親の家を売ると税金がかかるの?貸した方が良いの?いろいろな疑問が湧いてきます。空き家といっても、親や家族との思い出がつまった家。大事な資産ですよね。親の家の「放置」が試算をお荷物に変えてしまうんです。手間がかからないうちに資産に変え、お荷物にしないことこそが、親孝行であり親の最大の願いかもしれません。

親の家を売るときに気を付けたいポイント

  • 高齢者施設に入った
  • 子どもと同居することになった
  • 亡くなってしまった

このような理由により、親の家はいずれ空き家になります。多くの人が遅かれ早かれ経験することになるわけですが、空き家になった親の家を皆さんどうしているのかというと、圧倒的に多いのがとりあえず放置してしまうケースです。

親の家を放置してしまう理由

放置してしまう理由としては、

  • まだ親が健在の内は売れない
  • 亡くなった後も遺品整理などをしていなくて売れない
  • 売ろうと思うけど、実際に売却に向けて動く人がいない

などが考えられます。でも空き家となった親の家は、言い方は悪いですが子どもや周りの人にとってはお荷物も同然。固定資産税や維持にはけっこうなお金がかかりますし、家の管理にも手間がかかりますからね。

そして継続的にかかる費用や手間だけが理由ではなく、税制面や法律面をみても、親の家は空き家となった時点で売ることが最大のメリットに繋がります。今回は親の家を早期に売却すべき理由を含め、売る時に気をつけたいポイントを3つ挙げていきます。

親の家を売るときのポイント

ポイント:①空き家になったらすぐに売却する

不動産会社の担当者

空き家となった家は、維持費用や管理の手間がかかるというのは前述通りですし、厄介さは予想がつくところでしょう。それだけでも早く売却すべき理由になりますが、実は税制面をみても、法律面もみても、空き家は早く売り切るこが重要なんです。

具体的に影響する税制や法律は、次の2つです。

  • 譲渡所得の3,000万円特別控除
  • 空き家対策特別措置法

ここから2つの税制や法律が空き家売却にどう影響するのか、詳しく解説します。

3,000万円特別控除には適用の期限がある

不動産を売却して利益が出た場合、住民税と所得税が課税されます。その税率はかなり高額です。

  • 所有期間が5年以下の場合は39%
  • 5年超の場合は20%

ただ所有者が住んでいた「マイホーム」の売却には「3,000万円の特別控除」が使えるため、多くのケースで非課税とすることができます。

親が健在の内は上記の特例を使えばいいのですが、相続人にとって親の家は「マイホーム」ではありません。しかし2016年の税制改正で新設された「相続人による居住用財産を売った時の特例」により、親の家を相続して売却する場合も、同じく3,000万円まで非課税にすることができるようになっています。

参考)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm

チェック!幾つかの条件があることを確認

ただし、この2つの3,000万円控除には期限があり、「所有者が住まなくなった日から(相続した日から)3年目の12月31日までの売却」にしか適用されません。つまり親が高齢者施設に入るなどして空き家になった場合も、親が亡くなってしまった場合も、同様に空き家となった日から3年後の年末までに売却しなければ3,000万円の特別控除は受けられなくなってしまうということです。

さらに注意したいのが、「相続人による居住用財産を売った時の特例」の適用条件として、「被相続人が亡くなる直前までその家に住んでいた」という事実が必要だという点です。

例えば、親が家や家から運ばれた搬送先の病院で亡くなった場合は、「亡くなる直前までその家に住んでいた」といえますよね。でも高齢者施設に入居した後に亡くなった場合は、死亡した親は「直前までその家に住んでいた」とはいえません。つまり、すでに親の生前に空き家となっていたものを相続した場合、相続人は3,000万円の特別控除を使うことはできないんです。そのため親が健在のまま空き家となるケースで3,000万円の控除を適用させたい場合、親が元気な内に「マイホーム特例」を使うしかありません。

以上からの総論は、親が健在のまま空き家となる場合は、親が元気な内に一刻も早い売却を。一方、親が亡くなったあとの売却についても、概ね3年以内の売却が大きな節税に繋がる。ということです。

空き家対策特別措置法により、増税や強制撤去の可能性が

2015年に施行された空き家対策特別措置法によって、空き家に対する風当たりは強くなっています。それまでは空き家を放置していても、基本的に行政からの罰則というものはありませんでした。しかしこの法律の施行後、空き家の管理状況によって自治体から行政指導や罰則を受ける可能性が出てきたんです。

罰則の1つであり、空き家の所有者や管理者が最も危惧するべきなのが、固定資産税の増税です。厳密にいえば「増税」ではなく「軽減措置の撤廃」なのですが、行政からの管理状況改善の指導にも応じない場合に取られる、一種のペナルティのようなものです。

建物が建つ土地は、最大1/6にまで固定資産税が引き下げられる措置を受けています。この軽減措置は、人が住んでいない空き家でも、基本的に建物がある限り適用になります。しかし行政から「危険」や「迷惑」と判断された空き家は、まず「特定空き家」に指定され、その後の行政指導に応じなかったタイミングで適用から外されてしまうんです。ここから実質的な増税となります。そしてその後も行政は指導や命令を続け、それでも応じない空き家に対して強制撤去する権限まで持つようになりました。その間には、過料として最大50万円が課せられる可能性もあります。

