プロが教える!マンション売却で失敗しないための10ステップ

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家を売る

目次

マンション売却に興味をお持ちの方に下調べから契約までの流れを不動産のプロがご説明いたします。売却の理由はいろいろですが、相続や転勤、家族の増加により手狭になったという理由もあるでしょう。いざ売却しようと思ってもどこから始めればいいのか分からないものです。10のステップに分けて具体的な方法を書いていますので参考にしてください。

マンション売却に関する様々なお悩み

まずはマンション売却の方向性を見出すことが大切

様々な事情からマンションなどの不動産の買い換えに頭を抱える方は多いです。

例えば、相続したマンションを売却処分するにしても、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成しなければ相続登記ができません。登記のない不動産を購入する買主はほとんどいないため売却は難しいでしょう。

手狭で引っ越すにしても、いずれ子どもたちは大学や就職などで独り立ちしていきます。その後は夫婦二人になるのですから、買い替えにあたっては、こういったご自身のライフプランをしっかり見据えることも大切です。

転勤の場合は家族帯同か単身なのかという状況次第で住宅ローンに影響の出る可能性があります。金融機関との綿密な打ち合わせが重要になります。

こういった様々な悩みについて、まずは一般的な不動産取引の流れを把握することで方向性が見出せます。

以下は一般的な不動産の売却の流れについてご説明いたします。

下調べからマンション売買契約まで10ステップ

【1】マンション売却の準備(下調べ)

マンションを売却することに決めたら、まず準備や下調べをお勧めします。不動産取引のプロである不動産会社にオマカセでも決して悪くはありません。

しかし、何事も全てを任せきってしまうのは考え物です。値引き交渉や諸条件の交渉のあった場合にも、スムーズに意思決定できるだけの判断材料を自分自身で集めておくと良いでしょう。

最終的に売却する意思決定を下すのは売主自身なのです。

値引き交渉の判断材料としては相場を調べておくと良いでしょう。昔と異なり、今はインターネットで様々な情報を容易に得ることができます。

例えば、主要な物件情報サイトでは駅やエリアごとの相場を公開しています。これはあくまで『掲載されている物件の平均』ということですので、実際の相場とはいささか異なります。

それでも売却準備の段階の下調べとしては参考になります。さらにご自宅のエリアの売買物件も検索してみましょう。おおまかな相場感が分かるはずです。

そこに掲載されている物件はこれから売り出すご自身の物件の競合になります。特に同じマンション内の他の部屋が売りに出ていれば直接的にバッティングします。ダンピング競争になってしまうことも珍しくはありません。

準備の一つとして必要書類の用意があります。

主なマンション売却に必要な書類

  • 住民票
  • 運転免許証などの身分証明書
  • 固定資産税納税通知書(毎年6月ごろに届く)
  • 権利証などの所有者を証明する書類
  • 購入時の契約書類
  • マンション販売時のチラシ等
  • マンション管理規定

不動産会社へ売却を任せる際、媒介契約や査定のために必要書類の話が出てきます。媒介契約のための運転免許証や住民票あればすぐに用意できると思います。

しかし、古い権利証ともなると普段使用しないためにすぐに見つけられないということもあります。
売却する物件の権利関係書類(権利証・登録識別情報等)や、建物関係書類(購入時の契約書一式・販売資料等・マンション管理規約)といった書類は事前に見つけておくと良いでしょう。
毎月6月ごろに届く固定資産税納税通知書も用意しておくと良いでしょう。

注意が必要なのは不動産を相続したばかりというケース。まだ登記していないという場合もあります。
登記されていない物件を購入する買主は極めて少数ですので、早めに相続登記を済ませておく方が無難です。

相続登記には遺産分割協議書が必要となります。相続人の間で遺産分割の協議がまだ行われていなければ、早急に実施する必要があります。

【2】不動産会社を探す

マンションを売却する場合には媒介(ばいかい)会社へ依頼することになります。媒介会社とは売主の不動産を買主へ斡旋することを業としている不動産会社です。

同じ不動産会社でも分譲会社は自ら売主となってお客様へ直接販売するため、媒介会社とは言えません。
有名な不動産会社に売却を任せたいと考えても、その会社が媒介業務を行っていない場合には引き受けてもらえません。

