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「住宅ローンが払えない!どうしよう…」そんな事態に陥ってしまう人も少なくありません。長いローン返済の間には、転職や病気など収入が減ってしまい住宅ローン返済が厳しくなるケースはあるものです。もし住宅ローンが払えなくなった場合、どう対処すればいいのでしょうか?この記事では、住宅ローンが払えない場合の対処法を紹介します。住宅ローンの返済に不安を抱えている方は、是非ここでの情報を参考にしてください。
対処法1:金融機関に相談して返済条件を見直す
住宅ローンの返済が難しくなった場合、まずは住宅ローンを借入している金融機関に相談することが大切です。金融機関で、返済条件やスケジュールなどの見直しを相談してみましょう。金融機関へ相談する返済条件については次のようなことがあります。
- 返済期間の延長
- 月々の返済金額の変更
- 一定期間返済を猶予してもらう
- ボーナス払いの取りやめ
金融機関としても返済が滞ってしまうことは避けたいため、相談に応じてくれる可能性は高いものです。また、近年は新型コロナウイルスの影響により、返済が難しい人が増えている傾向にあります。そのような人のための相談窓口を設けている金融機関も多くあるのです。返済が厳しくなりそうな場合は、なるべく早く金融機関に相談することをおすすめします。
ただし、相談したからと言って返済額そのものが減ることはありません。返済期間や月々の返済額を変更することで、最終的な返済期間が長くなるものです。その分の金利負担が増えてしまい、返済金額合計は大きくなる可能性があることに注意が必要でしょう。
対処法2:物件を売却して完済する
住宅ローンの返済が難しい場合、思い切って住宅を売却してしまうのも一つの手でしょう。将来的に住み替えを検討していた、住宅に思い入れがないなどであれば売却して、住宅ローンを清算することをおすすめします。
特に、離婚に伴う住宅ローン滞納の場合は、物件を売却して金銭で清算することであと腐れなく共有財産を分割できるものです。ただし、売却の場合は個人信用情報に事故情報として登録されてしまう前に売価客する必要があります。住宅ローン滞納は個人信用情報に事故情報として登録され、いわゆるブラックリストに載ってしまうものです。事故情報が登録されることで、次の住宅を見つけた時に住宅ローンが組めないなどの問題が起こってしまうので注意しましょう。
物件を売却するためには、まず不動産会社に物件を査定してもらい、売却予想額を把握します。このとき、物件を売却したお金で住宅ローンが精算できるのか、できないのかにも注意が必要です。住宅ローンは、売却額で住宅ローンが精算できるかどうかで、次のように分けられます。
- 売却額で住宅ローンが精算できる「アンダーローン」
- 売却額では住宅ローンが精算できない「オーバーローン」
アンダーローンの場合
アンダーローンとは、物件の売却額で住宅ローンが精算できる状態のことを言います。アンダーローンであれば、問題なく物件の売却ができるでしょう。
オーバーローンの場合
物件を売却しても住宅ローンが残ってしまうことを、オーバーローンと言います。オーバーローンの場合は、物件の売却が基本的にできません。物件を売却するためには、物件に担保として設定されている抵当権を抹消する必要があります。
抵当権とは、万が一、返済不能になった時、債権者が物件を売却して債権を回収できる権利のことです。この抵当権を抹消するためには、住宅ローンを完済する必要があり、完済できない場合は抵当権が抹消できず、売却もできないのです。オーバーローンになる場合の対処法は次の通りです。
- 売却後のローン残債を現金で返済する
- 住み替えローンを検討する
売却後のローン残債を手持ちの資金や親戚などから借りて返済できれば、問題なく売却できるでしょう。手持ち資金がなくローンが残ってしまう場合は、住み替えローンを検討するのも選択肢の一つとなります。住み替えローンとは、次の物件の住宅ローンに今住んでいる物件の住宅ローン残債を上乗せして借り入れできるローンのことです。
ただし、住み替えローンは審査が厳しく、金利も高いものが多く簡単には利用できない可能性があるので注意が必要でしょう。上記の対処をとれない場合は、基本的に住宅の売却はできません。
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対処法3:任意売却する
オーバーローン状態で住宅を売却する方法に「任意売却」があります。任意売却とは、債権者の同意を得たうえでローンが残っている状態でも売却できる方法です。住宅ローンが滞った場合に取られる物件売却の措置としては「競売」があります。
