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開催延期から1年経ち異例づくしの開催ではあったものの、人々に大きな感動を与えた東京オリンピック・パラリンピック。その選手村として利用された施設が、マンションとして生まれ変わり注目を集めています。この記事では、選手村マンションである「晴海フラッグ」の基本情報からメリット・デメリットまで分かりやすく解説します。
選手村跡地都市計画プロジェクト「晴美フラッグ」
東京オリンピック・パラリンピックでは、東京都中央区晴海が選手村施設として利用されました。この跡地で計画されている大型プロジェクトが「晴海フラッグ(HARUMI FLAG)」です。晴海フラッグとは、マンション建設だけでなく公園や学校・保育園・交通施設なども整備予定となり、すべてが街の中にそろう一大プロジェクトとして注目されています。
選手村マンション:晴美フラッグの概要
都心エリアと湾岸エリアの中間に位置する便利な立地である中央区。その中央区に建設される晴海フラッグでは、約18ヘクタールもの広大な敷地に東京都と民間企業が協力して分譲住宅や商業施設などを開発します。さまざまなライフスタイルに合わせた住まいや施設を開発するなど、街全体としてデザインすることで東京の新しい顔ともいえるスポットとなるのです。
居住部分では、分譲4,145戸・賃貸1,487戸の総戸数5,632戸のマンションが建築されます。4棟のタワーマンションで構築され、オリンピック後に建設される2棟を除き、すでに建築も完了しているのです。分譲マンションは、次の3つの街区に分かれます。
SUN VILLAGE | SEA VILLAGE | PARK VILLAGE | |
築年月予定 | 2023年3月 | 2023年3月 | 2023年3月 |
総戸数 | 1,822戸 | 686戸 | 1,637戸 |
階数 | 地上18階/地下1階 | 地上18階/地下1階 | 地上18階/地下1階 |
間取り | 2LDK~4LDK | 3LDK~4LDK | 2LDK~3LDK |
日本でも最大規模のマンションプロジェクトとなり、注目を集めています。
選手村マンションの特徴と販売価格
晴海フラッグでは家族やライフスタイルに合わせて住まいを選択できるように、さまざまバリエーションの物件が用意されているという特徴があります。また、最も多い専有面積帯は85㎡台であり、これは首都圏の平均専有面積が約66㎡であるのに比べ広い間取りであるといえるでしょう。
例えば、SUN VILLAGEで見てみると、間取りは2LDK(61平方メートル)~4LDK(116平方メートル)と幅広いものです。販売価格は4,900万円~2億2,900万円と価格差も大きくあります。割いた購入価格帯が6,400万円と予想されているので、目安とするとよいでしょう。
選手村マンションの販売時期
当初の予定では、2023年入居開始として分譲を進めていた選手村でしたが、新型コロナウイルスの影響でオリンピックが延期。2019年には、第1期としてSEA VILLAGEが900戸前後の分譲契約を終えていたものの、オリンピック延期に伴い、入居予定も「未定」となってしまったのです。
しかし、2021年オリンピック・パラリンピック開催を受け販売も再開。2021年8月から延期していた見学会も再開しました。
SEA VILLAGEでは2021年11月・PARK VILLAGEでは2022年3月に販売再開。建設前だった残り2棟も2023年に竣工となり、2024年3月下旬を入居予定時期としています。
選手村マンションを購入する3つのメリット
ここでは、選手村マンションを購入するメリットとして次の3つを紹介します。
- 周辺相場より割安
- 景観が素晴らしい
- 最先端のシステムが導入
選手村マンションを購入するメリット①:周辺相場より割安
中央区は銀座などを有しておりハイステータスな土地でもあります。さらに、晴海フラッグは、生活に必要なものが街の中にそろい生活しやすい環境といえるでしょう。商業施設や学校・公園などが集結しており、東京のど真ん中という利便性の良さだけでなく、3方向を海に囲まれた自然豊かな土地でもあるのです。そのような環境にある選手村マンションですが、価格が比較的安いという大きな特徴があるのです。
晴海フラッグの物件価格の平均坪単価は約302万円と、周辺のマンションに比べ安い傾向にあります。例えば、SUN VILLAGEでは平均面積が85㎡以上に対し、最多価格帯が6,400万円です。ちなみに、不動産経済研究所によると、2021年7月のマンション坪単価が324.7万円・平均専有面積約66㎡・平均価格6,498万円という結果があります。
