事前に確認する必要があります。
あまり古いと適用対象外!築年数
「住宅ローン控除」の条件となります。中古住宅の場合、築年数の制限は20年(中古マンション等の耐火建築物の場合は25年)以内という条件があります。
それを知らずに、戸建ての場合20年を超えた物件や、マンションの場合25年を超えた物件を購入すると、上記制度を利用できないことになります。販売会社に事前に確認する必要があります。
消費税率8%もしくは10%が適用されること
「すまい給付金」の条件です。
消費税率5%以前の物件は適用されません。
その他にも条件がありますので、確認する必要があります。
まとめ
マイホームで後悔しないために
マイホーム購入で失敗しないための流れと注意点を解説しました。事前の準備・調査がいかに大切かがわかると思います。
大半の人が人生で一番高い買い物になりますから、曖昧点を残さないことが、失敗をしない秘訣です。
また住宅ローン金利や住宅購入支援策も変更が伴いますので、小まめに情報収集をしてマイホーム購入を検討されることをお勧めいたします。