マンション売却の流れは価格査定、媒介契約、売出活動、内見、売買契約となりますが、このうちもっとも重要なのは「価格査定」です。その理由はふたつ。

ひとつは最初に適正な売出価格をつけることがすみやかな売却につながるから。もうひとつは、価格査定はマンション売却の心強いパートナーになってくれる仲介業者を選ぶ場でもあるからです。

今回は後者に焦点を当てて、価格査定でどんなことに注意すれば優良な仲介業者を見つけることができるのか、そのポイントについてご紹介しましょう。

初心者向け!売却してくれる『いい不動産屋』の見分け方ガイド

価格査定は売却の心強い味方・仲介業者選びの場でもある!

住宅の査定で騙されない

当サイトの「マンションを高く&早く売るための3つの心理的アプローチ」の回でも書きましたが、価格査定には「一括査定サイト」を利用するのが便利。これは所有するマンションの立地や間取り、階数などの情報を入力すると複数の仲介会社から査定金額が送られてくる仕組みです。

この場合の査定は「簡易(机上)査定」と呼ばれるもの。現地を見ずにデータのみでおおよその資産価値を算出した価格です。次のステップとしては、簡易査定してもらった仲介会社の中から何社かに現地に足を運んでもらい、物件を見てもらうことになります。これを「訪問査定」といいます。

実際に物件を見ることにより、「築年数のわりにはきれいに使っているな」とか「思ったよりも前の道路の騒音がうるさいな」といった、データだけではわからない物件のコンディションや周辺環境などの情報も付加し、よりリアルな売出価格を算出していきます。

売出価格は一度決めてしまったら下げることはできても上げることはできません。そういった意味で訪問査定はとても大切ですし、これから売却のお手伝いをしてもらう「パートナー選び」の場でもあります。

筆者はマンション購入経験が4回、売却経験が4回あり、たくさんの仲介業者さんとおつきあいしてきました。なかには中古マンションを「買う側」になって初めて知った、「売主さんの味方になっていないダメダメ仲介業者さん」もいました。今回は売主にとって心強い味方になってくれる優良なパートナーを選ぶためのポイントについてお話ししたいと思います。

パートナー選びにはまず仲介業者との媒介契約の種類を理解する!

専任媒介契約

訪問査定をしてもらう会社の選び方をお伝えする前に、仲介業者との契約の種類についてちょっと説明しておきたいと思います。
仲介業者にマンションの売却を依頼する場合、「媒介契約」というものを結ぶ必要があります。これには「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
これについて解説してあるページはいくつもありますので、詳しくはそちらを見ていただくとして、注目してもらいたいのは「不動産指定流通機構」(通称REINS)の登録義務についてです。

これは不動産業者が情報を共有できるデータベース。情報を共有しているので、あなたがマンション売却をAという仲介業者にお願いしたとしても、A以外の仲介業者が買主さんを連れてくることができるという便利なシステムです。
簡単に3つの契約の種類について説明します。

一般媒介契約

売主が同時に複数の業者に仲介を依頼することができる契約。売主みずからが買主を探すこともできます。業者はこれに売却物件の情報を登録する義務はありません。

専任媒介契約

1つの業者とのみしか仲介を依頼することができない契約です。
売主みずからが買主を探すことも可能です。仲介会社は契約後7営業日以内にREINSに物件情報を登録する義務があります。

専属専任媒介契約

1つの業者とのみしか契約することができません。売主みずから買主を探すこともできません。5営業日以内にREINSへの物件情報登録義務があります。

おススメは3つの「強み」を持つ業者と「一般媒介契約」すること!

この3つの契約のうち、仲介業者は「専任媒介契約」か「専属専任媒介契約」をしたがります。理由は売主と買主の両方から仲介料をいただけるからです(これを業界用語で「両手」といいます)。
それゆえ、「一般媒介契約だと最終的に他の仲介業者で売買契約が決まることもあるので、売出活動に力を入れない業者もある」なんて記事もネットで散見されます。

しかし、筆者は一般媒介契約で3社ほどをパートナーにすることをおススメしたいと思います。理由はふたつ。販売チャンネルが多ければそれだけ売却のチャンスが増えるから(とはいえ、あまり多くの業者と契約を結んでも連絡が煩雑になるだけなので3社くらいがベスト)。そして、仲介業者によって得意・不得意な分野があるので、それをまんべんなくカバーするには3社に分けるのが賢明と考えるからです。

では、どのような仲介業者と契約すればいいかというと、ひとつは「地元に強い仲介業者」。子どもを転校させたくないという理由から同じ学区内でマンション探しをする人は多いもの。地元に密着した業者ならそういう買主を探し出してくれる可能性も高いでしょう。

もうひとつは「ネットに強い仲介業者」。今の時代、マンション探しはネットで行なう時代です。こういう写真、こういうキーワードを使うとクリックされやすいとか、ここの不動産サイトに広告を載せると反響があるといった情報に精通した業者も味方につけておきたいもの。

