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出来るだけマンションを高く売りたい!……そんな人に向けて、この記事では一般的なマンション売却相場よりも高値で売れた人の共通点を紹介します。ポイントは、たったの3つ。これから自身のマンションを売る予定の人は、是非ここで紹介する3つのポイントを抑えてください。
適正価格を見極めることが高値売却の第一歩
できる限りマンションを高く売りたいあなたへ
「できる限り高く売りたい!」というのは、全ての売主共通の思いです。でも、本来3,000万円が相場のマンションを、4,000万円や5,000万円で売ろうとするのは無謀。現実的には1割増しでの売却がせいぜいで、運やその他の条件がうまく重なったとしても、2割増しが限度でしょう。できるだけマンションを高く売りたい場合も、相場を基準として考えるべきです。
高く売りたいのなら、相場を見極める
むしろ、高額売却を狙う場合こそ、相場の見極めが重要だといえます。相場との乖離率は把握するべきですし、売れない時は徐々に相場に近づけていくことも必要になりますからね。
また、高く売るために相場より高い価格を設定すれば良いという問題でもありません。高く売りたいのなら、それなりに手はずを整える必要があります。この記事では相場を調べる方法、ならびに相場より高くマンション売却するポイントを3つ紹介します。
高くマンションを売るため:3つの相場の調べ方
相場を調べるためには、次の3つの方法、全てを行うことをおすすめします。
- 不動産ポータルサイトを確認
- レインズマーケットインフォメーションを確認
- 不動産会社に査定依頼
実は、③の不動産会社に査定依頼をすれば、①と②を行わなくても相場を知ることは可能です。でも、それぞれの不動産会社が必ずしも同じ査定額を出してくるわけではありません。たとえば3社に査定依頼をし、次のような結果が出たとしましょう。
A社:3,000万円 B社:2,800万円 C社:3,500万円
この結果だったら、C社に売却を任せたくなりますよね。理由はもちろん高額査定だからです。でも、実際の相場が3,000万円前後だったらどうでしょう?C社に任せて3,500万円で売り出したら、おそらく買い手には見向きもされません。
より正確な相場を知るのが大切
自分の力だけでマンションの相場を調べるのには、限界があります。正確な相場は結局、不動産会社に聞いてみないとわかりません。しかし、「〇〇円前後」「〇〇円~〇〇円」と、おおよその値だけでもわかれば、著しく高い・安い査定額を出してきた不動産会社を選択肢から外すことができます。
C社のように、相場より著しく高い査定額を出してくる会社は、「売却に自信がある」のではなく、高い査定額で釣って、媒介契約でも締結したいと考える悪徳業者の可能性が高いです。高い金額で最初販売活動は行うものの、その金額で売却できないことは最初から分かっています。
そして「問い合わせ件数が少ないです」などと理由をつけて、徐々に売れる値段に下げさせていきます。そして相場価格まで下がったときに売却を成功させ、売却の仲介手数料を得るのです。
最初から相場価格をまじめに提示した会社が損をするのですが、高値で販売をスタートすると販売が長期化し相場以下で売却せざるを得なくなるケースも多く、結局この様な業者に依頼すると売主自体も損をしてしまいます。一方、安い査定額を提示する不動産会社の真意は「安くして、さっさと売りたい」です。
このような不動産会社の思うツボには、ならないようにしたいもの。そのために、売主は不動産会社に査定依頼する前に、ある程度の「相場観」を身に付けるのが必要です。
マンション売却相場の調べ方①:不動産ポータルサイト
まずはSUUMOやHOME`S、athomeといった不動産ポータルサイトで、ご所有のマンションのエリアを検索してみましょう。同じマンション内の別の部屋が売りに出ていれば参考にするにはベストです。無い場合は、周辺で築年数と駅からの距離が近いマンションを抽出します。
平米数はあまり気にする必要はありませんが、ご自身のマンションがファミリー世帯向けのマンションなら、ワンルームマンションなどは参考にしないほうがいいでしょう。
マンションの平米単価に注目
次に抽出したマンションの平米単価を割り出します。たとえば「60㎡で3,000万円」のマンションなら「3,000万円÷60=50万円/㎡」です。