すでに知っている媒介会社があり、信頼できるのであればそこに任せることがベターです。

しかし、媒介会社を知っている人もあまりいないのではないでしょうか。知っている人が勤めているけれどその会社が信頼できるかどうかは分からないということは多いかもしれませんね。
知り合いだからと頼んだものの、仕事ぶりや売却活動に疑問が生じても言いにくいという話も耳にします。

媒介会社に心当たりがなければ、街角の看板や広告をチェックしたりインターネットで検索するのも良いでしょう。
そうして目に止まった不動産会社は宣伝(露出)が優れているとも言えます。購入希望者も同じように目にすることでしょう。

逆に、店先に物件情報を掲示しているだけの不動産会社では、せいぜい店の前の通行人くらいです。露出も少なくて宣伝力に疑問があります。わざわざ露出の少ない不動産会社を選ぶ必要はどこにもありません。

支店をいくつも出しているような大手不動産会社の中から選ぶのも一つの方法です。法令順守がしっかりしているからです。

宅地建物取引業法という不動産会社を規制する法律があります。これに違反して業務停止となると、当たり前ですが全支店で同時に営業できなくなります。

大勢の従業員を抱えているため、営業停止はとても大きなダメージとなります。そうならないために大手不動産会社では法令順守を厳格に行っています。大手だから素晴らしいというわけでも、高値で早期売却できるということもありません。

しかし、営業停止など業法違反による大きなリスクを負っているだけに、法令順守や社員研修をしっかりやっているという信頼感はあります。信頼できる不動産会社を見つけられなかった場合には大手不動産会社を選ぶと無難です。

【3】マンション売却価格の査定依頼

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不動産会社へ売却価格の査定を依頼します。査定には大きく分けて2種類あります。

簡易査定(机上査定)

物件の種類・面積・立地・築年数などの情報だけで査定を行います。不動産会社の担当者が現地へ訪問する必要がないことからスピーディーな査定が可能です。マンションの場合は同じ建物内の成約事例や売却中の物件情報もあることが多く、比較的詳細な査定も可能です。

地元密着の不動産会社の場合、大まかな金額であれば電話で即答することもあります。簡易査定の段階であれば一括査定サイトを利用すると良いでしょう。査定依頼を一社ずつ行うとなると、同じようなやり取りや説明を繰り返すことになるのでなかなかに煩雑です。

一括査定サイトであれば、所定の必要事項を入力して送信するだけで複数の不動産会社へ一斉に査定依頼ができます。多数の不動産会社から査定額を提示してもらうことで、相場観を養い、偏った査定額に惑わされる心配もありません。簡易査定の価格や対応の良さから、詳細査定(後述)を依頼する不動産会社の選別を行うと良いでしょう。

大手が運営する一括査定サイトとしてはおすすめは以下2サイトがあります。個人情報を提供するので、大手企業の方が安心感があるのではないでしょうか。

1つは大手不動産会社6社が運営し、業界で最も知名度がある「すまいValue」。三井のリハウスや住友不動産など、大手不動産会社にまとめて査定が依頼できるサービスです。

すまいvalue 公式ページ

2つめはLIFULL HOME’Sが運営しているHOME’Sです。こちらは約1500社の不動産会社が登録しておりどんな会社なのか会社の特徴や担当者の説明も具体的です。

詳細査定(訪問査定)

簡易査定よりも信頼度の高い査定です。信頼できる不動産会社を知っているなら簡易査定ではなくこちらを依頼すれば良いでしょう。

そういった不動産会社に心当たりがなければ、やはり先に簡易査定で選別しておいた方が安心です。
担当者が物件を訪問して、近隣の環境やマンションの管理状況、室内の内装や設備の具合などを見ます。
査定のベースとなるのは簡易査定と同じ情報ですが、さらに現地の状況を加味してより精密な査定額を提示します。例えば、現地に行かなければ日照や騒音など査定に影響を及ぼす要素を把握できません。マンション全体の管理が行き届いているかという点も重要です。

