マンション価格の下落が心配?プロが考える今後の不動産価格予測

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マンション 家族

目次

この記事ではマンションなどの不動産の売却を考えている方に向けて、今後の不動産価格の考察・予測を紹介しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「マンション価格が下落するのではないか」と不安な方にはとくに参考になる内容です。実際にマンション価格は下落してしまうのでしょうか?……ぜひ最後までご覧ください。

何がマンション価格を変動させるのかを知ろう

高層マンションを飛ぶ紙飛行機

不動産の価値は株や通貨と同じように日々変動しています。不動産をなるべく高く売却したいのなら、不動産価格を変動させる要因を知ることから始めましょう。

不動産の価格を変動させるものとしては「イベント」「景気」「金利」の3つがあるとされています。イベントとは今回の新型コロナウイルスのようなマイナスのものと、東京オリンピックや大阪万博などのプラスのものがあります。景気が良くなれば人々が使えるお金が増えますので不動産価格は上昇し、景気が悪くなれば不動産価格は減少します。

そして3つの要素のうち最も重要なのが「金利」です。金利とは利子や利息と同じもの。金利の重要性は不動産を購入する立場から考えると分かりやすいです。金利について少し詳しくみていきましょう。

マンション価格に影響を与える:金利とは?

マンションを背に微笑む女性

金利とは利子や利息と呼ばれるものと同じだと考えて構いません。不動産は大きな買い物ですので、一括で買うことはできず基本的にはローンを組んで購入します。住宅を購入する際のローンを「住宅ローン」と言い、住宅を買うためのお金を銀行から借りるわけです。

お金を借りるわけですから当然利息をつけて返していくことになります。利息は「利息額=元金額(=借入残高)×金利(利率)×借入期間」という式で計算できます。つまり、総返済額は借りた金額と返済完了までの期間によって大きくなるわけです。

金利とは1年間でかかる利息

金利の「〇%」というのは1年間でかかる利息を表しています。たとえば100万円借りた際の金利が5%で、1年間かけて返済する場合の総返済額は、借りたお金の100万円に加えて100万円×5%の5万円が必要になるので105万円となります。半年で返済する場合は、金利も半分になり総返済額は102万5千円です。借りた金額は同じでも、完済までの期間によって総返済額が大きく変わることがお分かりになると思います。

金利が住宅ローンに与える影響は大きい

住宅ローンは借りる金額が多く、完済までの期間は長いので、わずかに金利が上がるだけでも総支払額はずっと大きくなります買い手の支払い能力には限界がありますので、金利が上がると不動産購入に充てられるお金は少なくなります。返済期間を長くするという方法もありますが、元気に働ける期間にも限界がありますし、返済期間を延ばせば利息を膨らみますので現実的とは言えません。

金利が上がれば月額のローン返済額が上昇する為、買い手がつかず不動産価格は下がり、逆に金利が下がればそれを利用して不動産を購入する動きが活発になりますので、不動産価格は上がります。不動産価格を変動させるのは、確かに景気やイベントなども要素としてありますが、何よりも重要視するべきなのは金利だと言えるでしょう。

監修者から
金利が不動産価格に与える影響が大きい理由は、資金計画の最重要ポイントである返済比率の部分に直結する為です。返済比率とは年間のローン返済額が年収の何パーセントを占めるかという計算値で、不動産の購入を検討された方なら不動産業者から計算してもらったことがあると思います。皆さん概ね20%~30%の返済比率で資金計画を行います。

住宅市場動向調査報告書が発表する全国の注文住宅を購入した世帯の平均年収は665万円です。平均世帯が返済比率30%で資金計画をしてマンションを購入すると、665万×30%=200万円➡12ヶ月=165,000円(月々の支払額)でマンションを探すことになります。金利によって購入可能なマンションを探ってみましょう。(35年ローンで計算)

金利月々の支払い金額購入できるマンション価格
0.500%165,000円6,350万円
1.000%165,000円5,840万円
1.500%165,000円5,380万円
2.000%165,000円4,980万円

たとえば、金利1%と2%を比較してみてください。金利が1%変わると「月々の支払いは165,000円」と考えている人達が購入できるマンション価格は1,000万円近くも変わります。月々の支払い額165,000円は、平均的な世帯年収の人達をイメージしたもの。いわば、マンション購入を検討しているボリュームゾーンです。金利が1%変わると、彼らが購入可能な物件の価格が1,000万円下がる……ということは、自然とマンション価格の相場も下落していくでしょう。

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金利はどうやって決まる?