すると、おそらく抽出したマンションの平米単価同士は近い数字になるはず。その数字の中間を取ったり、抽出した中でも条件が近いマンションの数字を採用したりして、ご所有のマンションの平米数にかけます。これで「〇〇万円」という数字が出ますよね。
「売りたい価格」と「売れる価格」は違う
ただし、ここで抽出したマンションは今売り出されている価格であり、成約にいたる物件とは限りません。そのままの価格で売れるマンションもあれば、1割程落とした価格で売れるマンションもあるわけです。つまり、ここで出た数字は、売り出し価格の相場。そのため、実際の相場価格より、多少高い金額になると思われます。
マンション売却相場の調べ方②:レインズマーケーットインフォメーション
先ほどの方法は、売り出し価格の相場を知るに留まります。ご自身のマンションの売り出し価格の参考にはなりますが、相場価格とは、周辺マンションが実際に売れた価格を参考に導き出すべきものです。そこで続いて行うのが「実際に売れたマンション」の情報を見ることができるサイトを使って、相場の確認をすることです。
「レインズ」って聞いたことあるでしょうか?不動産業者のみが閲覧できる不動産情報サイトの通称なのですが、不動産会社が物件情報を登録したり、成約した情報を入力したりすることで、全国の不動産会社で情報を共有するために用いられるものです。
レインズで成約情報を確認
一般の人はレインズを見ることはできませんが、成約情報だけは「レインズマーケットインフォメーション」という一般公開されているサイトで確認できます。今回のように売主が相場を確認したい時には、うってつけのサイトです。
まずトップページから、該当する地域を選択します。
続いての画面で詳細情報を入力すると、上記のような検索結果を得ることができます。今回は「杉並区荻窪」「駅から徒歩5分以内」で検索したところ、28件の成約事例を抽出することができました。
このようなわかりやすい分布図も出てきます。検索条件による結果は、三角の点で示されています。たとえば、「杉並区荻窪」「駅から徒歩5分以内」「2010年築」だったら、「110万円/㎡前後が相場かなぁ」と大方予想できますよね。
こちらは売り出し価格ではなく実際に売れた成約価格を抽出したものですから、相場価格としての正確性は高いです。
マンション売却相場の調べ方③:不動産会社に査定依頼
さて、ここまで来たら、あとは不動産会社に査定依頼をするだけです。①、②で周辺マンションの今売られている価格と過去の成約事例を知ることができ、ある程度の相場観は身についているはず。これで不動産会社に騙されるリスクも大幅に減っているでしょう。ただし、ここでもポイントが1点あります。それは、必ず複数社に依頼をすることです。
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複数の不動産会社に査定依頼するのが基本
査定依頼は、各社の査定額を比較するためだけのものではありません。査定依頼を通して、各社の対応力や担当者の人間性、売却方針なども確認できます。査定依頼を通じて、こちらからも不動産会社を査定するんです。もちろん、より具体的で最新の動向から相場を知るためにも、1社ではなく複数社に査定依頼をするほうが良いでしょう。
まずは、LIFULL HOME’Sが運営しているHOME’Sです。こちらは約2,800社の不動産会社が登録しておりどんな会社なのか説明も具体的です。
続いてはすまいValueです。大手不動産6社からの査定を一括で申し込めます。もちろん査定は無料です。
相場より高くマンションを売る3つのポイント
相場よりも高い価格でマンションを売るポイント①:売る時期を見定める
相場の調べ方の説明が長くなりましたが、ここからは上記の工程で調べた相場より高く売るためのポイントをこっそりお教えします。
実はマンション売却で相場価格より高く売れた人には、3つの共通点があるんです。どんなマンションでも相場より高く売れるとは限りませんが、この3つのポイントを押さえればその可能性はグッと高くなります。まず大事なのは、売る時期を見定めること。具体的には次の2つの点を意識して、売り出す時期を検討してみてください。
Ⅰ、マンション価格は市場動向をダイレクトに受けるもの
(出典:国土交通省)
