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賃貸物件を借りるには何かとお金がかかるものですが、具体的にどのくらいの資金を用意しておくと良いのでしょうか?
本記事では、賃貸を借りる際にかかる初期費用について、どんな費用がかかるのかといったことから、初期費用の目安、賢い節約方法などをご紹介していきます。
賃貸する時の初期費用について
賃貸物件を借りるときにはいろいろな費用がかかりますが、具体的にどんな費用がかかるのか把握しているでしょうか?
賃貸物件を借りるときには、以下のような費用が掛かると考えておくとよいでしょう。
- 敷金
- 礼金
- 前家賃
- 仲介手数料
- 火災保険料
- 保証料
- 引越し費用
- その他費用
それぞれについて解説していきます。
敷金
敷金は退去時の原状回復費用等に利用されるもので、原状回復費用を支払った後、残額がある場合には退去時に返還を受けることができます。物件により異なりますが家賃の1~2カ月程度で設定されるのが一般的です。
礼金
大家さんに対してお礼の意味を込めて支払うもので、敷金のように将来返還されることはありません。
仮に、敷金0カ月、礼金1カ月といった契約の場合、入居時の費用は礼金1カ月分だけで済みますが、退去時には別途原状回復工事費を支払わないといけない点に注意が必要。こちらも、物件により異なりますが家賃の1~2カ月程度で設定されるのが一般的です。
前家賃
入居する月の家賃を前払いで支払うというものです。前家賃については、先に支払うか後に支払うかの違いでしかありません。月の途中に入居する場合は、日割りで家賃を計算するのが一般的です。
仲介手数料
物件を案内したり契約手続きしてくれたりした不動産会社に対して支払う手数料で、家賃の0.5カ月~1カ月程度支払います。仲介手数料の上限は1カ月までとなっており、それを超えて請求されることはありません。
火災保険料
入居中に火災を起こしてしまったり、水漏れを起こしてしまったりしたときに備えて加入するものです。1.5万円~2万円程度が相場で、更新時には再度保険料を支払う必要があります。
保証料
家賃を滞納したときに保証会社が大家さんに変わって家賃滞納分を負担するために支払うものです。
入居者としては、滞納分の支払い先が大家さんから保証会社に変わるだけですが、昔であれば原則として連帯保証人を立てなければ入居できなかったのに対して、保証料を支払えば連帯保証人を立てなくても良いこともあるのがメリット。ただし、物件によっては保証料を支払って、かつ連帯保証人を立てなければならないところもあります。
家賃や共益費の0.5カ月分が目安で、更新時には再度保証料を支払う必要があります。
監修者から:保証会社に保証してもらう場合、審査が必要になります。以前は保証額の上限を定める必要がありませんでしたが、2020年の民法改正によって上限金額となる極度額を定めなければその保証契約は無効となりました。
そのため、2020年4月1日以降の契約に関しては、賃貸借契約書に極度額の記載を明記する必要があります。一般的な相場は、賃料の2年分が上限です。以前よりも保証会社も保証しやすくなったので、審査も通りやすくなっていると思います。
ただし、学生さんのように賃貸の初期費用を抑えたい方は、なるべく保証料のかからない形での契約が望ましいです。保証会社よりも先に両親に交渉してみてください。
引越し費用
新居に引っ越すための費用です。引越し会社を利用する場合は、距離と荷物の量、また引越し時期によって費用が変わります。また、新居で新しく家具や家電を買い揃える場合にはその資金も用意しておく必要があるでしょう。
その他費用
上記の他、鍵の交換費用や害虫駆除費用、消臭費用などがかかることもあります。あらかじめ不動産会社に確認しておくようにしましょう。
敷金・礼金なしの物件について
先述の通り、賃貸に引っ越す際にはいろいろと費用がかかります。物件により異なりますが、おおむね家賃の4~5倍程度はかかると考えておく必要があるでしょう。たとえば、家賃5万円の物件に引っ越すのであれば20~25万円程度は想定しておくことをおすすめします。
一方、中には敷金や礼金の負担のない物件もあるため、こうした物件を選ぶことで初期費用を安く抑えやすくなります。
敷金・礼金なし物件の特徴
敷金や礼金を設定するのは大家さんです。本音をいえば、敷金や礼金は多く貰っておきたいというのが当たり前です。敷金・礼金なしと設定している大家さんは、どのような理由で敷金・礼金なしとしているのでしょうか?
これは、基本的には敷金や礼金を安く設定することで、他の物件で契約されることを防ぐ目的があります。逆に言えば、敷金・礼金なしにしなければ他の部分で競合物件に負けてしまう物件が多い可能性が高い、ということでもあります。
大家さんからしたら、敷金は退去時に返還するものなので、敷金と礼金を0円にしても、礼金は家賃1~2カ月程度で設定するのが一般的なので、家賃1~2カ月程度の損失でしかありません。そのくらいの損で1年~2年の家賃を受け取れるのであればその方が良いというわけです。
もちろん、入居者としても敷金と礼金の負担なしで入居できるというメリットは大きいですが、こうした事情も理解したうえで、他の物件と比較検討すると良いでしょう。
フリーレントについて
また、物件によってはフリーレントといって、入居から1~3カ月分の家賃が無料になるというものもあります。これも、基本的には上記敷金・礼金0円の物件と同じように空室対策として実施しているものです。
ちなみに、少ないながらも敷金・礼金なしかつフリーレントの物件もあります。初期費用を抑えたければ、こうした物件を探してみるのも良いでしょう。ただし、フリーレントの物件は契約条件をしっかり確認しておくことが大切。入居から1年~2年間に退去した場合、ペナルティを支払わなければならないのが一般的だからです。
分割払いも検討しよう
初期費用が不足している場合や、できるだけ手元の資金を減らしたくないという場合には、初期費用の支払いをクレジットカード払いに対応してくれる不動産会社を選び、分割払いも考えると良いです。
クレジットカード払いにすれば、ポイントやマイレージを貯められます。不動産会社を選ぶ時は、支払い手段の確認もしておくべきです。
家具家電物件付きの物件を選んで初期費用を安く抑える
初めての一人暮らしでは、引越し後に家具や家電を一式揃える必要があります。この費用が高額になりやすいものです。初めて一人暮らしをする人は、家具家電付きの物件も考慮してみてください。
エアコンや冷蔵庫、洗濯機、ダイニングテーブルなどを一式揃えるための数十万円を抑えられるメリットは大きいです。
ただし、家具家電付きの物件はそうでない物件と比べて家賃が1万円程度高くなっているのが一般的です。数カ月~1年程度の入居であれば良いですが、数年単位で済む場合は、自分で家具家電を一式揃えたほうがお得になることも少なくありません。
なお、単身赴任や時期が決まっている出張のように、「一時的な仮住まい」と決まっているのなら、家具家電付き物件の利用価値は高いです。
まとめ:具体的な金額をシミュレーションしてみよう
賃貸物件の初期費用について以下の内容をお伝えしました。
賃貸を借りるには敷金礼金や仲介手数料といった経費で借りる物件の家賃の4~5カ月程度は初期費用がかかってしまいます。これに家具家電を揃える費用なども考えると、その負担は大きいと感じてしまう方も多いでしょう。
賃貸物件の初期費用について不安を感じている方は、本記事の内容を参考に具体的な金額をシミュレーションすると共に、費用を安くする方法を試してみてはいかがでしょうか。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