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この記事では毎年少しずつ変わる住宅ローンの減税制度について、2021年最新の内容を詳しく解説しています。
税金をお得にするための重要な内容ですので、ぜひチェックしてください。
住宅ローン減税制度とは
住宅ローン減税制度は正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言います。この制度は、個人が住宅ローンを利用してマイホームの購入やリフォームを行う場合に、金利負担を軽減するためにつくられたものです。
一定の要件を満たすことで、所得税からの控除や、翌年の住民税から控除が受けられます。
住宅ローン減税制度は特別控除のうちの1つ
所得税や住民税は、所得に対してかけられる税金です。所得とは収入から経費や控除を差し引いたもの。経費や控除を差し引いて最終的に残った所得が少なければ当然それにかけられる税金が安くなります。
控除には配偶者控除や社会保険料控除などあり、社会保険料控除であれば健康保険料や年金などで支払った金額が所得金額から差し引かれるというものです。
ひとことで言えば税金を払う上で、お得な制度。さまざまな控除のうち、住宅ローンに対しての控除が住宅借入金等特別控除である、住宅ローン減税制度というわけです。
住宅ローン減税制度の内容
ここからは住宅ローン減税制度を受けるための要件や期間などについて具体的にみていきます。
減税される期間
住宅ローン減税制度によって減税(控除)が受けられる期間は、以前は10年間でした。その後、消費税の増税に伴い13年間に延長されています。
しかし、この措置は令和元年10月から令和2年12月までに居住を開始した場合の一時的なもの。
令和3年1月1日から令和3年12月31日までの入居については、また減税期間が10年間に戻りますので注意してください。
13年の期間が適用されるのは消費税課税業者から物件を購入した場合に限られます。消費税課税業者というと分かりにくいですが「売主が不動産会社」という理解で概ね間違いはありません。
逆に個人から購入した場合は期間が10年になる事に加えて最大減税額が総額200万円(年20万円)の減税しか受けられないので注意が必要です。
また、築年数が古い物件は価格がそれなりに安くこなれているので、専有面積が狭い物件は価格自体がそれ程高額にならない為、制度自体の適用がありません。
どれくらい減税される?
減税される期間は、新居への入居日によって異なりますが、1年ごとの控除される金額の計算方法は同じです。
計算式は「毎年末の住宅ローン残高の1%」となります。控除額は1年間で最大40万円です。毎年末の住宅ローン残高の1%と比べて低い方の金額が控除額となります。
令和元年10月から令和2年12月までに居住を開始し、13年間の控除期間がある場合、1年目から10年目までは「毎年末の住宅ローン残高の1%」が控除金額です。
しかし、11年目から13年目までは「建物価格×2%÷3」または「年末のローン残高の1%」のいずれか低い金額が控除金額となります。
注意点
ここで注意したいのは、この計算で出された数値と同じだけ税金が安くなるという点です。住宅ローン減税制度は、「税額控除」と言い、直接所得税から差し引かれる控除です。
たとえば、社会保険料控除は所得から差し引く「所得控除」であるため控除額と安くなる税金はイコールではなく、最終的な所得に対して一定の税率で税金がかけられるのに対し、住宅ローン減税制度は「税額控除」であるためかなり大きな節税効果があります。
減税される金額を計算してみよう
たとえば、年末時点の住宅ローン残高が2,000万円の場合は以下のような計算になります。
「2,000万円×1%=20万円」。これがその年の所得税から控除できる金額です。
控除可能額は「年末時点のローン残高の1%」と、「最大控除額の40万円」のうち少ない金額のほうが適用されます。
具体例
たとえば、年末時点で5,000万円のローンが残っていた場合、計算式にあてはめると「5,000万円×1%=50万円」となりますが、年間の最大控除額は40万円と決められているため、住宅ローン控除として所得税から差し引くことができる金額は40万円です。
控除額は、所得税から差し引かれます。所得税よりも控除額の方が大きい場合は、差額が住民税から控除されます。
たとえば、控除額が30万円、元々支払うべき所得税が8万円、翌年の住民税が16万円の場合、本来納めるべき所得税8万円より控除額30万円のほうが大きいので、所得税の納付は不要になります。
そして、所得税から控除しきれなかった22万円分は、翌年の住民税から差し引かれますが、住民税からの控除額は上限が決まっており、前年の課税総所得金額の7%(136,500円限度)までとなります。
ちなみに「翌年の」住民税と述べているのは、住民税は前年の所得に対してかけられるものだからです。
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住宅ローン減税の適用条件
住宅ローンの減税を受けるためにはいくつかの要件を満たす必要があります。さまざまな要件がありますが、主なものは以下の通りです。
- 築年数が20年以下(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)
- 減税を受ける人が住宅の引き渡し日から6か月以内に入居すること
- 控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下
- 床面積が50㎡以上
- 10年以上かけて返済する住宅ローンであること。
- 居住した年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと
売主が業者か?築年数は適用範囲内か?専有面積は適用範囲内か?この3つは十分注意して調べましょう。詳細はコチラです。
長期譲渡所得の課税の特例とは、マイホームなどの自分が住んでいるまたは以前に住んでいた家を売却する場合に適用される特別控除で、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで差し引くことできる特例です。
これを居住した年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に受けていれば、住宅ローン減税は適用できなくなります。
中古物件が住宅ローン減税の対象となる条件
住宅ローン減税は新築でなく、中古物件であっても対象となります。その場合は、現代の耐震基準を満たしている必要があります。
また、増築や一定規模以上の修繕・模様替え、省エネ・バリアフリー改修なども100万円以上の工事費の場合は、住宅ローン減税の対象となります。
ただし、省エネやバリアフリーの場合は、別のリフォーム減税(特定増改築等住宅借入金等特別控除)の方が有利な場合がありますので、注意してください。
住宅ローン減税の申請方法
初めて住宅ローン減税を受ける場合には、確定申告を行う必要があります。
確定申告の期間は例年2月16日から3月15日ですが、住宅ローン減税を受けるためだけに確定申告をする場合は、翌年の1月1日から5年間いつでも申告できるようになっています。
自営業の場合は毎年住宅ローン減税の申請が必要ですが、会社員の場合は2年目以降は会社で行う年末調整の際に手続きできます。
住宅ローン減税の恩恵を最大限受けるには、不動産業者から物件を購入することです。
たとえば、5,480万円のマンションを35年ローンで購入した場合、売主が不動産業者か個人かによって250万円減税額の差が出ます。
不動産マーケットは価格を全て税込み表示しているので、不動産会社から物件を購入しても消費税分高くなることはありません。ヤフオクなどと同じです。
大きな差が出るので、まずは不動産業者が売主の物件から物件を探し始めると良いでしょう。
住宅ローン減税は、時代によって恩恵が変わる
この記事では以下の内容を紹介しました。
これからあなたがマイホームを購入する時は、もちろん最新の制度が適用されますので、この記事の内容が参考になると思います。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