その競売を避ける方法として、一般的に選ばれる手段が任意売却なのです。
通常の売却と同様の条件で売却できる
任意売却の大きなメリットが、通常の売却と同様の条件で売却できるということでしょう。競売の場合は、基本的に市場価格よりも低い価格で売却されてしまうものです。しかし、任意売却であれば、市場価格で売却できるので、競売に比べ高く売却できます。
また、競売では売却額で仲介手数料や引っ越し費用の捻出ができませんが、任意売却ではそれらの費用の捻出が可能です。買主も選べるため親族や不動産会社に物件を買い取ってもらえれば、家賃を支払い同じ家に住み続けられる可能性もあるでしょう。
売却後の残債は金融機関と相談して返済していく
任意売却後、住宅ローンの残債をどうするのかは金融機関と相談して取り決めます。交渉によっては、ローン残債の圧縮が可能となり返済方法も交渉で決められるので、返済しやすくなるでしょう。
競売が決まるまでに売却しなければならない
任意売却する場合の注意点が、売却までの期間が短いということです。任意売却は、競売の入札が開始される2日前までに売却しなければなりません。競売がスタートすると、競売開始決定通知が届き、裁判所による調査が行われます。この調査が終了すると競売の入札が開始されるのです。
競売入札が始まってしまうと、任意売却がほぼできなくなります。任意売却は、金融機関などの債権者との交渉必要となり手続きにも時間がかかるものです。競売入札が開始される前に早めに売却をスタートする必要があるでしょう。
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対処法4:最終的には競売になる
競売とは、住宅ローンが返済できなくなった場合、裁判所の手続きで強制的に物件を売却し、ローン残債を回収する方法です。しかし、ローンを滞納したらすぐに競売になるわけではありません。住宅ローンを滞納すると、1か月ほどで督促状や催告書などが届きます。それらを放置していると、金融機関によって保証会社に住宅ローンの代位弁済の手続きが行われるものです。
代位弁済により保証会社が債務者に代わって住宅ローンを返済すると、保証会社は金融機関に代わって債権者となり、債務者に一括返済を請求します。この一括返済に応じられないと、抵当権を行使され競売手続きへと進んでしまうのです。競売までの期間は金融機関によって異なりますが、一般的には住宅ローンの滞納から半年~1年ほどで競売が開始されるでしょう。
相場よりかなり安い価格での売却
競売は、基本的に相場よりかなり安い価格での売却となってしまうものです。競売は入札方式で行われ、最低入札価格が設定されます。
最低入札価格は、裁判所の鑑定人により決定され、市場価格の70%ほどとなるのが一般的です。そのため、70%以上にはなりますが高額になることは期待できず、市場価格よりもかなり安い価格になってしまうのです。
競売後残債がある場合は返済しなければならず多くは自己破産
競売で売却してもローンの残債がある場合は、その分を返済しなければなりません。しかし、競売まで行く場合は残債を返済できるだけの資金はなく、自己破産するケースが多いのです。また、競売の場合は任意売却では認められる売却額での引っ越し費用の捻出が認められません。
入札方式のため親族に買い取ってもらうことも難しく、同じ家に住み続けるのは不可能ともいえるでしょう。引っ越し時期やローン残債の交渉する余地もないため、競売になると厳しい対応を迫られる覚悟が必要なのです。
競売になる前に動くことが大切
競売は最終手段であり、ここまでになってしまうと、大きなダメージを負ってしまうものです。可能な限り競売を避ける必要があるでしょう。そのためにも、住宅ローンの返済が難しくなりそうな段階で、金融機関に相談するなどの対処をスタートすることが重要です。住宅ローンを滞納しだすと、取れる手段も時間とともに狭まっていきます。早い段階で対処に動き出すことで最悪のケースを回避できるでしょう。
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住宅ローンが払えないときの対処法:まとめ
住宅ローンを払えなくなった場合の対処についてお伝えしました。
住宅ローンの滞納を続けていると、最終的には競売になってしまい、持ち家を手放すだけでなく自己破産しなければなりません。早い段階で金融機関に相談することで、返済条件を見直すことや売却などの対処法をとれるものです。この記事を参考に、住宅ローンの返済が厳しくなりそうだと感じたら、放置せずに少しでも早く行動するようにしましょう。
監修者:Y.Suzuki
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