3つめはいわゆる「大手仲介業者」。大手なら一応安心という保険をかける意味もありますし、大手はたくさんの購入希望者のリストを持っているので、その中から買主が決まる可能性もあります。

というわけで、ネットで価格査定を申し込んだら、この3つに当てはまる業者を5~6社ピックアップして訪問査定してもらいましょう。そして、最終的に3社程度に絞り込んでいきましょう。

いい不動産業者が見つかるおすすめ一括査定サイト

大手不動産会社6社が運営し、業界で最も知名度がある「すまいValue」。三井のリハウス、野村不動産、住友不動産など、大手企業にまとめて査定が依頼できるサービスは「すまいValue」だけです。

すまいvalue 公式ページ

HOME’SはLIFULL HOME’Sが運営しており、全国各地の約1500の不動産会社が加盟しています。

優良な仲介業者かどうかを見極める魔法のキーワードとは?

さて、ここで「でも、一般媒介契約ってREINSに登録義務がないので、私のマンションの情報が他の業者さんに行き渡らないのでは?」と思った方がいるかもしれません。なかなかスルドイですね!

そうなんです、確かに一般媒介契約ではREINSへの登録義務はありませんが、登録してもいいんです!つまり、「この売主さんに早く買主さんを見つけてあげたいな!」という優良な仲介業者なら一般媒介契約でもちゃんとREINSに載せてくれるもの。

これはなにも売主のためだけではありません。「両手」が欲しいばかりに情報を共有せずに3か月も半年も物件が売れないのだったら、仲介料は売主からの「片手」だけになっても1ヶ月で売れたほうが業者もビジネスの効率がいいのです。売却にかけた時間・コストに対する売上はこちらのほうが大きくなるのですから。

ですから、顧客のニーズ(売主さんの「早く売って欲しい」という気持ち)とビジネス、両方を理解している「デキる業者」なら「一般媒介契約で!」と言ってもイヤな顔はしないはずです。

ですから、筆者はマンション売却で価格査定するときには「申し訳ないのですけれど、一般媒介契約を考えています」と業者に伝えます。そして、「売出活動はどのような方法でしていただけますか?」と聞きます。「〇〇と××(不動産サイトの名前)とREINSに載せます」と言ってくれたら「いい業者さんだな」と判断します。

そのように言われなかったときには「REINSに情報を載せていただけますか?」と聞きましょう。そこでイヤな顔をしたり、拒否されたりした場合は仲介をお願いしないほうがいいかもしれません。

買う側になってわかる「売主側に立てないダメダメ業者」

リアルなマンション売却の体験談

これは筆者が中古マンションを買う側になってわかったことですが、「両手」が欲しいばかりに情報を共有しない業者の多いこと!

不動産サイトで気になる物件があったので、懇意にしている仲介業者に調べてもらうと「REINSに登録していないので、うちでは残念ながら仲介できません」と言われたり、REINSに掲載されているので、売主側の仲介業者に問い合わせしてもらうと「もう売れました」と言われたり。

でも、売主側の仲介会社のホームぺージを見るとその物件はいつまでも売却中になっているのです。

つまり、両手が欲しいから、他の業者からの問い合わせには応じないというワケ。購入希望者がいるのに仲介業者が断ってしまっているって、売主さんにとっては大きな損失ですよね。

買う側になってそんな経験をしてからは余計に仲介会社選びは大事だなぁと思うようになりました。

4ステップでやれば初心者でも不動産売却大丈夫!

一般媒介契約にしたい、REINSに載せたいを伝えてOKな業者を3社選ぼう

まとめてみるとやる手順はこの通り。

  1. 査定一括サイトを使う
  2. 簡易査定額を知らせてきた業者の中から「地元に強い」「ネットに強い」「大手」で5~6社ピックアップし、訪問査定してもらう。
  3. 「一般媒介契約にしたいこと」「REINSに載せてほしいこと」を伝える。
  4. 「デキるパートナー」と感じた3社と一般媒介契約する。

という流れになります。

そのほか価格査定のときに伝えるべきポイントは「マンションを高く&早く売るための3つの心理的アプローチ」の回にも少し書きましたので、そちらもご覧になってください。

価格査定というチャンスをフル活用し、マンション売却の心強いパートナーを見つけましょう。

マンション売却を考えているものの、何から始めて良いのか分からない方へ
マンション売却の査定をする前に

マンションの売却は一生に一回あるかないかの事です。非常に大きな金額になりますので「なるべく高く早く売りたい」という方は多いと思います。

そのために一番大切な事は「査定」で売却を依頼する不動産会社を見極める事です。ここからはその査定をする前に必ず読んでおいて頂きたいマンション売却20ヶ条をお話します。

マンションを売却する前に必ず読みたい20ヶ条
柏木珠希
フリーライター、渋谷区の商業ビルのオーナー。著書に「大家さん! これからの投資はシェアハウス・ゲストハウスがおトクです!」(秀和システム)、「20代、持ち家なし、貯金100万円でも月収以上を稼げる『オモロー式』不動産投資講座』(プレジデント社)など。