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中古マンションを購入する際には、物件そのものの金額以外にもさまざまな費用がかかります。これが、いわゆる初期費用というもの。この記事では中古マンションを購入する際に必要な、初期費用と目安の金額を解説します。これから、中古マンション購入予定の方は、ぜひ参考にしてください。
中古マンションの初期費用:目安は物件価格の8%
初期費用には仲介手数料をはじめとしたさまざまな費用があります。それぞれの費用を個別に見ていく前に、大まかな目安を示しておきます。
初期費用は「物件価格の5%~8%程度」かかるのが目安です。2,000万円のマンションであれば100万円から160万円程度かかる計算になります。
物件の価格によって初期費用は異なりますが、100万円単位でかかってくるものであることはあらかじめ頭に入れておいた方がよいでしょう。
中古マンション購入時にかかる初期費用の内訳
細かいものまで見ていけば、中古マンション購入時には非常にさまざまな費用・手数料がかかります。ここでは金額が多くなりがちな主なものを紹介していきます。
購入時にかかる費用は原則現金で用意する必要があり、借り入れるお金ではなく貯蓄などから捻出します。初期費用には不動産の取得に対してかかるものと、ローンを組む際に必要なものの2種類があります。
不動産取得に対してかかる6つの初期費用
①:頭金(物件価格の一部)
頭金は物件価格の一部を先払いするための費用です。購入時に必要な費用の代表格だと言えるでしょう。頭金を多く用意できれば、その分住宅ローンで借り入れる金額が少なくなります。住宅ローンには金利と呼ばれる「利子」があり、その金額は借り入れた金額のうち、未返済のものに対して一定の割合でかけられます。
つまり、住宅ローンで借り入れる金額が大きくなればなるほど、利子として支払う金額も大きくなるわけです。そのためなるべく多くの頭金を用意することが、不動産購入にかかるトータルの費用を減らすためのポイントとなります。
しかし、住宅ローンの金利は現状1%を切っており、非常に低金利な状況です。そのため現在居住中の家の家賃を払いながら頭金を貯めるのではなく、ローンで借り入れできる金額が購入したい物件の金額に達した段階で物件を購入するというのも1つの選択肢と言えます。
頭金を貯蓄から支払わない手法として、フルローンと呼ばれる頭金を含んだ金額をまとめて住宅ローンとして借り入れる方法があります。
この低金利の影響で、私のお客様のほとんどは物件価格全額を借り入れるフルローンで物件を購入しています。頭金を出す余裕があっても低金利で長期に資金調達できるフルローンは魅力があり、頭金を出さない分手元の資金も潤沢になるメリットがあります。
②:申込証拠金
不動産の購入を申し込む際に不動産業者に支払うお金のことです。これは「この物件を買う気があります」という意思表示のために支払うもので、申込証拠金を支払うことで売主が一定期間他の購入希望者に先に売ってしまわないようにできます。
買主側には一定期間しっかりと検討できるメリットがありますし、売主はひやかしの購入希望者を避けられます。あくまで申し込みであり、契約ではないため物件の購入に至らなかった場合、全額返金されます。金額は数万円であることが多いです。
基本的には新築物件のみで必要となります。キャンセルをせず契約に至った場合、支払った金額は後述する「手付金」に充当されます。
③:手付金
申込証拠金が申し込み時に支払うものであるのに対し、手付金は売買契約を結ぶ際に支払うものです。金額は購入代金の5%~10%程度であるのが一般的です。
不動産の購入は売買契約が結んだ瞬間に終わるのではなく、売買契約のあとに、住宅ローン審査を経て、最終的に決済が行われます。契約締結から決済までは2週間から1か月ほどかかります。手付金はこの間に買主都合で契約を解除する場合の解約金の役割を果たすものです。
手付金には解約金の役割があるので、契約を解除する場合は、手付金は返金されません。契約から決済まで滞りなく完了した場合は、物件価格に充てられ、フルローンで物件を購入しない場合、実質的には頭金と同じ役割をします。
④:仲介手数料
物件を紹介してくれた不動産業者に支払う手数料です。金額は物件価格によって異なり、「(物件価格(税抜)×3%+6万円)+消費税」が上限となっています。上限とはいえ、ほとんどの不動産会社でこの金額が必要となります。
⑤:印紙税
売買契約時に貼る印紙代は、売買契約書の記載金額により決まります。たとえば、物件の価格が1,000万円超から5,000万円以下の場合の印紙代は1万円です。
⑥:登記関係費用
