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マンションを売却する方法には2種類があります。実際にお住いになる方(エンド客)に売却する方法と、実際には住まない不動産業者が買取る「業者買取」または「買取」です。かなり古い物件や状態が悪い場合は、買取を利用する人が多いでしょうね。
しかし、「買取は、買取価格が安いから損」と考えている方も多いのではないでしょうか?
そういう方も買取には買取のメリットがあるので、そのメリットは抑えておいて下さい。この記事はマンション売却を検討している人に向けて、買取価格の適正性、および買取業者を利用するメリットを紹介します。
マンション売却:「仲介」と「買取」の違い
マンションを売却する際には、買主を「エンド客」もしくは「業者」のどちらかを選ぶことになります。どちらも、窓口は不動産業者。ただし、売却方法は異なります。
不動産業界ではエンド客への売却を「仲介」(売主とエンド客の買主を仲介するため)不動産業者への売却を「買取」とそれぞれ呼びます。まずは、仲介と買取の違いを紹介しましょう。
中古マンション売却のための仲介とは
仲介とは、不動産会社を通して第三者の個人(エンド客)にマンションを売却する方法です。これが、マンション売却で一般的に知られている売却方法でしょう。不動産会社が広告や内見などの販売活動を行い、売却する相手を探します。
そのため、売却するまでに数カ月かかることもあります。
中古マンション売却のための買取とは
買取は、不動産業者にマンションを売却する方法です。
買主が不動産業者になるため、販売活動が行われず短期間での売却が可能。買取では仲介とは異なり、希望売却価格を設定しても不動産業者から買取価格が提示され、自分の想定している価格よりも買取価格が安くなる傾向があります。
マンション処分の際に買取を選ぶメリット
仲介であれば、まずは自分の希望額で販売が可能です。自分の希望額に比べると、買取の場合はマンションの買取価格が低くなる傾向があります。「それなら、仲介を選んでエンド客に売却したほうが得」と思う人も多いかもしれません。
しかし、買取にはメリットもたくさんあります。買取を選ぶ代表的なメリットを4つ紹介しましょう。
買取のメリット①:人に知られず短期間でマンションを売却できる
買取は不動産業者の査定が終わり金額に合意さえできれば、すぐに売買契約を結べます。内覧や広告などの手間もないため、早ければ1週間で売買契約が可能です。売却から入金日確定までが短期間のため、早く売却してしまいたい事情がある場合には、大きなメリット。
一方、仲介は販売活動があり、いつ売却されるか予想も出来ません。そのため、今後の見通しを立てにくいデメリットがあります。また、販売活動においては周辺、そのマンションにお住いの方に売却中であることが知られてしまいます。何らかの事情で販売していることを知られたくない方には、買取のほうが良いかもしれません。
買取のメリット②:仲介手数料が必要ない場合も
仲介(エンド客売却)は、不動産会社が買主との間に入って手続きを行うため、仲介手数料がほぼ必ず必要です。仲介手数料はマンションの売却額などにもよりますが、数十万円はかかるでしょう。
一方、買取は直接不動産業者に販売することもあるため、仲介手数料を削減できる可能性もあります。不動産の仲介においては、業者も立派な買主です。仲介を通して業者買取となる方も多くいます。直接買い取りを希望される場合は下で紹介している買取博士がおすすめなので、アクセスしてみてください。
買取のメリット③:契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)が免責される
瑕疵担保責任とは、マンションを売却しても一定期間は不具合に責任を持つことです。たとえば、エンド客に売却をして引っ越しをしたとしても、その後に欠陥が発生すれば売主に修復義務が発生します。
しかし、買取で売却をした場合には契約不履行責任(旧瑕疵担保責任)を免責にすることが出来るため、売却後の面倒なトラブルを回避できます。簡単に言えば、売り切りを選択すると「売った後のことは知らない」とできてしまいます。
買取のメリット④:現状のまま引き渡せる
仲介(エンド客へ)で売却するのであれば、修繕などを行ってから引き渡しをします。
しかし、買取では古い物件でも故障個所があっても、現状のまま引き渡せるのがメリット。修繕などの手間が省け、売主はとくに何もする必要がありません。
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買取に向いているマンションの特徴
まず、仲介(エンド客売却)の前提条件として、そのお部屋が「直ぐに住める状態」であることです。エンド客は不動産のプロでもなければ、リフォーム会社と提携もしていません。不具合箇所があっても直せないため、「すぐに住める状態」であるのが重要です。
比較的新しいマンションであれば、不具合も少ないでしょう。時間がかかっても良いのなら、仲介でより高額の売却を目指しても良いかと思います。
それでは、買取を利用すべきマンションとはどんなマンションなのでしょうか?
