ホーム 住宅ローン 5分で理解!マイホーム借り上げ制度『移住住み替え支援機構』を簡単に解説

5分で理解!マイホーム借り上げ制度『移住住み替え支援機構』を簡単に解説

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5分で理解!マイホーム借り上げ制度『移住住み替え支援機構』を簡単に解説

目次

所有物件を賃貸に出す際、借り手がつくかどうか分からないといった不安が常にあります。空室時でも一定の保証賃料が受け取れるものとして「移住住み替え支援機構(JTI)」が「マイホーム借り上げ制度」というものを提供しています。

この記事では移住住み替え支援機構とはどのような組織なのか、マイホーム借り上げ制度を利用する際のメリット・デメリットについて解説しています。

移住住み替え支援機構(JTI)とは

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移住住み替え支援機構は『家を建てては壊す』のではなく、社会の財産として長く活用することを目指す一般社団法人です。個人住宅を空き室時も賃料を保証した上で、長期にわたって借上げる「マイホーム借り上げ制度」の運用を主な活動としています。

移住住み替え支援機構は、協賛企業や国からの基金で運営が非常に安定しています。制度破綻する心配が少ないので安心して物件を任せられるという特徴もあります。

マイホーム借り上げ制度のメリット・デメリット

空室でも一定の家賃収入が得られるマイホーム借り上げ制度は、物件を所有する人にとって魅力のあるものです。大きなメリットがある反面で、利用する際には知っておきたい注意点もあります。メリットとデメリットについてそれぞれ確認しておきましょう。

移住住み替え支援機構:マイホーム借り上げ制度のメリット

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普通の賃貸とは異なる、マイホーム借り上げ制度ならではのメリットについて紹介していきます。

移住住み替え支援機構を利用するメリット①:空室時保証賃料制度がある

一般の賃貸物件であれば、入居者がいない限りは賃料が発生しないので家賃収入が得られません。しかし、マイホーム借り上げ制度では空室時でも保証賃料という制度があるので空室時でも一定の収入があります。入居者がいる場合よりは収入は減額されますが、空室でも収入がゼロにならない点はマイホーム借り上げ制度ならではのメリット言えます。

移住住み替え支援機構を利用するメリット②:賃貸期間は3年以上の定期借家契約

マイホーム借り上げ制度で貸し出す物件は、すべて定期借家契約となります。一般的な賃貸契約である普通借家契約が入居者にメリットがある制度だとすれば、定期借家契約はオーナー優位の制度です。

普通借家契約の場合は、入居者に特にトラブルを起こさなければ更新を拒否できません。しかし、定期借家契約の場合は、定期という名称のとおり期間の定めがあります。たとえば、一時的に賃貸に出したいけれど5年後にはまた住みたい場合には定期借家契約であるメリットが生まれます。賃貸期間は3年が基本で、それが満了すれば戻ることも売却することも可能です。

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移住住み替え支援機構を利用するメリット③:入居者と直接やりとりはなし

マイホーム借り上げ制度では移住住み替え支援機構がオーナーから物件を借り、それを入居希望者に貸す仕組みになっています。つまり、入居者と賃貸契約を交わすのは移住住み替え支援機構です。オーナーが直接トラブル対応をする必要がありません。

移住住み替え支援機構を利用するメリット④:賃料を担保にローンが組める

借り上げ対象の物件には定期的なメンテナンスが必要になります。その際の改修費用をまかなうためのローンや、住み替えのためのローンを、賃料を担保に組めます。退職後のようにローンが組みづらいときでもローンが利用できるメリットがあります。

マイホーム借り上げ制度のデメリット

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マイホーム借り上げ制度には、通常の賃貸にはないさまざまなメリットがある一方で、独自の制度だからこそのデメリットも多いです。制度の利用はメリットだけでなくデメリットも知った上で行うことが重要です。

移住住み替え支援機構を利用するデメリット①:50歳以上のみ(例外あり)