不動産の所有者が誰なのかは法務局に申請する必要があります。これは専門性が高い書類を扱うので司法書士に報酬を支払います。登記をすること自体に対してかかる「登録免許税」と、司法書士に支払う手数料を合計すると5万円~10万円になります。
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中古マンション購入時のローンに関わる5つの初期費用
物件購入のために銀行などで組む住宅ローンには、ローンを組むために必要な費用があります。これも現金で用意する必要があります。
①:火災保険料
住宅ローンを組む際は火災保険を組むことも必須になります。年払いや5年・10年の前払いなどがあり、また、金額は補償内容によって異なります。おおよその目安としては年間2~3万円ほどとなるでしょう。ちなみに地震保険は任意加入です。
②:ローン保証料
ローン保証料は、住宅ローンの連帯保証人を立てる代わりに保証会社へ支払う費用のことです。万が一契約者がローンの返済をできなくなれば、お金は貸した金融機関は損をしてしまいます。そのようなリスクを避けるために金融機関がローンを組む条件としているものになります。金額は借入金額1,000万円あたり20万円ほどであることが多いです。
金融機関によっては、ローン保証料を設けていないところもありますが、その分審査が厳しかったり、金利が高かったりします。
お金を貸す金融機関がリスクを避けるための費用ですので、仮に支払いができなくなったとしても契約者にとっては、残債を返済する相手が金融機関から保証会社に変更されるだけで、引き続き返済の義務は継続します。
③:ローン手数料
ローン手数料は、単純に住宅ローンを組むために金融機関に支払う事務手数料です。3万円から5万円であるのが通常ですが、金融機関によっては「融資額の2%」などと設定しているところもあるのでご注意ください。
④:印紙税
不動産取得と同様に、ローン契約を結ぶ際にも印紙税がかかってきます。こちらは不動産取得のときは金額が異なり、1,000万円超~5,000万円以下の契約の場合は2万円です。
⑤:団体信用生命保険料
住宅ローンの返済中に契約者が亡くなってしまった場合などに、ローンの残債をすべて弁済してくれる生命保険のために支払う費用です。基本的には住宅ローンの金利に組み込まれているので別途で支払うケースは多くありません。
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不動産購入の諸費用支払いのためのローンもある
不動産購入のための諸費用は、物件価格を除いても100万円単位でかかることが珍しくありません。金融機関によっては、諸費用の支払いのための「諸費用ローン」を設けていることがあります。住宅ローンに上乗せするタイプのものと、別枠でローンを組むタイプのものがあります。
しかし、どちらにしてもローンである以上、金利(利子)が発生することは無視できません。諸費用ローンを利用すればその分金融機関から借り入れる金額が大きくなり、最終的に支払う金利の合計金額も大きくなります。また、諸費用ローンは住宅ローンに比べて金利は高くなるので、あまりおすすめはできません。
中古マンション購入時:初期費用のシミュレーションをしよう
最後に簡単なシミュレーションとして2,000万円の中古マンションを頭金なしで購入する場合の初期費用について計算してみましょう。申込証拠金は新築の場合に多い費用なので今回はないものとしています。手付金もローンでまかなう計算です。
仲介手数料「(物件価格(税抜)×3%+6万円)+消費税」
2,000万円×3%=60万円 60万円+6万円=66万円 66万円+消費税=72万6千円
売買契約印紙税
1万円
登記関係費用
10万円
火災保険料(年払い)
3万円
ローン保証料 1,000万円あたり20万円
20万円×2=40万円
ローン手数料(融資額の2%計算)
2,000万円×2%=40万円
ローン契約印紙税
2万円
以上、シミュレーションの結果、初期費用の合計は168万6,000円でした。借入額2,000万円に対する割合は、8.43%です。
ローンの保証料には、金利を0.2%上乗せして最初に一括で支払わない方法があります。この方法が、初期費用を抑えたい方にはおススメです。物件価格が2,000万円だった場合、初期費用の割合を6.43%に抑えられます。
まとめ:中古マンション購入時の初期費用は意外と多い
この記事では以下の内容を紹介しました。
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純粋な物件価格以外にも、意外と多くの支払いが必要です。後になって困らないように物件購入の前段階から意識しておくとよいでしょう。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