買取に向いているマンションの特徴①:築30年以上、旧耐震基準
築年数が30年以上を超える場合、外観は問題ないように見えても設備が老朽化している可能性が高くなります。そうすると、仲介でエンド客に売却したとしても契約不履行責任(旧瑕疵担保責任)によって後から高額な修繕費が請求される可能性も。
経年劣化が顕著なマンションはやはり売却しにくい
また、旧耐震基準のマンションは地震への不安から、買主が見つかりにくいことも多いです。お部屋の中もそれなりに経年劣化が見られるでしょう。経年劣化のあるお部屋を見ても、エンドのお客様は「新しい住まいへの夢」が見づらい……だから、購入を控えてしまう人も少なくありません。古いマンションや旧耐震基準のマンションは仲介での売却は難しいため、買取のほうが向いています。
買取に向いているマンションの特徴②:内部の状態が悪い
内部の状態が悪いマンションも、クリーニングによって綺麗になるケースはたしかにあります。
しかし、クリーニングでも綺麗にするのが難しいケースも少なくありません。内覧の際に状態が悪ければ買い手が非常に見つかりにくいので、マンションの老朽化が進んでいれば多額の費用をかけてのリフォームが必要になります。
現状のまま引き渡せるのは大きい
一方、買取ではどんなに不具合があっても、不動産業者が許容すれば、現状で引き渡すことができます。
クリーニングやリノベーション費用は、不動産業者の負担です。通常、買取業者はリノベーション前提でマンションを買い取るため、業者が許容できない不具合はほぼありません。
買取によるマンション買取価格は適正である
買取を利用したほうが良いのは、そのままの状態では売却が難しいマンションです。「買取では安くなってしまうから損」と思われがちですが、買取価格は適正な価格が設定されています。
リノベーション費用や業者利益を含んでいるとしても、業者は現状のままでは売却が難しいマンションを買取るのですから、フェアバリューであると言えるでしょう。
不動産業者も査定の際に、築年数や設備の老朽化、室内状態などを確認して査定を行うため、買取価格はその物件の現状そのままの価格です。
売却よりも買取のほうがメリットの多いケースも
たしかに、売却金額は仲介での販売と比較をすれば安いかもしれません。しかし、さまざまな手数料が必要ないことや、すぐに売却できる点などを考慮すると、仲介で長期間ダラダラと販売を続けるよりも買取のほうがメリットがあるケースも少なくないのです。
また、売却後のマンションの不具合に責任を持つ必要がないため、買主からのクレームもありません。ストレスがかからず、精神衛生上も良いのです。
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買取を選ぶのであれば、複数の不動産会社の査定を受けよう
この記事では以下の内容を紹介しました。
買取でマンションを売却する場合、複数の不動産会社の査定を受けることをおすすめします。不動産業者ごとに査定価格は異なりますし、契約の条件も違うからです。複数の査定額を比較すれば、査定の上限額も提示してもらいやすくなるでしょう。
また、引き渡しのスケジュールや決済日といった契約条件も不動産業者ごとに異なるので確認が必要です。売却が難しい古い物件や、仲介での売却が長引いているような場合には買取でのマンション売却も検討してみてください。
「買取は安くなる」……そんなイメージが強いかもしれませんが、その買取価格には必ず理由があります。けっしてデメリットばかりではありません。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