これに比べると、晴海フラッグは広い面積で安いというのが分かるものでしょう。都心であれば億単位の価格となってもおかしくない広さを有しながら、この価格帯というのは大きな魅力となります。
選手村マンションを購入するメリット②:景観が素晴らしい
晴海フラッグは3方向を海で囲まれています。景観を遮る高層建築物も周辺にはないため、東京湾を一望できる素晴らしい景観が臨めます。各タワーマンションでは、高層階にラウンジなども設置されているため、開放感ある空間で景観を楽しめるでしょう。また、敷地内には緑豊かな公園や多種多様な植栽も整備される予定のため、都心にいながら自然の雰囲気を感じられます。
選手村マンションを購入するメリット③:最先端のシステムが導入
タワーマンションでは、地下駐車場や水素ステーション・厳重なセキュリティなど最先端のシステムが導入されています。エネファームや蓄電池も標準装備されており、エネルギー効率も充実しているという特徴もあるのです。
また、商業施設や共有部分を次世代エネルギーである水素の活用やITを駆使した防犯カメラの設置など、街全体で最先端システムを取り入れています。
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選手村マンションを購入するデメリット
選手村マンションを購入するデメリットには次のようなことがあります。
- 大規模マンションで管理が煩雑になることが予想される
- 販売戸数の多さから将来は値上がりしにくい可能性がある
- アクセスが若干悪い
選手村マンションを購入するデメリット①:大規模なので管理が煩雑になると予測
大規模マンションは、入居者の多さから管理が難しいことが予想されているのです。例えば、港区には約5,000人もの入居者が生活している大規模マンションがあります。このマンションでは管理組合だけでなく、マンション独自として入居者による自治会も組織されており運用が困難な現状があるのです。入居者の規模で考えると、晴海フラッグも同様のことが予想されます。
自治体を組成して管理となったら、自治体活動が苦手な人にとっては活動が苦になることもあるでしょう。また、入居者の多さから管理が行き届かない場合もあります。大規模マンションゆえに管理が煩雑になる可能性があるというデメリットに注意が必要でしょう。
選手村マンションを購入するデメリット②:将来的な値上がりが見込みにくい
立地がよく最新鋭のタワーマンションであれば、将来性を考えて投資したいと思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、晴海フラッグは将来値上がりしにくい可能性があるので注意が必要です。晴海フラッグは分譲マンションの総戸数が5,000を超え、他のマンションに比べてもかなりの戸数が提供されます。そのため、将来的にかなりの数が売却される可能性があるのです。
売却数が多ければそれだけ価格も上がりにくい可能性があり、将来的な値上がりがあまり期待できないといえるでしょう。また、管理費や駐車場代も高額になるため、投資として保有するのは慎重に検討する必要があります。
選手村マンションを購入するデメリット③:アクセスが悪い
晴海フラッグはアクセスが良好とは言い難い面もあります。最寄りの駅である「勝どき駅」まで、徒歩16分~20分と離れているのはアクセスとしてはデメリットと言えるでしょう。最寄り駅が離れている代わりに、バス高速輸送システムであるBRTを新設し新橋と虎ノ門が結ばれる予定でもあります。朝の通勤時では1時間に12本の運航を予定していますが、入居者の規模を考えると賄いきれるのかは不安があるものです。
また、車通勤を検討している人にとって問題なのは駐車場でしょう。マンションの駐車場は全戸分確保できていないため、利用者が多くなると抽選になる可能性もあるのです。アクセルの面で不安があることに注意が必要でしょう。
選手村マンション購入のメリット・デメリット:まとめ
選手村マンション購入のメリット・デメリットをお伝えしました。
東京オリンピック・パラリンピックでの選手村跡地で計画されている、開発プロジェクト「晴海フラッグ」。晴海フラッグでは、タワーマンションだけでなく学校や公園・商業施設なども建築される予定です。分譲マンションは、立地や景観もよく都心の真ん中でありながら割安というメリットもあります。ただし、アクセスや将来の価格などに不安な面もあるのです。この記事を参考に、メリット・デメリットを比較し、購入を検討してみてはいかがでしょうか。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