査定依頼時の注意点

マンション売却の際には買主に対して告知しなければならない事項があります。雨漏りなどの不具合とその修理の履歴や、死亡事故や殺人事件といった一般的に嫌悪される要素(心理的瑕疵)などです。
近隣住人との騒音トラブルなどもこれらに含まれます。

査定に影響を及ぼす事柄もありますので、できれば伏せておきたいという売却希望者の方の心情は分かります。

しかし、売却後に発覚すれば訴訟や損害賠償の請求などもあり得ます。訪問査定の際には不動産会社へありのままを説明することをお勧めします。

【4】マンション売却の計画

売却を任せる不動産会社と相談して決定します。取り入れて欲しい要望があれば、この時にしっかりと伝えましょう。

特に打ち合わせをしておきたいのは「スケジュール」です。売却するまでに時間の制約のない人は滅多にいません。

例えば、転勤による買い替えの場合には、赴任する日や購入物件の引渡し日が影響します。

相続の場合には、相続税の申告や控除関係で期限が生じる場合や、あるいは相続人間の取り決めで売却期限が設けられている場合もあります。

また、売却額に関しては、住宅ローン(残債)の関係から最低売却価格が定められている場合もあります。

期限が迫っていても、最低売却価格以下の買い付けでは意味がないと言っても差し支えないでしょう。
もしも売却期限が短い場合には、最初から最低売却価格に近い金額で売り出した方がスピーディーに決まることもあります。

一方の不動産会社側としては、売却活動を早く完了させたいという事情もあります。報酬額の上限は法令で定められていますが、例えば、販売期間が長引けば人件費など販売経費は増加します。

いくらコストが増加したとしても上限額を超える報酬は請求できません。高く売却する方が報酬も増えますが、それよりも早期売却の方が不動産会社にとっては概ねメリットがあります。

従って、売却期限まで十分な余裕があったとしても、最低売却金額で買い付けが入れば売主へ売却するように強く進言することもあるでしょう。

高く売りたい気持ちは全ての売主に共通します。とは言え、せっかく入った買付申込を値引き交渉があるからと無下に断ってしまうのは賢明とは言えません。値引き額が妥協できる範囲かどうかや、売却期限までの残り時間などもしっかりと考慮して、前向きに検討する方が無難です。不動産は縁物と言わる通り、売却の期限までに購入希望者が現れるかどうかは運としか言いようがありません。

あるいは、期限直前に待望の購入希望者が現れたとしても、著しく低い金額で買付申込をする場合もあります。
「あの時売っておけば良かった」と後悔しないように、売却計画の立案ではスケジュールや最低売却価額などについてもしっかり話し合っておくことをお勧めします。

【5】不動産会社との媒介契約

媒介契約とは、マンションを売却するにあたり不動産会社へ販売活動を依頼する契約です。

なお、一般的には仲介(ちゅうかい)と言われることも多いですが、宅地建物取引業法では媒介という文言になっています。意味は同じと考えて差し支えありません。

媒介契約には3つのタイプがあります。「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」です。

専属専任媒介

売主様が自己発見した購入希望者、例えば友人や親族であっても媒介を結んだ不動産会社を介して契約しなければなりません。売主様にとっては制限の厳しい契約となります。

しかし、それだけ不動産会社にも厳しい義務づけがされており、責任を持って売却活動を行います。
媒介契約成立後、5日以内に国土交通大臣指定流通機構(レインズ)へ登録が義務づけられており、売主への報告は1週間に1回以上と定められています。他の不動産会社へ重ねて依頼をすることはできません。契約期間は3ヶ月を超えることはできませんが、再契約は可能です。

専任媒介

不動産会社を介さずとも自己発見の購入希望者と契約することができます。レインズへの登録は7日以内、報告義務は2週間に1回以上と、専属専任媒介に比べると緩やかな義務づけとなっています。
他の業者へ重複依頼ができない点と期間が3ヶ月という点は同じです。