メモをとる女性

住宅ローンの金利は銀行が決めています。そのため銀行によって金利は異なります。不動産を売却する立場からすれば、金利に関わらず売却価格しか手元には残らないのであまり気にする必要もないように感じます。しかし、不動産売却は買い手があってこそのビジネス。金利によって不動産価格も変動しますので、金利の動向は売主もしっかりとチェックしておくことが重要です。

私たちがお金を預けたりお金を借りたりする銀行は、私たちから預かったお金を使って資産運用をして利益を上げています。資産運用の元手となるのは私たちの預金だけではなく、銀行の銀行である日本銀行から借りたお金も含まれています。

日本銀行が各銀行にお金を貸す際にも、当然金利がかかります。銀行が住宅ローンなどで私たちにお金を貸す際には、いわばお金を借りる中間マージンを取られている状態です。銀行が私たちにお金を貸す際には、日本銀行からの金利よりも上乗せすることで利益を上げるという仕組みになっています。つまり、銀行が住宅ローン金利を決定する大きな要因は日本銀行からの金利ということです。

これから住宅ローンの金利は上がる?下がる?

これからの住宅ローンの金利が上がるか下がるかは、日本銀行の金利次第です。実は日本銀行からの金利は、すでにゼロに限りなく近い数値になっています。これは、銀行がお金を日本銀行から借りやすくすることで一般の人も銀行からお金を借りやすくし、結果として世の中にお金が出回るようにする金融緩和策の一環で、以前から行われています。

2020年7月時点で日本銀行はこの金融緩和策を維持することを明言していますし、必要に応じて追加の金融緩和策を実施することを発表しています。つまり、新型コロナウイルスの影響で日本銀行の金利が上がることはないので、住宅ローン金利も上がらず、結果として不動産価格も下がらないと予測できます。

今後銀行の貸し渋りはあるか?

住宅ローン

貸し渋りとは、その名の通り「銀行がお金を貸さないようになること」です。銀行はお金を貸した際の金利で利益を上げているわけですから、銀行は貸し渋りをしたいわけではありません。しかし、銀行の経営が悪化すると、経営を維持するために貸し出せるお金を制限せざるを得なくなり貸し渋りが起きてしまいます。

貸し渋りが起きると中小企業はお金を借りられなくなり、住宅ローンの借り入れもできなくなります。その結果企業は倒産し、世の中に出回るお金も少なくなるので景気が悪くなるといった悪循環です。これまでの例としてはバブル崩壊やリーマンショックの際には実際に貸し渋りが起きています。新型コロナウイルスの影響で今回も貸し渋りが起きると考えられますが、その可能性は低いでしょう。

銀行が貸し渋りを行わない理由

その理由としては緊急事態宣言や外出自粛といったこれまでにない状況が続いたことで、世論としても「経済をしっかり回していかないと」と危機感が生まれているからです。実際に特別給付金や持続化給付金などで事業を維持、経済活動をしていくための施策が活発に行われていることからも経済を回していく意識が強くなっています。会社が倒産すれば、税収が下がりますので政府としても力を入れているところでしょう。

貸し渋りを解消するためには政府から銀行への公的資金の投入(=貸し付け)が必要です。貸し渋りが起きる前にスムーズに銀行に公的資金を投入できるように、2020年8月14日づけで「改正金融機能強化法」が施行されたことからも、貸し渋りは起きづらいと考えるのが妥当でしょう。

貸し渋りがなければマンション価格も下落しにくい

貸し渋りが起きなければ、日本銀行からの低金利が維持される以上、住宅ローン金利への影響もありません。これまでの経済危機のように不動産会社の倒産が起こることは少ないと予想されますので、不動産価格の値崩れも起きないと言えます。

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まとめ:マンション価格の変動のカギは金利

電卓と見積もり

この記事では以下の内容を紹介しました。

世界中で感染症が拡大し、緊急事態宣言などのこれまでにない経験をしたことで、不動産価格の下落を懸念するのは当然のことではありますが、不動産価格の変動のカギとなるのは金利であることを頭に入れた上で情報の取捨選択をすることが、損のない不動産売却をする上では重要です。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