上記のグラフは、住宅の不動産価格指数の推移を表したものです。赤がマンション、緑が住宅総合、青が住宅地、紫が戸建住宅です。一目瞭然でわかるのが、マンションの価格指数が2013年頃から鰻登りだということですよね。
一方、土地や戸建ての推移を見てみると、そこまで大きな高騰はしていません。「不動産の景気が良い」と言われる時期でも、多くの場合、マンション価格は高騰しやすいのですが、地価はそれほど影響を受けないものだからです。
昭和のバブル期のように日本全体の景気が良い時期は、マンション価格も地価もなにもかもが高騰しますが、今の景気の良さは不動産市場に限ってのこと。今のような時期は、相場以上の価格で売りやすいのは、マンションに限られるということです。
Ⅱ、相場以上の価格を狙うならライバル物件の動向を見る
マンションは、ライバル物件の存在次第で売却金額に大きな差が生じます。とくに注意が必要なのは、同じマンション内の別の部屋が売りに出ている時。そちらの価格が相場通りであれば、こちらだけ相場以上の価格で売るというのはやはり難しいです。
おそらくライバル物件は、相場通りの価格であればそのうち売れます。ご自身のマンションを相場以上で売りたいのなら、ライバルがいなくなった時期を狙うべきです。
相場よりも高い価格でマンションを売るポイント②:不動産会社の言いなりにならない
不動産会社は、相場以上で売ることにあまり賛成しないはずです。というのも、不動産会社の本音は「安くてもいいからさっさと売って欲しい」だからです。不動産会社に支払う仲介手数料は「物件価格×3%+6万円」が基本ですが、5,000万円で売ろうが、5,200万円で売ろうが、大した差にはなりません。
5,000万円で売れば仲介手数料は156万円、5,200万円で売れば162万円。わずか6万円の差だったら、1ヶ月でも2ヶ月でも早く売ってもらったほうが、不動産会社には利益が大きいですからね。
相場以上の値段でマンションを売りたいのなら、不動産会社の反対を押し切り、半ば強引に価格を決める我の強さも、ある程度は必要です。もちろん「そんな価格では売れない」と心から反対しているケースもあるので、不動産会社の意見にはしっかり耳を傾けるべきではあります。
相場よりも高い価格でマンションを売るポイント③:適した媒介契約を締結する
不動産会社と締結する媒介契約。一般にするか専任にするか……悩ましいところですよね。でも、実はマンションの特徴によって、それぞれ向き不向きがあります。
一般的には専任媒介のほうが有利
基本的には、専任媒介のほうが売主のメリットは大きいと言われています。1社との独占契約になるため、売却に力を入れてくれる傾向が強いから。これが1番の理由です。
また、一般的な需要のマンションは、不動産会社の力添えなしには相場以上の価格で売ることはできないでしょう。一般的な需要しかないマンションは、やはり専任媒介を結ぶべきです。
人気物件なら一般媒介を
ただし、人気が高いマンションについては、一般媒介のほうが有利だと考えられます。たとえば、タワーマンションやブランドマンション、駅直結、築5年以下などの好条件のマンション。このようなマンションは、不動産会社に注力してもらわなくても物件自身の魅力だけで、大勢の買い手から注目されるでしょう。そのため、専任媒介のメリットが活かされません。
専任媒介よりも一般媒介のほうが、より多くの買い手に紹介してもらえるので、メリットが大きいと考えられます。
ご自身のマンションを客観的に見てみて判断
「人気も高いし、相場以上の価格で売れる可能性も高い」と判断すれば一般媒介に。「なかなか難しいかもしれないけど、できることなら相場以上で売りたい。少なくとも挑戦はしたい!」というなら専任媒介を選択するのが良いです。
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不動産の高値売却は1~2か月が勝負
この記事では以下の内容を紹介しました。
相場より高い価格で売り出すのは売主の自由です。しかし、何ヶ月にも渡って価格を下げないのは、ご自身にとって有益なことではありません。
「なんとしてでも相場価格以上で売ってやる」というのではなく、高額売却は一種のチャレンジと捉え、1、2ヶ月中で徐々に相場価格に近づけていくのが賢明な判断です。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