不動産を売却するとき業者選びが皆さんの悩みどころだと思います。不動産の売却は一生に一度か二度しかありません。この記事では売却する方向けに業者の選び方のコツについて不動産鑑定士が徹底解説します。

良い不動産業者と付き合う事が不動産売却のポイント

業者選びはスムーズな売却の大きなカギとなる

電卓と家

マンションにせよ一戸建にせよ、不動産を売却する場合売買仲介を不動産業者に任せるのが普通です。それゆえ信頼できることはもちろんのこと、良く動いてくれて、提案もどんどんしてくれる営業担当と巡り会うことも不動産売却の重要なポイントになります。

  • 「一括査定の結果を貰ったけどどうやって選んだらいいのか?」
  • 「昔からある大手業者と新しい不動産会社はどう違う?」
  • 「高く売るといっている不動産会社は、ホント?」

業者選びの相談は私が受ける不動産相談で最も多いかもしれません。

それでは業者選びはどんな点に注意すれば良いのか?今回は徹底解説します。

不動産を売却する際における不動産業者の選び方

家を買った不動産屋に任せていいの?

家を売却する時に、家を購入した際にお世話になった不動産屋にそのままお任せという方がまだまだ多いようです。不動産会社はよくわからないし、怪しいそんなイメージをお持ちの方もいらっしゃいますね。

あやしい会社もあるかもしれませんが、だからといって知っている他社を探さず知っているところにお任せでは損をするかもしれません。試しに他の不動産会社にも査定価格を出してもらいましょう。

今は簡単な一括査定サイトというものがあります。売却したい不動産の住所や築年数など条件を入力するとその担当エリアの複数不動産会社からメールや電話(希望するほうを選べます)で見積価格が届くというものです。中にはそれから営業の電話がジャンジャンかかってくるところもあるという噂は聞いたことがありますが、登録している不動産会社をきちんと選んでいるサイトで査定をお願いしましょう。

大手企業が運営していて、登録する不動産会社も良く精査しているおすすめの不動産一括査定サイトは2つあります。

1つは大手不動産会社6社が運営し、業界で最も知名度がある「すまいValue」。三井のリハウスや住友不動産など、大手不動産会社にまとめて査定が依頼できるサービスです。

すまいvalue 公式ページ

2つめはLIFULL HOME’Sが運営しているHOME’Sです。こちらは約1500社の不動産会社が登録しておりどんな会社なのか会社の特徴や担当者の説明も具体的です。

大手不動産業者のブランドと信用力は都内では絶大な信頼度

首都圏、特に東京都23区内の不動産市場では大手不動産業者が絶大な信頼力を誇ります。

大手不動産業者とは

  • 大手財閥系
    「三井不動産」「三井不動産リアルティ」
    「住友不動産」「住友不動産販売」
    「野村不動産」「野村不動産アーバンネット」
  • 鉄道会社系
    「東急」

「三井不動産」と「三井不動産リアルティ(旧・三井不動産販売)」、「住友不動産」と「住友不動産販売」、「野村不動産」と「野村不動産アーバンネット」などは同じグループですがマンション・戸建の建設・販売を行うデベロッパー部門と売買仲介部門が分社して別の組織となっています。

バブル期に不動産を購入した30歳のサラリーマンが現在60歳で定年を迎える年代になりました。その世代はまだ大手に任せることが一番安心だと思っている方が多いかもしれません。

大手業者を選ぶメリットは組織の巨大さと豊富な広告宣伝力

駅

単に企業の規模や知名度、資本金額だけが大手を選ぼうとする方の着眼点ではなく、新興業者と比べた場合の営業年数の長さ、そしてなにより豊富な資金とネットワークによる広告宣伝力に期待する所が大きいと思います。

新聞やチラシなどでの宣伝以外は徐々に古いやり方になっていき、各社ともホームページやWEBからの集客に力を入れております。

野村不動産の野村不動産アーバンネットの「ノムコム」は先進的なネットサービスでした。

インターネット世代の現在IT系業者の台頭がめざましい

パソコン

インターネットの普及で、ITなどの他業種から不動産業界に参入した企業が目立つようになりました。

代表的なサービス・企業をご紹介します。

それぞれIT技術を駆使したWEB戦略を活用した集客・宣伝広告に力を入れています。家を売るには、買う人を集めなくてはなりません。みなさん、ネットで家探しの時はまず検索します。WEBを使って買手を集めることに長けているのがこういった企業の特徴かとおもいます。

地元密着型の小さな不動産会社の強みは地域に詳しいこと

不動産はIT世代の現在も「地域密着」が基本です。

地元密着の不動産会社は昔からブランド力や広告宣伝力で資本力のある大手とはガチンコ対決では敵いませんでしたが、大手が持たない住人との絆を長い年月で地元に築いてきました。

例えば、家がある場所で学校の学区が変わったりするでしょう。主婦層が大事にする子育てに適した人気エリアなどに大手より詳しかったりします。

大手業者は会社規模も大きく組織も部門も多岐にわたり、支店長クラスは基本的には3年~5年程度で異動で交代しますし。営業マンも同じ支店・営業センターに10年以上勤務する場合もありますが、数年で異動してしまう場合も。つまり、大手の弱点は一定期間で人が入れ替わり、一つの街に詳しい人材が少ないことにあります。

