契約前に必読!知らないと怖い住み替え費用を見誤るパターン

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住宅購入のための計算

目次

住み替えを決断する時「売却したで費用が賄えるのか?」「自宅を売却したお金で住宅ローンを完済できるか?」不安に感じるもの。

転勤、育児、介護など様々な理由で住み替えを検討せざる負えない場合、いざ売却をしょうと思っても、いい買い手がすぐに見つかるとは限りません。実際、購入金額よりも売却価格が高くなるのは極まれなことです。

住み替え費用を見誤ってしまうと思わぬ出費を招くことになります。そこで今回は、ファイナンシャルプランナーである筆者が住み替えに伴う「費用の考え方」と「恐怖を乗り越える方法」をご提案いたします。

売買のタイミングから判る 住み替え費用の考え方

住宅の売却のタイミング次第で出費が増える

少しでも快適な環境づくりを思い描くあなたは、「住み替えに対する迷い」を抱えておられるのではないでしょうか。

住み替えとは「現在のマイホームを手放して新しい住居に引っ越す」ことを指しますが、ここでは、持家物件の住み替えに絞ってお話をすすめさせていただきます。

住み替えの理由は、前文で少し触れましたか2つの場合があるようです。

  • 「より良い暮らしを求める欲求」による場合
  • 転勤や介護などの理由で致し方が無く住み替えをする場合

理由はどうであれ、住み替えとは旧物件と新物件の売買が2つ重なるため売買コストがかさみます。さらに住み替えにタイムラグが発生すれば「2つの住宅ローン」の他、仮住まいとしての「賃貸家賃」などの費用が別途必要となります。

費用負担を抑えるためには「売り時と移転タイミングを近づける」のがポイントです。

住み替え費用の見極めパターンA・B・C

パターンA   持家を手放す 10年目の山を見誤らない

住宅を買う人の多くは始めから転売しようと思って買っている人は少ないはずです。そのため、いざ買い替えを考えると「いくらで売ればいいのか」「どうすれば高く売れるのか」悩まれるものです。

長く住む予定で購入されている方は、豪華装備をオープションで取り付けているオーナーさんも少なくなく、売却の希望価格は高めを望む声が強い。

しかし、一般的に一戸建ての新築住宅というのは、入居した瞬間に資産価値は8割になるのが不動産業界にとっては常識なこと。

さらに物件の価値は10年目まで急激に下落し、10年で資産価値は平均1000万円下落してしまう傾向にありますから、3000万円の自宅は2000万円の価値でしかないのです。

住宅ローン減税の効果で「損失額を小さくする」という考え方

自宅の資産価値は10年で1000万円ほど目減りしますが、住宅ローン減税は10年間で最大400万円(低炭素などの認定住宅は500万円)が所得税等から控除できます。

このことから考え方によっては、損失1000万=最大400万円-家賃相当分5万円×10年分という計算も成り立つともいえるでしょう。

住み替えを検討するには、住宅ローン減税の10年は一つの山になるわけです。

パターンB  売却価格を見誤る 8割の人は自宅の売却で損してしまう

国土交通省 住宅局の公表している「平成28年度 住宅市場動向調査報告書」によると、注文住宅の取得価格と売却価格の差額をみると平均1,125万円、マンションなどの集合住宅では845万円の損失を出しています。

今は、売却の意思はない場合でも「どの程度価格が下落するのか」知っていれば、売却価格を見誤ることなく売却交渉を進めていくことができるのではないでしょうか。

将来的に売却を考えていた場合は建物にお金を使いすぎないのも一つの考え方です。

売却は価値が下がり治まる20年で検討

築年数では15年~20年で格差が一番大きいことから売却を検討するのであれば、住宅の価値と売却が同等に近い20年越えしたタイミングで売却か、パターンAの住宅ローン減税の恩恵が終了する10年目が見極めになるでしょう。

パターンC  実際の売るタイミングと移転のタイミングを見誤らない

需要と供給

住み替えの費用は売却と移転のタイミングによっても変わってきます。

タイミングは家庭の事情によって左右されるものですが、売却相手と売却金額を決めてから移転する物件と契約することが多いようです。

一般的に住み替えの費用は自宅の売却益でまかなうことが多く、売却の決済と購入時の決済を同じ不動産業者で行うことが多いようですから自然な形ともいえるでしょう。

同時進行の場合は内覧のために事前準備が必要になる?

同時進行の場合は、売却益を物件購入に使えますが、普通の生活に内覧のお客さんを受け入れなければならないという問題があります。

お客さんが来ることに抵抗がないという社交的な方もおりますが、ここでの問題とは「常に部屋をきれいにして住んでいないと内覧では不利になる」という点です。

お部屋をきれいな状態に保つのは、奥様にとって相当の負担になるでしょうから、よく話し合ってお互いに協力できる体制をつくっておくとよいでしょう。

持家の売却で損した分は税金の還付を検討する

一般的に住宅はよほどの人気物件でない限り売却価格は、購入価格を下回ります。そのため、売却で損した分を少しでも取り戻すには「税制の優遇制度」を利用するのがおすすめです。

税金の話をすると・・・

  • 手続きの書類集めで苦労しそう
  • 申請書の書き方がわからない
  • どういった制度が使えるのか見当もつかない

住宅購入時は、面倒な書類申請は不動産や住宅メーカーの担当者が代行してくれたりしますが、税金の優遇を利用するには、あなた自身が動くことになります。

役所としては、「税金を戻す制度を作りました」。恩恵を受けたいなら手続きをしてくださいという立場ですから尋ねないと答えてはくれません。

つまり、税金の還付を受けるには、ある程度の予備知識は必要になるのです。

売却して損をしたとき使える税制優遇制度を2つ制度

住み替えの際に「赤字が出た」ときに活用できる税制優遇は2つです。

  • 譲渡所得の損益通算
  • 繰越控除制度

日常生活ではなじみがなくイメージしにくいのですが・・

損益通算のことをかんたんに説明しますと、不動産(自宅)を売却したときに、赤字になったら給料の所得からマイナス分を差し引いて税金を低くしてくれる制度のことです。

給与所得以外にも事業所得から控除できて、結果的に所得税や住民税がゼロになることもあります。

もうひとつの繰越制度とは、赤字の金額を次の年も3年間繰越して控除できる制度です。

この2つの制度は、売却した自宅を5年以上所有しているなどの条件を満たす必要がありますので、登記簿などで事前に確認しておくとよいでしょう。

住み替えはタイムロスを最小限に心がけよう

買い替えの費用を抑えるには資金計画が重要

住み替えは、2つの物件を売買することになるので、どうしてもタイミングのずれは生まれやすいものです。

一般的に売却は3か月、物件購入で6か月の期間がひとつの目安とされていますので、今回お伝えしたポイントを理解したうえで、無理のない住み替えを実現していただければと思います。