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子どもの独立や親の介護などをきっかけにマンションや戸建てへの住み替えを検討する方は多いです。この記事ではマンションへの住み替え、戸建てへの住み替えへのヒントとして、それぞれのメリットとデメリットを解説しています。世代別の注意点も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
マンションと一戸建て:住み替えるメリットとデメリット
まずは、住みやすさ・暮らしやすさについて、8つの観点からマンションと戸建てを比較していきます。この記事では以下の8つのポイントに焦点をあてました。
- 利便性
- 防音性
- 耐震性
- 耐火性
- 防犯性
- コミュニティ性
- ランニングコスト
- バリアフリー
マンションと一戸建ての比較①:利便性
マンションは駅近くなどの交通の便が良い場所や買い物がしやすい場所にあることが多く、立地による利便性は高いです。しかしエントランスから自宅の玄関ドアまでは距離がありますし、駐車場からだと5分ほどかかるものもあります。エレベーターがあってもたくさんの荷物を運ぶのは少々骨が折れるでしょう。
戸建ての場合、主な立地は閑静な住宅街と呼ばれるような落ち着いた場所になることが多いです。夜が静かというメリットはありますが、駅まで距離があったり買い物は自動車が必須だったりするでしょう。買い物は手間がかかりますが、敷地内に駐車場があれば玄関ドアまでは0分です。たくさんの荷物があっても自動車でギリギリのところまで近づけられるのは大きな利点と言えます。
立地に関わる点以外で、マンションならではの利便性としては設備やサービスの充実があります。24時間ゴミが出せる専用の場所があると旅行などの際にも便利ですよね。施設の管理は管理会社が行うので、廊下やエントランスはいつも清潔に保たれやすいです。
マンションと一戸建ての比較②:防音性
近年の分譲マンションでは床や天井が二重になっているものやコンクリートが厚いものが多く、隣の部屋の話し声が聞こえるようなことは基本的にはありません。しかし、壁や床を隔てて人が住んでいることには変わりないため、防音性を過信することなく一定の配慮は必要です。
一方、戸建ては独立性が高く、マンションと比べれば騒音トラブルは起きにくいと言えます。
マンションと一戸建ての比較③:耐震性
地震大国の日本においては、耐震性はとても気になるところです。鉄筋コンクリート造のマンションと木造が基本となる一戸建てを比較すると、耐震性はマンションのほうが優れています。
震度7クラスの地震の場合、戸建てでは倒壊するものの、マンションで旧耐震基準のものであっても全部倒壊はしなかったというデータがあります。ちなみに現在の新耐震基準におけるマンションでは震度5クラスの中程度の地震ではほぼ損傷なし、震度7クラスの地震でも倒壊しない程度の強度となっています。
マンションと一戸建ての比較④:防火性
マンションは不燃性のコンクリート、戸建ては木材で造られています。防火性は、マンションのほうが圧倒的に優れているでしょう。このことは火災保険の金額にも影響があり、マンションは戸建てと比べると火災保険料は割安になっています。
マンションと一戸建ての比較⑤:防犯性
マンションはオートロックをはじめとして防犯カメラや管理人室など二重三重のセキュリティがあります。戸建てでもホームセキュリティは普及していますが、厳重さで考えるとマンションのほうがセキュリティ対策は万全のことが多いです。
戸建ての場合は、基本的に1階部分にも居室があります。戸締りのし忘れなどにはマンション以上に注意する必要があるでしょう。実際に空き巣の被害件数は、マンションよりも戸建てのほうが圧倒的に多いです。
マンションと一戸建ての比較⑥:コミュニティ性
ご近所付き合いと考えると、一見戸建てのほうがコミュニティ性があるように思えます。しかし、マンションはいわば大きな建物内で共同生活をしているわけですから、マンションの住人同士の付き合いは多いです。また、分譲マンションであれば管理組合があり、定期的にさまざまな話し合いをするという点でもコミュニティ性は高いです。
マンションと一戸建ての比較⑦:ランニングコスト