一般媒介

複数の業者へ重複して媒介を依頼できるのが特徴です。レインズへの登録義務はありません。
契約期限に定めはありませんが、他の媒介契約と同じ3ヶ月という行政指導はあります。
複数の業者へ依頼できるというメリットもありますが、その反面、不動産会社としては他の業者で成約されてしまえば投入したコストは無駄になってしまうために、広告掲載の費用や販売人件費を抑える傾向があります。

このように3つの媒介タイプはそれぞれ特徴があります。状況に合わせて選択すると良いでしょう。
媒介契約のタイプの違いによって売却額や売却期間に差が生じるとはかならずしも言えません。
物件のスペックやエリアの動向、あるいはすぐに買うという方がたまたまいたというご縁などもあります。ほとんどの業者は専任媒介か専属専任で任せて欲しいと言うはずです。

1社に決められない場合には、まずは一般媒介で複数の不動産会社と媒介契約を結び、3ヶ月を目処に最も信頼できる1社へ専任媒介で依頼するという方法もあります。

【6】販売開始

マンション

媒介契約締結後、媒介業者が販売を開始します。

レインズ登録、自社HPや不動産ポータルサイトへの掲載、新聞の折込広告やポスティング、ダイレクトメール、オープンルームなどです。

不動産情報はインターネットにより容易に取得できるようになりましたが、今でも折込広告やポスティングなどのアナログな宣伝方法も効果があります。インターネットの場合は不動産に興味のある人が検索して広告を目にしますが、チラシの場合は興味のない人でも新聞やポストを開いた際に手に取り、その際に目に入ります。

例えば、近所のマンションの広告なら興味を持つ人も多いですし、自分の住んでいるマンションで売物件が出た場合にはやはり興味を持つでしょう。さらに、近年では親子世帯が同居ではなく同じマンション内の別の住戸に住むという「近居」も増えています。すでに住んでいるマンションであることから良く知っているという安心感もあり、スピーディーに契約に至ることも少なくありません。

売却することを他の住人に知られたくない場合には、チラシなどに部屋番号を記載しないなど、一定の情報制限を媒介会社へ指示すると良いでしょう。宣伝により購入希望者から問い合わせや内覧などの申し込みがあります。急に内覧客が来ることになっても慌てないように準備を整えましょう。

もしも全く反響がない場合には、媒介業者と相談の上、早期の値下げなども検討した方が良いでしょう。

また、この時期は媒介業者以外の不動産会社と接点が生じる場合もあります。顧客を案内する前の下見のために現地を訪れるケースは多いですし、決して珍しいことではありません。偶然出会った際には、「下見でおじゃましております」といった挨拶や、住んでいる人にしか分からないちょっとしたゴミの捨て方などを質問されることもあります。

しかし、不動産業界の慣習として電話や訪問など直接行うことはありません。特に要注意なのは「買い手がいるので自社と媒介契約を結んで欲しい」といった内容。これは通称『抜き』という不正行為です。

本当に買い手をもっていれば良いのですが、不正行為を行う業者ですから信憑性は高くはないでしょう。余計なトラブルに巻き込まれないためにもきちんとお断りして、媒介会社を通すように話しましょう。

【7】マンション内覧への対応

マンション購入希望者が訪問して物件を内覧します。マンション売却の場合には、エントランスや共用通路やエレベーターの中などの管理が行き届いているかチェックされます。ゴミ捨て場や駐輪場を見ることもあります。

週末や祝日などは内覧客が来ることも予想できますので、共用部分もできる範囲で良いので掃除をしておくと良いでしょう。物件内に関しても掃除をしっかりと行い、整理整頓しておくことをお勧めします。

特に、家族の成長や増加に伴い手狭になって買い替えするという場合、荷物が多いために部屋が著しく狭く見えてしまうことがあります。これを機に不要な物は処分し、必要な物も雑然とならないように注意しましょう。

