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頭金ゼロで買えないわけではないけれど
物件価格の25%が目安です
マイホームを購入するにあたり、頭金をいくら準備すれば良いのか?考えどころです。以前は、住宅金融支援機構の「フラット35」を利用する際、頭金を20%以上は準備できないと、融資を受けることはできませんでした。
しかし、史上最低金利を更新し続ける中、頭金を準備しなくても融資を受けれる環境下にありますが、頭金0は後々のリスクに繋がります。頭金の目安をいくらに設定すれば良いのかを解説します。
頭金を準備する理由
毎月のローン返済額が減る
頭金は、マイホーム購入価格のうち、自身の所有金や親の援助金など、住宅ローン以外で賄う資金です。その頭金を準備する理由を説明します。
頭金を支払う分だけ、住宅ローンの借入額が減り、毎月の返済額も減ります。マイホームに住み始めてからの生活のやりくりや突発的な出費に対する負担が軽減されます。借入額に対する利息が減りますので、トータルの支払総額も減ります。
頭金の準備額により、住宅ローン金利が変わる
住宅金融支援機構の「フラット35」を利用する場合、頭金が10%以上準備できるか否かにより、住宅ローン金利が0.26%変わります。
借入期間 | 融資率 | 金利の範囲(年) | 最も多い金利(年) |
20~35年以内 | 9割以下 | 1.170%~1.870% | 1.170% |
20~35年以内 | 9割超 | 1.430%~2.130% | |
20年以下 | 9割以下 | 1.120%~1.820% | 1.120% |
20年以下 | 9割超 | 1.380%~2.080% | 1.380% |
Δフラット35(2019年11月時点)
金融機関の審査にパスしやすくなる
頭金がある程度準備できる人は、金融機関側としては貯蓄が出来る人と判断します。頭金のほとんど無い人は、貯蓄ができず返済能力にも問題があると判断します。ある程度の頭金の準備は、金融機関の審査通過に対して必要といえます。
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頭金の目安
頭金平均額と頭金比率
国土交通省が毎年発表を行う「住宅市場動向調査」を基にして、頭金の平均額と比率を求めます。「平成30年度 住宅市場動向調査~調査結果の概要~」によると物件によりけりですが、頭金は物件価格の2~3割が多いです。
住宅種別 | 購入資金 | 頭金 | 頭金比率 |
注文住宅 | 3,901万円 | 960万円 | 24.6% |
分譲戸建住宅 | 3,894万円 | 713万円 | 18.3% |
分譲マンション | 4,581万円 | 1,261万円 | 27.5% |
中古戸建住宅 | 2,666万円 | 907万円 | 33.8% |
中古マンション | 2,647万円 | 810万円 | 30.6% |
平均(数量密度考慮無) | 3,538万円 | 930万円 | 26.3% |
上図・表を見ますと、マイホーム購入時(一次取得者)の頭金の平均額は930万円、頭金比率は26.3%であることがわかります。また新築住宅と中古住宅とでは、明確に価格帯が違うため、分けて計算しますと、下表の通りです。
住宅種別 | 購入資金平均額 | 頭金平均額 | 頭金比率平均値 |
新築住宅 | 4,125万円 | 978万円 | 23.7% |
中古住宅 | 2,657万円 | 859万円 | 32.3% |
Δ新築住宅と中古住宅の頭金・頭金比率(上表を基に作成)
ここで新築住宅は、注文住宅・分譲戸建住宅・分譲マンションを指し、中古住宅は、中古戸建住宅・中古マンションを指します。この結果より、新築住宅の頭金平均額は978万円、頭金比率平均値は23.7%となります。中古住宅の頭金平均額は859万円、頭金比率平均値は32.3%となります。新築住宅と中古住宅とでは、頭金比率平均値において8.6%の相違があります。
自己資金の準備パターン
先ず、自己資金=頭金+諸経費と仮に定義します。自己資金の割合については、下表に示す3つのケースのいずれかになります。
一般的には、「頭金有+諸費用有」のケースが多くなります。頭金無の場合(フルローン、オーバーローン)には、金融機関が購入物件以外に追加担保を要求してくる可能性がありますので、事前確認が必要です。
自己資金の準備パターン | 住宅ローン融資額の割合 | 物件価格に対する自己資金の割合 |
頭金有+諸費用有 | 物件価格の75% | 28%~35% |
頭金無+諸費用有 | 物件価格の100% (フルローン) | 3~10% |
頭金無+諸費用無 | 物件価格の103%~110% (オーバーローン) | 0% |
Δ頭金の物件価格に対する割合
(頭金:物件価格の25%、諸費用:物件価格の3~10%に設定)
*1 諸費用の目安:新築住宅:3~5%、中古住宅:5~8%、注文住宅:10%前後
資金調達の目安
購入総額(物件価格+諸経費)に対する資金調達(自己資金+住宅ローン)は下図の通りです。
- 購入総額=物件価格+諸経費…諸費用は物件価格の 約3%~10%
- 資金調達=自己資金:28%~35% (頭金:25%+ 諸経費:3%~10%) + 住宅ローン:約75%
不動産購入時の諸費用とは?
マイホーム購入の際、物件価格以外に税金や手数料などの諸費用がかかります。一般的には、住宅ローンの借入額の対象にはならず、基本的には現金で払います。
印紙代や、仲介手数料、不動産取得税や引越代等。物件によって必要な諸費用は変わってきます。例えば新築ならば仲介手数料は不要なことが多いですが中古だと必要です。マンションならば修繕積立金は必要ですが一戸建てなら不要です。家以外にも家の値段の1割分ぐらいの出費があるといわれているのです。
ただし金融機関の中には「オーバーローン」といい、諸費用まで融資する場合もあります。金利は高くあまりオススメはしません。ちゃんと現金で諸費用分は払えることが理想的な資金計画と言えるでしょう。
頭金無のリスク
頭金無の場合、毎月の住宅ローン返済額が増えますが、それ以外にもリスクが生じます。新築住宅は、購入し引渡しがなされた時点で中古住宅になり、建物評価額はすぐに8割前後になります。その後、経年と共に建物評価額は落ち続けます。住宅ローンを利用しますと、金融機関は土地・建物に抵当権を設定します。
ローン返済が滞りますと、金融機関は直ちに差し押さえを行い、売却してローン返済に充当します。頭金無ですと、売却金額が住宅ローン残高に対して不足する場合が大半です。不足分の借金だけが残る状態に陥ります。
頭金はちゃんと用意してから購入しましょう
急な出費に対応できる生活費も残しましょう
この記事では以下の内容を紹介しました。
住宅全体の頭金比率は26.3%ですから、頭金比率を25%ぐらいは用意されて家を購入される方が多いと思ってください。頭金がないリスクもお伝えしましたが、すべての預貯金を頭金に回す必要もありません。病気など急な出費を想定して、預貯金を残して頭金を用意してください。マイホームの計画はくれぐれも生活の負担が大きくならないようにしましょう。
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