安い物件には理由がある?中古マンションの相場と不動産価格を決める要素とは

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不動産物件を探すカップル

目次

マンションの購入は高い買い物ですから、多くの人が「少しでも安く購入したい」と思うでしょう。実際に物件を探すと相場より安い価格で販売されているものが見つかることがあります。

さて、このようなマンションは「買い」なのでしょうか?

本記事では、相場より安い中古マンションが販売される理由について、マンションの相場の調べ方、不動産価格を決める要素など基本的な内容をご紹介しながらお伝えしていきます。

中古マンション相場の調べ方

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「中古マンションを少しでも安く購入しよう」と思うのなら、まずはマンションの相場を調べることが大切です。マンションは投資用物件としても取引されることが多いことから、相場より安い物件はすぐに売買が決まります。逆に高い物件はほとんどの場合、売れ残ってしまうでしょう。よって、お得に中古マンションを購入しようとすれば「相場より安いかどうか」を意識することが重要です。

監修者から
マンションは個別性の高い商品です。同じマンションの同じ間取りのお部屋でも階数が1つ違えば眺望が格段に上がこともあります。よって相場という言葉の定義は「部屋の価値」と考えたほうが良いでしょう。相場を価格の平均値と捉えてしまうと、今話したような眺望が格段に上がる部屋は眺望の無い部屋よりも高く売り出されますので、単に価格の高い物件としてスルーしてしまう可能性があるからです。

周辺類似物件の価格を調べる

マンションの価格の調べ方にもいくつかの方法がありますが、立地や面積などの条件が似た物件の価格を複数調べるのも1つの手です。

たとえば、購入を検討しているエリアで3LDK、70㎡を条件として調べた時、2,000万円、2,300万円、2,200万円の3つの物件があったとしましょう。すると、上記条件の中古マンション価格の相場は、おおよそ2,100万円~2,200万円程度と判断できます。上記は3物件しか例に挙げていませんが、物件数を増やせば増やすほど、より精度は高くなっていきます。

監修者から
このように相場を調べておけば、物件の個別性を判断して「なぜこの価格なのか?」と判断が出来ます。価格が「相場」=「物件の価値」よりも安ければお得と考えることもできるでしょう。

販売中の物件か成約した物件か

物件の調べ方については大きく分けると「販売中の物件を調べる」方法と「成約した物件を調べる」方法の2つがあります。

販売中の物件を調べる方法は、大手不動産情報サイトを見るなどして、現在実際に売りに出される物件を調べます。一方、後者の成約した物件を調べるにはレインズの「レインズマーケットインフォメーション」や国土交通省の「土地総合情報システム」を利用します。

前者は販売されている価格にすぎず、実際に取引された価格ではない点に注意です。実際には、現在の価格から値引き交渉される可能性があります。一方、後者の場合は過去に成約した価格なので、より相場を調べるのに適しているでしょう。ただし、後者の場合は取引時点から現在まで時間が経過しているので、その間の経済情勢や地価の変動を修正する必要があります。両者を調べたうえで平均を取るのがベストかもしれません。

不動産価格を決める要素

女性

ところで、不動産価格はどのようなことを理由に価格が決められているのでしょうか。不動産価格を決める要素にはいろいろなものがありますが、ここでは主なものとして以下の3つをご紹介します。

  • 立地
  • 築年数
  • 間取り
監修者から

これに加えて「部屋位置」も非常に重要です。

    • 南向きで陽当たりがいいのか?
    • 角部屋なのか?
    • 眺望はいいのか?
    • 幹線道路から離れた部屋位置で静かなのか?

これらの事項も価格に大きく影響します。

マンションの立地

不動産の取引においては、物件の立地は非常に重要です。物件価格のほとんどは、立地によって決まると言っても過言ではありません。都心の場合、「主要駅から徒歩〇分」という点が重要なポイントで、人気のたる駅から徒歩10分以内の物件は価格が高く、かつ将来的にも価格が落ちにくい傾向にあります。

マンションの築年数

マンションの築年数も価格に大きな影響を与えます。多くの物件が築年数の経過と共に価格が安くなっていく傾向があります。たとえば、あるマンションの新築時の価格を100%とすると、築20年のマンションの価格は70%程度と考えると分かりやすいでしょう。

なお、一般的には新築から20年程度かけて物件価格はどんどん下がっていき、その後、30年を超えたあたりからあまり下がらなくなっていきますまた、築年数の古いマンションを購入する際には、物件価格だけでなく、修繕積立金の額や前回の大規模修繕の時期などの確認も大切です。

