マンション売却の査定金額が出てきたら営業マンに確認したい3つのこと

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マンション

目次

元不動産会社勤務のライターが教えるいい不動産屋選びのポイント。不動産売却は多くの方は人生で初めての経験でしょう。だから慣れていなくて当然です。不動産会社を間違えると、売れる物件もなかなか売れなくなってしまいます。ぜひ参考にしてくださいね。

売却で重要なのは信頼できる不動産会社選びです

不動産会社

必ず複数の会社に見積もりを取ってもらおう

売却を依頼する不動産会社を決めるには、まずは複数の不動産会社に査定依頼をする必要があります。何故、複数なのかと言うと、査定額は不動産会社によってバラつきがあるからです。査定額やその他の条件を比較すると、より好条件で売ってくれる不動産会社を選択しやすくなります。

しかし、査定額は高ければ良いというものではありません。今回説明するのは、各社から査定額を提示された時に、営業マンに確認するべき3つのこと。査定額とともにこの3つのポイントを確認すれば、各社の査定額の妥当性やこれからの売却方針などを知ることができます。

不動産会社の営業マンに絶対確認する3つのこと

不動産会社 打ち合わせ

確認すること1.査定額の根拠

まず確認したいのが、どうしてその査定額になったのかという「根拠」です。不動産会社の中には、本来持っている価値以上の査定額を提示して媒介契約だけでも結んでもらおうとしたり、逆に安い査定額を提示して相場以下の金額で売り出して早期売却を図ったりする悪質な業者もいます。

このような業者に引っかからないためにも、きちんと査定額の根拠を示してもらい、妥当性を確かめる必要があるのです。具体的には、以下の3つを行いましょう。

  • 不動産売却の成約事例を見せてもらう
  • 評価ポイントを聞く
  • 現在の市場動向の確認

①成約事例

「成約事例」とは、過去に同じマンションや条件の似た近隣マンションが成約に至った金額と時期の情報です。

「去年、下の階のお部屋が3,000万円で売れましたよ」
「ほぼ同じ築年数や広さで、駅からの距離も同じようなマンションの部屋が、先月3,200万円で売れました」

このような情報ですね。過去の成約事例を元に査定をする方法は「取引事例比較法」といって、不動産会社がマンションを査定する主流の方法となっています。

いくつかの成約事例から平米単価を割り出し、売却するマンションに当てはめればおおよその価値の算出が可能。「平米単価×平米数」だけで査定額を出すわけではありませんが、査定額のベースとなるものです。しっかりとこの工程を踏んでいるかを確認するため、各社が参考にした成約事例は見せてもらうべきだと言えます。

②評価ポイント

続いて確認するのが、付加価値となりうる要因と、逆にマイナスのポイントとなってしまう要因です。きちんと査定をしている不動産会社は、「査定マニュアル」というものをもとに査定しています。

不動産会社の多くは「不動産流通推進センター」という機関が策定したマニュアルを使用。このマニュアルでは築年数、立地、日照、方位などを細かく判定・評価をします。自社独自のマニュアルを使用していたとしても、この点は変わらないはずです。

ご自身のマンションはどの点がプラスなのか、どこがマイナスだったのかをしっかり聞くことで、成約事例だけでは判断できない価値を確認できます。

③市場動向

査定額の根拠として最後に確認したいのが、現在の市場動向。マンションは土地とは違い、市場の浮き沈みがダイレクトに取引価格に反映するものです。とくに今のマンション価格の高騰を考えると、同じマンションでも数年前の取引価格と今とでは数百万円の差が生じることも珍しくありません。現在の動向を知ることで、最終的にその査定額が妥当なものなのかを判断できます。

確認すること2.「売り出し価格の目安」と「チャレンジ価格」

女性 税金

査定額とは「3ヶ月以内に成約が見込める金額」として算出されます。査定額は「売り出すべき金額」とは違うので、この点に注意してください。

まず事前知識として、「売り出し価格」と「成約価格」は一致しないケースの方が多いという認識を持っておきましょう。というのも「売り出し価格」は、いわばその不動産の値札のようなもの。購入希望者は、購入申し込み時に「値引き」を求めてくるのが不動産売買の通例となっています。値引き交渉に応じるも応じないも売主次第ですが、ある程度の値引きには応じた方がスムーズな契約に至りやすいでしょう。

そのため、「売り出し価格」にはあらかじめ「値引き分」を加味しておくのがおすすめです。このようなことを踏まえて、各社にどのくらいの目安で売り出し価格を考えているのかを聞いてみましょう。

チャレンジ価格とは?

もう1つ聞いておきたいのが、「チャレンジ価格」。チャレンジ価格とは、数週間~1ヶ月間、相場より少し高い金額に設定して高額売却を狙うための価格です。もちろん売主の意向によってはチャレンジ期間を設ける必要はありませんが、少しでも高く売りたい場合は挑戦する価値があると思います。

各社にチャレンジ価格や売り出し価格の目安の話を聞く最大の狙いは、マンション売却の一連の流れをどのように考えているかを知ること。その会社が、どれくらいの価格で売り出して、どのくらいの期間での成約を目指しているのか、落としどころとなる価格はどれくらいだと考えているのか……そのような方針や戦略が見えてくるはずです。

確認すること3.「自社買取」や「業者買取」の金額

ビジネスマン

マンションを売るには大きく分けて2つの方法があります。1つは一般の人に売る方法。そしてもう1つは、不動産会社や不動産業者に買い取ってもらう方法です。この2つの方法の大きな違いは金額。設備などの更新の必要が無くそのまま一般客に売却出来る物件を不動産会社や業者に買い取ってもらうと、相場価格の6~7割の値段でしか売れません。

逆に設備の更新などが必要な古い物件は、一般客がなかなか手を出しずらいです。そのため、買取業者の価格がマーケット価格になります。「安い」と感じるかもしれませんが、その原因は設備の更新などが必要だから。その価格が、ほぼ相場の価格です。「そのまま住める物件だったら買取なんてしてもらわないほうが良いじゃん!」と思うかもしれませんが、その通り。まず優先させるべきなのは、一般の人への売却です。

しかし、不動産は100%希望の期間で売れるとは限りません。半年経っても、1年経っても売れないマンションもあるわけです。そんなときに選択肢の1つとして考えるのが、不動産会社による自社買取や業者買取です。もし長期間に渡って売れない場合、そのまま売却活動を続けることもできますが、買取を選択すれば相場より安くなるとはいえ売れます。買取金額をあらかじめ聞いておくと「売ることができる最低金額」を認識できるでしょう。「最低でもこの金額で売れるんだ」とわかっていれば、逆算して値引きをするタイミングや値引き額などの戦略を練ることもできます。

買取価格はこんな使い方もできる

たとえば、相場価格が3,000万円のマンションの買取価格が2,100万円だとわかっていれば、

  • 「1年後には一般の人に売るのは諦めて買取をしてもらおう」
  • 「ということは、3ヶ月経っても売れなかったら300万円くらいは値引きしてみようかな」
  • 「半年後には2,500万円まで価格を落としてみよう」

と、なんとなくの売却プランが出来上がるんです。また買い取ってもらうのは金額的にはデメリットですが、メリットもあります。たとえば以下のようなことがメリットです。

  • 面倒な内覧対応がいらないこと
  • 隣近所にバレずに売却ができること
  • すぐに売却できてお金が入ってくること

買い替えなどですぐに売らなきゃいけない理由がある人には、とくに適した売却方法です。そもそも一般客にそのまま売却できる物件の状態である点が重要です。買った瞬間にリフォームが必要な物件などは、一般客が手を出しづらいでしょう。そのような場合は業者買取が良いです。

査定額にも各社バラつきがあるように、買取金額も不動産会社によって差があります。中には自社で買取事業をおこなっている不動産会社もありますし、付き合いのある買取再販業者も違うからです。そのため、査定額とともに買取金額についても確認するようにしましょう。その行動は、売却の選択肢を広げるとともに、不動産会社を選ぶ上での判断基準の1つにもなります。

買取を考えるのなら、買取専門の業者に一度相談してみましょう。おすすめは買取博士です。査定や手数料は無料ですし、買取してもらった後の物件への責任はなし。なるべく早く物件を現金化したい方にもおすすめです。

買取博士

信頼できる不動産会社を選ぶために

リビング

不動産会社の善し悪しは、査定金額だけでは測れない

この記事では以下の内容を紹介しました。

査定依頼をするのは、査定金額を知るためだけではありません。査定の場は、こちらからすれば不動産会社を査定できる格好のチャンス。今回挙げた3つのポイント以外にも、各社の対応の仕方はどうか、担当者の人間性はどうか、なども気にしてみてください。これだけ色々なことを聞けば、自ずと各社の特徴や担当者の人となりはわかるかもしれませんね。

相対的に見て「この会社、この人になら売却を任せられる!」と判断できるまで、妥協せずに検討を重ねてください。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