マイホーム借り上げ制度は、50歳以上のシニア層のための制度であるため、契約者が50歳以上でないと利用できません。たとえばある程度の期間住んだ自宅を転勤に伴って貸そうとしても、50歳以上でないとマイホーム借り上げ制度の利用ができないことになります。

ポイント

ただ、これには救済措置として新築物件の購入時に移住住み替え支援機構から一定の基準を満たしていると認められれば、50歳を待たずしてマイホーム借り上げ制度を利用できるというものがあります。

移住住み替え支援機構を利用するデメリット②:初期費用がかかる

マイホーム借り上げ制度は、どのような家でも利用できるわけではありません。制度を利用するためには移住住み替え支援機構の指定業者による耐震診断や建物診断を受け、合格する必要があります。診断自体にも費用がかかりますし、耐震基準を満たしていないとなれば耐震補修工事をする必要も。

この工事は築年数が古いほど費用が高くなり、100万円単位での工事費がかかります。家賃収入を得る前に費用がかかるのは、大きなデメリットです。

移住住み替え支援機構を利用するデメリット③:得られる賃料が相場より安い

マイホーム借り上げ制度を利用して賃貸に出す物件は定期借家契約です。定期借家契約は入居者にとっては不利なものなので、一般的な賃貸物件よりも賃料を安く設定する必要があります。賃料は、物件オーナーではなく移住住み替え支援機構が地域相場を考慮して設定します。このときの設定家賃を査定賃料といいます。

そして、相場よりも安い賃料のなかから15%が運営費として移住住み替え支援機構に徴収されます。そのため、実際に物件オーナーが得られる家賃収入は相場よりもかなり安いものになってしまうのです。

移住住み替え支援機構を利用するデメリット④:空室時の保証賃料はさらに安い

マイホーム借り上げ制度の最大のメリットは空室時でも家賃収入が得られる点です。しかし、空室時の保証賃料は、入居者がいる場合に得られる収入よりも低く、85%が目安となっています。

移住住み替え支援機構を利用するデメリット⑤:査定賃料も空室時保証賃料も定期的に見直しがある

査定賃料は、契約期間の満了時や退去がある度に見直されます。空室時の保証賃料も毎年見直されます。家は経年劣化していくものなので、基本的に賃料が上がることはありません。見直しの度に賃料は下がります。

ポイント

査定賃料や空室時保証賃料は、見直しがある度に下がる可能性が高いです。さらに、変更時にのみ通知が届く仕組みになっており、拒否はできません。

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移住住み替え支援機構を利用するデメリット⑥:初めの入居者が現れるまで収入なし

マイホーム借り上げ制度は、物件を登録して最初の入居者が現れてから利用開始となります。入居開始するまでの空室期間については空室時保証賃料が発生せず、家賃収入は得られません。

移住住み替え支援機構を利用するデメリット⑦:時間がかかりやすい

移住住み替え支援機構自体は、不動産会社ではありません。物件の客づけや広告は、移住住み替え支援機構が物件ごとに委託する不動産業者1社が行います。

また、マイホーム借り上げ制度を利用する際は一般募集ができない規定になっています。そのため集客力や宣伝力が弱くなり、入居が決まるまで時間がかかりやすいです。

移住住み替え支援機構を利用するデメリット⑧:物件の維持管理費

物件の維持管理費は通常の賃貸と同じようにかかります。マイホーム借り上げ制度を利用していても、家の修理や設備の補修にかかる費用はオーナー負担です。

まとめ:移住住み替え支援機構のマイホーム借り上げ制度は一長一短

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この記事では以下の内容を紹介しました。

いろいろとメリットがある反面でデメリットも多いマイホーム借り上げ制度。そもそも入居者が決まりやすい物件なら通常の賃貸物件として出せばよいので、最初の入居者が決まるまで収入が得られないというのはデメリットとして大きいのではないでしょうか。

とはいえ、最初の入居者が決まってからは、その後年数が経って空室が多くなっても一定の収入が得られるという安心感があります。制度としては一長一短なところが多いので、自身の物件状況などを考慮してしっかりと検討することが重要だと言えそうです。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