マンションでは毎月、管理費や将来的な改修のための修繕積立金が必要になります。金額としてはそれぞれ月に1~2万円ほどです。また、自家用車を持っていれば駐車場代もかかります。一方で、戸建てには月々の支払いがありません。
戸建ては、必要な時に自分で修繕費を一括で支払う必要があります。毎月、修繕費を積み立てるのがマンションであり、事象発生時に一括で支払うのが戸建てです。戸建てに全くランニングコストがかからないわけではありません。
それでも、一戸建ての駐車場代無料は最大のメリットですし、管理費は自分で家の周りを掃除したりするだけなので、この分のコストはマンション住まいと比較すると浮いてくるでしょう。
マンションと一戸建ての比較⑧:バリアフリー
マンションは階段がなく、段差もほとんどありません。一方で基本的に戸建ては2階建てや3階建てとなるので、バリアフリー性は低いと言えます。
マンションと一戸建ての比較:まとめ
マンションが戸建てより優れている点は、耐震性・防火性・防犯性・バリアフリー性。一方、戸建てが優れているのは、防音性とランニングコストです。利便性はどちらも一長一短で、コミュニティ性については好みが分かれるところでしょう。
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世代別:住み替え時の注意点
ここまでの情報からもわかるように、戸建てにもマンションにもメリットがあればデメリットもあります。
さて、ここからは「40~50代」「定年間近」「定年後」の3つの世代に分けて、住み替えをするならどちらが良いかを考えてみましょう。主に、体力面と日々の暮らしやすさにフォーカスしていきます。
①:40~50代での住み替え
まだまだ元気で働き盛りであるこの世代。多くの場合はまだ子どもが社会人として独り立ちはしていないぐらいの年齢でしょう。住み替えを考えるパターンとしては、介護などを理由に親と一緒に暮らすことを検討している場合が多いのではないでしょうか。
介護を目的とするのならバリアフリー性が重要になります。バリアフリー性は年を取った親が過ごしやすいだけではなく、自分が介護をしやすくなる意味でも軽視できません。
現在の自宅が戸建ての場合、バリアフリー性の高いものへリフォームをする、もしくは二世帯住宅に建て替える方法もあります。しかし、現在がマンション暮らしなら数年で子どもが独立することを考慮すると、今の住居で同居するのが主な選択肢となるでしょう。
②:定年間近での住み替え
60歳ほどで定年間近の年齢の場合、子どもが独立して家の広さを持て余すようになった段階であることが多いです。
この世代の住み替えは、将来的な自分の暮らしやすさも考慮する必要があります。現代の日本では60歳はまだまだ元気な世代です。しかし、もう15年や20年もすれば確実に衰えを感じることになるでしょう。このタイミングで住み替えを検討するのなら、バリアフリー性の高いマンションがおすすめです。暮らしやすい平屋の戸建てを建てる方法もありますが、買い物や通院などの立地による利便性を考えるとマンションのほうがよいでしょう。
③:定年後の住み替え
定年後の住み替えのパターンとしては、子どもの独立、自宅での親の介護が終わった、自宅が老朽化してきたといったものが挙げられるでしょう。この際に重視したいのはやはりバリアフリー性です。
近年では老人ホームではないシニア向けの住宅として、バリアフリーの住宅も増えています。希望に応じて介護サービスが受けられる「サービス付き高齢者向け住宅」もあるので、現在まだ介護は必要なくても近い将来のことを見据えた住み替えが求められるでしょう。おすすめとしてはやはりマンションとなります。
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住み替えるときの世代別注意点:まとめ
この記事では以下の内容を紹介しました。
住み替えには、さまざまな注意点があります。マンションであっても戸建てであっても購入や建て替えには大きな費用がかかります。自宅の売却で得たお金や貯蓄で足りなければ新たにローンを組む必要もあるでしょう。リスクを減らすためには賃貸マンションという選択肢もあるので、自身の希望する生活の仕方に応じて選ぶようにしてください。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