この点だけは長年同じ地域に根差した地元業者の方が地元を知り尽くしている点で大手に勝っているのです。

不動産業者を選ぶ際に査定価格の高さで選ぶ事は大失敗の元

お札と家

「どこでやってもそんなに変わらないんじゃないの?」

「一番、高い値段をつけたところにおねがいすればいいんじゃないの?」

不動産の売るという経験は普通の人にはあまりないこと。それゆえ、皆様が慣れていないのです。みんなが利用する飲食店と違い、悪いうわさも広まりにくい。

不動産業界にはそこに付け込み不当に利益を得る業者が未だに存在します。

業者選びを解説するに当たって重要な注意事項をお話します。

査定金額の高い業者が最もあなたの物件をよく評価してくれたわけではありません。これ、契約が欲しくて高値をつけているだけなのです。

「高値受け」…悪徳業者がやるテクニック

「どこよりも高く」など査定金額でどこよりも極端に値段をつける業者があります。普通のお客さまは「高く売れそうだからここの不動産屋がいいわ」と思うでしょう。

売主はそこの不動産業者と「専任媒介契約」という他の業者とは契約できないような契約を結ばせます。(他社とも契約できるのが「一般媒介契約」です)売主はその業者が3か月間頑張って売ってくれるものと信じますが、売り出してから「問い合わせがないんです」という返事ばかり。

そして3か月後に「ちょっとこの値段だと買い手がつかないので値段を下げませんか?」と市場より低い金額を提示します。不動産を売った経験がない売主は「それが相場なのかな。しょうがない。その金額でいいですよ」と値下げに応じます。

実は、この3か月間に不動産会社は動いていないのです。この期間を「塩漬け」といいます。絶対に売れるような安い値段になれば、不動産会社にはほぼ確実に販売仲介手数料が入ります。

一概にはいえませんが、中小の不動産業者や新しい不動産会社がよくやる手口です。

「東京カンテイ」販売力がある会社はみている不動産データバンク

売り出し中の不動産は、不動産会社ならどこもログインできる「REINS(レインズ)」という業者向けのデータベースに登録されます。REINSは国土交通大臣の指定をうけた不動産流通機構が運営している公的な不動産ネットワークです。平成2年に設立されました。

それとは別に昭和54年から続いている「東京カンテイ」という会社が運営する不動産データベースがあるのです。歴史もあり膨大な成約・売り出し中データが掲載されているのですが、「東京カンテイ」の年間利用料は高いのです。そのため中小規模の一部の業者は「東京カンテイ」を使っていないところも。大手や販売力がある不動産会社ならば必ず使っています。

東京カンテイの一部のレポートは一般の人も見ることができます。戸建て、マンションなどのエリアや路線ごとの価格データを見ることができます。査定価格が高すぎかどうかの目安にどうぞ。

東京カンテイのHPはコチラ

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不動産業者選びのコツは大手地元の得意分野を知る事にある

売地

これまで大手、IT系新興業者、地元業者とそれぞれの特徴をお話してきました。皆さんが不動産業者を選ぶにあたってこれら3つの特徴をあらかじめ知っておくと業者の見方が身に付きます。それぞれ長所、短所があり、得意分野を持っています。

簡単にまとめると

大手業者

資本力があり広告宣伝力、情報量で他を凌駕するが、定期的な人事異動があり地場密着の点で地元業者に劣る。

IT系新興業者

WEB戦略に優れており、インターネットでの宣伝広告集客が上手い。またデーターベースと電子地図との連動で都心部のマンションは机上査定が早い。しかし守備範囲が広すぎて地元の生きた情報まで追いきれない弱点がある。

地元業者

知名度、資本力で劣るが、地元を知り尽くしている。地元の人気エリアや物件などトレンドを熟知し、地元の人的交流から学区や学校の評判など需要者が知りたい地域情報を持っている可能性大。

いかがですか?こうなるとどれが一番いいとは言えないことがお判りいただけると思います。

不動産業者選びで最後に重要なのはやはり担当者との相性

売買仲介は「売主」と「買主」の「売りたい」「買いたい」お互いの気持ちをHOTな状態のまま結びつける消費者心理をうまく扱える専門家であるべきです。「人」と「人」とを結びつけられるだけのコミュニケーション能力と行動力を持つ営業マンが担当者に付かないと大手だろうと、地元業者だろうとストレスが溜まる一方です。

つまり業者選びも大事ですが、担当者との相性の方が更に大切です。一括査定以外でも実際物件を内見に来る営業マンがいたら、会話をするだけであなたとの相性や信頼できるかどうかもみてください。

本当にできる営業マンは相手が誰でも上手く合わせたコミュニケーションがとえるのですが、経験の浅い新人だと合う、合わない相性問題を起こしがちです。

まとめ

プロおすすめ専任一社でなく一般二社で「いいとこ取り」

まとめますが、それぞれ長所短所のある同士を一社だけ選ぶのは難しいと思います。私個人のアドバイスですが、専任を一社だけに任せるのではなく、大手一社と地元業者一社の二社に絞って一般媒介で依頼するのが結果的に「いいトコ取り」でメリットがあると考えています。

その上でダメなら、その業者を途中でも媒介契約を解消して信頼できる一社に絞り込んでもいいと思います。つまり大手の資本力と地元の地域密着の双方を組み合わせたいわゆる「ハイブリッド式売却依頼」がお勧めです。

神林 勝利
不動産鑑定士・宅建取引士。1966年生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。野村不動産(株)流通営業部(現・野村不動産アーバンネット株式会社)のリテール向け売買仲介営業マンから不動産鑑定士に転身。独立後約10年間法人経営者として宅建業・鑑定業を営む。法人の営業譲渡後「神林不動産鑑定士事務所」代表として執筆活動や不動産コンサルタントを行っている。