まずは「特定空き家」に指定されることを避けたいところですが、その基準はかなり低く、数ヶ月でも放置すれば簡単に指定される恐れがあります。以下、その基準の一例です。

  • 立木の枝等が近隣の道路等にはみ出し、歩行者等の通行を妨げている
  • 立木等が建築物の全面を覆うまで繁茂している
  • 多数の窓ガラスが割れたまま放置されている
  • 屋外階段、バルコニーが腐食、破損または脱落している
  • ごみ等の放置、不法投棄による臭気の発生があり、地域住民の日常生活に影響を及ぼしている

(出典:国土交通省

これらの基準を満たさないようにするのは、空き家が遠方にあれば特に厳しいものでしょう。最低でも数ヶ月に一度は空き家を確認する必要があります。それが難しければ業者に空き家の管理を委託することもできますが、それには費用もかかります。しかし空き家の管理は、もはや義務化されているようなものです。それから開放されるには、空き家を手放すしか方法はありません。

空き家対策特別措置法のことを知ると、「早く売っちゃおう!」と思いますよね。それは空き家を所有している人ならみんな同じです。つまり今後は、空き家を売ろうと考える人が増加していくことが予想されるわけです。ただでさえ売れにくい空き家です。同じような空き家がたくさん売りに出されれば、「タダでも売れない」ことにもなるかもしれません。そのため空き家は、行政から罰則を与えられる前に、そして売れる内に売り切ってしまうのが重要となります。

ポイント②:リフォームや解体などはせず現状のまま相談を

空き家となった親の家は、多くの場合で築20年や30年を超えているでしょう。「古さ」は空き家を売りにくくする要因の一つです。でもだからといって独断でリフォームしたり、解体したりすることは絶対に避けてください。

確かに古い家だったら、価値をあげたり、逆に更地にしてしまったりした方が売りやすいというのは否定しません。でも古い家は、多くの場合「土地値」で売却されるもの。家には価値がつかないということです。ということは、家をどんなに綺麗にしても、更地にしても、土地値は土地値。売却金額が変わることはありません。つまりリフォームや解体にかけた費用は、全て無駄になる可能性もあるということです。

そして前述でも触れましたが、建物が建つ土地というのは最大1/6にまで固定資産税が軽減されています。更地にすれば、無条件でこの軽減措置はなくなります。「増税するのも売却までの期間だけでしょ」と思って解体したとしても、1年や2年売れなかったらどうでしょう?現に空き家は、売却までに長い期間を要する傾向にあるものです。

古い家は、そのままの状態で不動産会社に相談するのが一番なんです。相談の結果、リフォームや解体が必要となることもあります。でも独断でおこなってしまうのは、大きな費用負担を強いられる可能性がある以上、リスクが大きいといえます。

ポイント③:「売り切る」ことを最優先に

マンション査定の打合せ

親の家を売るときって、そこから介護費用を捻出したり、ご逝去後だったら遺産分割をしたりするため、「少しでも高く売りたい」というお気持ちがあると思います。でも多くの場合、築年数が古かったり、場所が田舎であったりと、資産価値の高さは期待できないものです。そのような家を売る目的を「高額売却」にするべきではありません。

ここまでお話してきたように、空き家は所有しているだけで周りの方のお荷物になる存在であり、税制面や法律面でもいち早く売却することが必要です。つまり最大の目的にすべきなのは「早期売却」なんです。そのため売れない期間が続いた場合には、相場より価格を下げたり、業者に買い取ってもらったりという選択を速やかにおこなうようにしましょう。価格に執着せず、売り切ることを目的に、柔軟な姿勢で売却活動をおこなうのが賢明です。

まとめ

親の家を売るときのポイント

親の家を売るときのポイントを簡単に言うと、

  • 早く
  • そのまま
  • 高値を目指さない

の3つです。

法律や税制など難しい話もしましたが、空き家になった時点で不動産会社に相談にいけばうまく物事が進むはずです。相続などが絡んでくると少しややこしくなりますが、その場合も不動産のままではなく、お金に変えてしまったほうが多くの場合で解決に向かいます。

空き家といっても、親や家族との思い出がつまった家。大事な資産ですよね。文中「お荷物」なんて失礼なことをいいましたが、「放置」が親の家をお荷物に変えてしまうんです。手間がかからないうちに資産に変え、お荷物にしないことこそが、親孝行であり親の最大の願いかもしれませんね。

マンション売却を考えているものの、何から始めて良いのか分からない方へ
マンション売却の査定をする前に

マンションの売却は一生に一回あるかないかの事です。非常に大きな金額になりますので「なるべく高く早く売りたい」という方は多いと思います。

そのために一番大切な事は「査定」で売却を依頼する不動産会社を見極める事です。ここからはその査定をする前に必ず読んでおいて頂きたいマンション売却20ヶ条をお話します。

マンションを売却する前に必ず読みたい20ヶ条
亀梨 奈美
幼い2人の娘の子育てをするママライター。大手不動産会社退社後、フリーライターとして独立。不動産業界に携わって10年余り。自身の経験を活かし、また主婦としての目線から、不動産売買をわかりやすく解説した記事を多数執筆。