マンションの間取り

間取りや面積は基本的に部屋が多く面積が大きい程高くなります。一方で、そのエリアで一番人気のある間取りや広さを超えたり、それより小さかったりすると、相場より安くなってしまいやすいです。たとえば、3LDK、70㎡の物件が一番人気のあるエリアにおいて、該当物件の相場が2,100万円だった場合、㎡単価は30万円/㎡となります。

一方、同エリアにおいて、2LDK、50㎡の場合で1,300万円だったり、5LDK、100㎡の場合で、2,800万円だったりと、先述の㎡単価より安くなることがあります。そのエリアにおいて、これらの間取りの需要が低いからです。逆にいえば、そうしたエリアで一番人気の間取り以外の間取りを希望する場合は、お得に購入できる可能性が高いといえます。ただし、将来的に売却を想定しているのであれば、売却しづらいリスクも想定しておくことが大切です。

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高層マンション

物件を探していると、相場より安い価格で販売されている中古マンションを見かけることがありますが、こうしたマンションははぜ相場よりも安くなっているのでしょうか?ここでは、いくつかの例を挙げてみたいと思います。

該当エリアでは需要の少ない間取り

先にご説明した通り、中古マンションはエリアごとに人気の高い間取りがあります。たとえば、ファミリー層の居住者の多いエリアであれば2LDK~3LDKが人気の間取りとなるでしょう。一方、地価が高くワンルームマンションが多いエリアでは、2LDKや3LDKは価格が高く、買い手が少ないことから坪単価としては安く設定されることがあります。

修繕積立金が高いもしくは大規模修繕を控えている

マンションを購入すると、毎月の住宅ローンの返済以外に修繕積立金や管理費を支払う必要があります。中古マンションの費用としては、物件価格だけではなく、これらの価格も検討すべきです。売主の方もそれを分かっていて、修繕積立金が高いことを理由に物件価格を安く設定していることがあります

また、大規模修繕を控えた物件の場合、大規模修繕実施後に修繕積立金が高くなるケースがあります。物件購入前には、過去の修繕履歴の確認が大切です。

売主が買い急いでいる

離婚や転勤、相続等を理由に売主が買い急いでいる場合、物件にはとくに問題がないことが多いです。こうした物件はすぐに売れてしまうか、業者が買い取ってしまうことが多いため、見かけたらすぐに問い合わせするようにしましょう。

コロナ自粛以降中古マンション相場はどう動く?

マンション

2020年になり世界的に新型コロナウイルスが蔓延してしまったことで、経済は大打撃を受けています。こうした中、今後中古マンション相場はどう動くのでしょうか?まず、不動産の価値を示す地価については、経済の影響も大きく、2020年以降落ち込むことが予想されます。これに中古マンション市場も影響を受けて、ある程度価格が下がることが想定されるでしょう。

ただし、実は新型コロナウイルスによる不況下においても、居住用施設への影響は少ないとも言われています。というのも、店舗等商業施設については、家賃を支払えないことを理由とした退去などが多くみられ、これが物件価格にも大きな影響を与えることが考えられます。

一方で、マンションについては、経済が困窮しても退去するわけにはいきません。こうしたことから、中古マンション価格については、ある程度下がることが予想されるものの、大きくは下がらないと考えられるでしょう。

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まとめ:中古マンション購入の前に必ず相場をチェック!

女性スタッフ

中古マンションの相場について、その価格の決まり方や、安い中古マンションの価格の理由についてなどをお伝えしました。

中古マンションの購入を検討されている方は、本記事の内容を参考に、まずは相場を調べ、相場より安い物件を見つけられるよう工夫してみてください。2020年は新型コロナウイルスによる不況で中古マンション市場にも影響が及ぶことが考えられます。一方で、マンションなど居住施設については、その影響も限定的とも考えられており、中古マンションの購入を検討されている方は、現在からマンション探しを始めてみても良いのではないでしょうか。

監修者から

「相場」=「物件の価値」という視点と価格の平均値は物件の個別性「とくに部屋位置」を排除した価格という視点を忘れないでください。

弊社の事例で、東京都港区白金の同じマンションで2部屋フルリフォームを施した物件がありました。2つの違いは眺望の有無です。絶景の眺望のあるお部屋は専有坪330万円で眺望の無いお部屋は専有坪270万円で成約しました。専有単価の差額は60万円。1坪60万円の差ですから20坪だと1200万円の価格差が出ます。お部屋の条件によっては、価格がここまで変わります。

「なぜこの価格なのか?」を詳細に検討して間違いない物件選びをすることが重要です。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