これからマンションを売却するに辺り、売値の設定をどうすべきか迷っている方に向けて書いた記事です。マンションの売値設定は売却活動に大きな影響を与えます。賢い売値方法について不動産のプロがご説明します。

マンションの売値設定は重要な決定事項

会社経営でも最も重要なこと

「値決めは経営である。」これは京セラの創業者である稲盛和夫氏の言葉です。会社を経営するにあたり、自社商品の売値を決めることは重要な経営判断です。安過ぎれば会社は儲かりませんし、高すぎても売れないため会社は儲かりません。そのため、値決めというのは会社経営そのものなのです。

売値次第で損もする

マンションの売却は経営そのものとまでは言いませんが、本質的には「値決めは経営である。」という言葉に通ずるものがあります。安過ぎれば損をするだけですし、高すぎても売れません。マンションの売値の設定は、マンション売却の重要な決定事項と言えるのです。そこで今回はマンションの賢い売値の設定方法について詳しく見ていきましょう。

賢い価格の設定方法

1)安過ぎる価格設定とは

まず初めに安過ぎる価格設定というのは、どの程度の価格を指すのでしょうか。スーパーなどでは開店セールでは5割引や8割引などの出血大サービスの超特価というものが存在します。不動産の場合、出血大特価というのはあまり聞いたことがありません。しかしながら不動産にもお得なセール市場というのが存在します。それは競売です。

競売の場合

競売というのは、早期売却市場と言われています。つまり売り急ぎの状況です。お金を貸していた銀行などの債権者が、担保物件である不動産を売却することで債権回収を行うための制度です。裁判所が行うため、いわゆる国が行う大特価セールとも言えます。競売には最低競売価格という売値が設けられています。この最低競売価格は市場価格の7割が目安です。従って、不動産の場合は3割引が大特価セールの目安となります。

任意売却の場合

競売よりも少しだけ高く売買される市場としては、任意売却というものがあります。通称、任売と言われます。一般的に、競売で売却してしまうと債権者は債権額を満額回収することはできません。そのため少しでも高く売りたいというニーズがあります。そのため裁判所の手続きを通さずに、民間の不動産仲介業者の力を借りて任意に売却するのが任売です。任売でも当初の売値は市場価格の8割くらいを目安に始めます。つまり2割引というのが任売の目安となります。

安くても2割引

このように考えるとマンションの売値の設定を、仮に市場価格から2~3割下げて設定してしまうと、大特価セールと同じ設定になってしまいます。実際には2~3割低い価格で売却されているマンションも存在しますが、それは売主が早く換金したかったなどの特殊な事情を含む場合が多いです。安く売られたマンションの価格は、売り急ぎ価格などとも言われます。

2)高過ぎる価格設定とは

次に高過ぎる価格について見ていきます。先ほどの売り急ぎ価格と反対に、市場価格よりも高い価格で成約された価格のことを、買い進み価格と言います。買い進み価格は滅多に見られない現象ですが、買主が騙されて購入した場合や、投機目的で購入した場合などは市場価格よりも高い価格で売却されることもあります。しかしながら、買い進み価格と言われるものでも、市場価格よりは概ね2~3割程度高いという程度です。

普通の価格で売れれば成功

このように高すぎる売値設定というのは、購入者側に高く買うためのなんらかの事情がない限り、通常はあり得ません。このような特殊な事情を持った買主を見つけることが出来れば高く売ることも可能ですが、一般的な売買をするのであれば、難しい話です。適正な市場価格で売却できれば、まずは成功と言えます。

3)適正価格の把握が重要

売り急ぎや買い進みを考慮すると、マンションの売値というのは、安くても2割引、高くても2割増という程度です。その価格範囲は非常に幅が狭いことが分かります。そのため、マンションの売値設定は初めにストライクゾーンのど真ん中をしっかりと把握することが重要となるのです。

やや高めに売値を設定

ストライクゾーンのど真ん中を把握した後は、売値設定に入ります。売値はど真ん中のやや高めに設定することがポイントです。マンションも含め不動産は一般的に売り希望価格(売値)と成約価格が異なります。成約価格は売り希望委価格よりも5%程度安いのが通常です。売り希望価格と成約価格が10%以上も離れていると、少し売値設定が強気すぎたのかなという印象があります。

相手にわざと勝たせてあげよう

実際の売買においては、買主からの値引き要求も発生します。その際、「値引きする代わりに・・・」ということで、売主に有利な条件と交換してしまうのも賢い方法です。例えば、物件に多少の不具合があったとしても、「値引きするからこれは買主側で直してください。」という条件にすれば、売主に余計な費用が発生することなく売却が終わります。

まとめ

マンションの売値はやや高めがベスト

高く売ろうとして、売値を高くし過ぎると売却が進みません。ストライクゾーンの5%程度高めで設定しておいて、買主に交渉で勝たせてあげる余地を残すのが、賢い売値設定と言えるでしょう。

不動産鑑定士&中小企業診断士。1974生まれ。大阪大学卒業。日本土地建物㈱にてオフィスや賃貸住宅など多くの賃貸物件の開発に携わり、賃貸業を得意とする。2015年に㈱グロープロフィットを設立し代表取締役に就任。