オープンルーム(物件を1日開放して自由に内覧してもらう販売手法)を行う場合には、不特定多数の人間が出入りするため、貴重品などはきちんとしまっておくと良いでしょう。開放しない部屋を決めて大切なものなどをまとめてしまっておき、事前に撮影した室内写真を掲示しておく方法もあります。

壁紙や床などのキズや経年劣化による変色や剥がれはないに越したことはありません。

しかし、人が住んでいれば傷や汚れはあるものです。内覧希望者もそこは理解しているはずですし、購入後は自分好みにリフォームするケースも多いです。売主が費用を支出して張り替え工事をするほどではありません。

多くの場合、不動産会社(客付業者)の担当者が内覧客に同行してきます。媒介会社の担当者は同席しない場合もあります。どちらの担当者も同席しないということはあまりないでしょう。

営業トークはどちらかの担当者に任せて、売主様は部屋の中を簡単に案内する程度で大丈夫です。交通や買い物の利便性や、近隣のトラブル住民の有無などを質問されることがあります。

雨漏りの有無を尋ねられた際には、昔のことだからと隠さずに、いつ頃のことか、どのような修繕を行ったかを説明すると、きちんと建物を手入れしているという信頼感を与えられます。

その他、事実と異なる説明は後々の紛争の種となるので、ありのまま正直に話すと良いでしょう。

【8】購入希望者との交渉

内覧客は内覧後に購入に向けて検討を行います。さまざまな交渉が入る場合があります。まずは媒介会社が窓口となって交渉を受け付けてくれます。

一般人は不動産の交渉の経験もないでしょうし、交渉の術も知らないのが普通です。不動産取引のルールや各種法令についても同じです。媒介会社からアドバイスを受けながら、購入希望者との交渉をうまく進めていきましょう。

また、この時点では購入申込書や買付証明書など書面による購入の意思表示がされていません。固い商談という段階ではないため、あっさりと話が消えてなくなることも多いです。従って、あまり真剣に考え過ぎたり、相手の交渉を受け入れるための準備をしたとしても、それらが徒労に終わってしまうこともあります。

例えば、大幅な価格交渉が入った場合に、住宅ローンの残債の関係から金融機関へ相談してやっと内諾を得られたと思ったら、価格交渉をしてきた購入希望者は他の物件を購入してしまった。

あるいは、設備に不安があるために交換してくれたら購入するという交渉が入り、業者へ依頼して見積書が届いた頃には、他の物件に申込していたなど。こういったことは珍しい話ではありません。

また、内覧した際に交渉まがいの話をされることもあります。媒介会社の担当者が不在の時が多いです。購入するかもしれない相手からの交渉は無下にも断れません。そこで曖昧な回答をしてしまうと、相手が都合良く解釈してしまい、その条件で購入申込書を出してくることがあります。

クロスの張り替えくらいの内容なら支障はありませんが、金額面や引き渡し条件など、本来は購入申込書に記載した上で交渉するような内容でも、口頭で持ちかけられてしまうことも稀にあります。現地で売主が承諾したと主張して、言った言わないの水掛け論になることもあります。無用なトラブルにならないように注意も必要です。

ちなみに、内覧時に交渉まがいの内容を持ちかけられた場合には、「担当者と相談して後で回答します」などと受け答えすると良いでしょう。
いずれにしても購入希望者との交渉は媒介会社の担当者を介して行うようにしましょう。

【9】マンションの購入申込

マンション売却の査定

不動産会社を介して購入希望者から購入申込書や買付証明書といった書面が差し入れられます。

書面の名前は異なる場合がありますが、書面の性質は同じです。購入希望額・ローンの有無・引き渡し希望日など具体的な条件が記載されています。購入したいという意思表示を明確にする効果もあります。

売主は提示条件を確認し、媒介会社の担当者と相談の上で回答することになります。購入希望者の提示する条件で決まるということはありません。価格交渉などはその最たるもので、売主側は少し高めに売り出すことが多く、購入希望者側は強気の値引き額を入れることが多いです。間をとって金額の落としどころを定めるケースが多いでしょう。ローン残債の関係から値下げできない場合には、その旨を告げて値下げに一切応じない(応じられない)ということもあります。

ローンの有無はそのまま売買契約のローン条項の有無に影響します。ローンが通らなかった場合には無条件で契約解除になるというものです。

これは一般的な契約条項ですが、現金で購入する人に比べれば安定性が低いと言えます。また、ローン審査や決済までの期間があるために、現金購入に比べれば時間がかかります。買い替え予定で売却する売主の場合には、買い替え物件への影響も加味しなければなりません。

引き渡し時期も同様に、決済までの期間が影響する場合があります。

なお、購入希望者側の都合により引き渡しまでの期間が長い場合には注意が必要です。引き渡しまでの期間が長くなるほど、購入希望者側の事情に変化が生じる可能性が増します。契約解除されてしまうというリスクが増えることになります。

最終的には売主が自ら決断しなければなりません。

媒介会社は不動産取引のプロですから、不動産市場の動向や相場、取引の慣習や地域性なども含めて総合的なアドバイスを受けましょう。売主側の条件ばかりを突きつけても交渉はうまくいきません。
購入希望者とも良好な関係を構築しながらお互いに歩み寄るような交渉を心がけると良いでしょう。

【10】マンションの売買契約

押印

売買契約はマンション売却の一つの山場です。購入の場合には緊張もしますし、説明を受ける書類や署名捺印することも多いです。

しかし売主側は意外とシンプルです。所要時間も1時間かあるいはそれ以下と短く済みます。

例えば、買主と顔合わせの挨拶をする際。比較的多くのケースでは、買主は売主よりも早く到着して重要事項説明を受けます。重要事項説明は買主のために不動産会社が行うものです。

基本的に無関係の売主は、重要事項説明が終わる頃の時間を指定されているわけです。重要事項説明書に関しては取引条件や設備なども記載されています。念のため、事前に重要事項説明書のコピーを取り寄せて一読しておくのも良いでしょう。

説明の中で売主として意図してなかった条件が含まれていれば、契約日よりも前に指摘することでトラブルの芽を一つ摘むことができます。

マンション設備など付帯設備の説明は媒介会社の担当者が説明します。住んでいる売主本人の方が正確であることもあるので、買主からの質問により補足説明をすることもあります。ゴミ集積ボックスの使い方や分別、駐輪場や駐車場の実際の使用方法や申込方法などについて、具体的な話は買主側にとって有益な情報となるでしょう。

売買契約書への署名捺印。

これは売主も売買の当事者です。買主と共に担当者から説明を受け、読み合わせの上で署名捺印します。

この際、何か分からないことがあったら遠慮なく理解できるまで質問しましょう。分からないままで署名捺印してしまうと後で大きなトラブルになる恐れもあります。重要事項説明書と同様に、契約書も事前に一読しておくと安心です。

契約書への署名捺印が終わりましたら、手付金の受け渡しを行います。小切手などは額面をしっかり確認すれば済みますが、現金の場合は時間をかけてしっかりと数えるようにしましょう。

不動産会社が紙幣カウンターを所有していれば、契約のテーブルに用意されています。機械的なカウントミスもあり得ますので、2回以上カウントしてもらいましょう。

手付金の受け渡しの後に以降の決済や引き渡しなどの流れの説明を受けます。

売買契約までの10ステップ

媒介会社とよく相談することが大切

マンション売却ではプロである媒介会社の力量が大きいです。10ステップの中でも至るところで担当者から助言を受けるべき部分があります。

相続や転勤や家族構成の変動など、買い替えの理由に応じて売却のスケジュールやポイントは少しずつ違います。媒介を任せる不動産会社を上手に選びましょう。

しかし、最終的に売却の意思決定を行うのは売主ご自身です。10ステップの流れを把握して、各段階にて適切な判断を下せるようにしっかりと準備を行いましょう。

まずはマンションの査定から

マンションの売却を考えているのであれば、まずは査定を依頼して、どれぐらいの金額で売れそうなのか不動産会社の意見を聞いてみるのも良い方法です。

大手が運営する一括査定サイトとしては以下がありますのでご興味がある方は覗いてみてください。