年収と貯金額から考える「家の購入タイミング」

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住宅

目次

これから家を購入したい!……でも、自分の年収や貯金額で大丈夫?

そんな不安を抱えている人に向けた記事です。安心して家を購入するためには、どのくらいの年収と貯金が必要なのか。現実的な家の購入について、詳しく紹介します。

安心して家を購入するにはいくらの年収と貯金が必要?

賃貸よりも購入した方が月々の支払いは安い……この事実が、まだまだ世の中に浸透したとは言い切れないかもしれません。しかし、少しずつ月々の支払いを減らすメリットから家を購入したい方は増えているようです。

さて、家を購入する際に多くの方が金融機関の住宅ローンを利用しますが、ここで不安になるのが資金面です。

  • 「自分の年収で家を購入しても大丈夫だろうか?」
  • 「頭金が少ないけど大丈夫?」
  • 「自分の収入で住宅ローンの審査が通るのか?」

住宅ローンに関してはさまざまな種類や考え方があるので、このような不安を感じるのは当然です。しかし、資金計算を間違わなければ、年収の高さや頭金の金額は問題ありません

ということで、まずは資金計算の際に、気を付けて頂きたい点から確認していきましょう。

家購入の資金計算で気を付けてもらいたいのは、以下の3点です。

  • 年収
  • 利用可能な貯金額
  • 毎月の支払金額

『年収』

気を付けて頂きたい点は二点です。

1・資金計画は必ず手取り収入で立てる

その理由は、金融機関の住宅ローン審査は金額が高くなる税込み年収で行われているからです。所得税や住民税、社会保険料などの金額は年収に応じて金額が異なりますが、何十万円という金額が控除されている方もいます。より安全と思われる手取り年収で計画してください。税込み年収で資金計画をしてはいけません。

2・共働き世帯はパートナーの離職・収入減を考慮する

夫婦共働きの世帯は、一人暮らしよりも生活水準が高くなりがちです。年収300万円の単身世帯と、世帯年収600万円(年収300万円×2人)の共働き世帯を比べてみると、多くのケースで共働き世帯の生活水準が高いはず。

しかし、家を購入するにあたっては、この「生活水準の高さ」を見直す必要があります。出産や育児などで、結婚後もパートナーがこれまでと同様の働き方ができるかわかりません。パートナーの収入減を想定して資金計画を考えましょう。

また、パートナーの勤務先も重要です。産休の充実さや、育児後の復帰事例が多い勤務先かどうかで判断も変わるでしょう。

『利用可能な貯金額』

家を購入するには物件代金だけ用意すれば良いわけではありません。

『諸経費+物件代金+リフォーム費用など(必要に応じて)+引っ越し費用など』

新居の家具購入や引っ越し料金、購入諸経費など、家を購入するには物件代金以外の諸経費などが必要です。

もちろん、諸経費ローンという商品を利用すれば融資を受けることができるので、全額現金で準備する必要はありません。

しかし、融資額が多くなれば毎月の支払金額も高くなりますし、住宅ローンの審査も厳しくなります。可能な限り現金で支払うことが望ましいので、資金計算をする際には住宅購入に投下できる貯金がいくらあるか正確に確認しましょう。

『毎月の支払い額』

賃貸住宅では「給料の1/3が適正賃料」とも言われています。しかし、家を購入するにあたってはこれではいけません。家を所有すると毎年税金が課税されますし、室内のメンテナンス費用などを貯蓄しなければいけないからです。

また、ライフステージに応じて教育資金、老後資金の貯蓄も必要。そのため、『給料の1/3』という考えで資金計算をしてはいけません。年間の返済額が年収の25%前後になるように考えると、無理のない返済計画を立てられるはずです。

毎月きちんと支払うことができれば、自己資金や年収の高さ、貯金額は大きな問題ではありません。年収や貯金額よりも、「適切な支払金額はいくらなのか?」を重点的に考えてみましょう。

一戸建て?マンション? どちらを選ぶかで予算決めが大きく変わる

マンションと一戸建て、どちらを選択するかで資金計算は全く異なります。物件探しを始める前に、ライフスタイルを含め家族内でしっかりと話し合いをしておくことが必要不可欠です。一戸建てとマンション、それぞれのメリット・デメリットを確認してみましょう。

一戸建て

メリット

デメリット

独立性がある

建物の修繕、修繕計画を自分で行う

駐車場、駐輪場台が無料

マンションより耐震性・耐久性などが劣る

足音や振動が気にならない

ゴミ置場などの清掃を自分で行う

自分の土地を所有することができる

駅近物件が少ない

マンション

メリット

デメリット

駅近物件が多数ある

独立性が無い

ゴミ出しや清掃業務、建物修繕は管理会社が行う

足音や振動などが気になる

セキュリティ―設備がある(オートロックなど)

駐車場、駐輪場などが有料

耐震性・耐久性が高い

総会などの話し合いが定期的にある

ほんの一例になりますが、一般的にはこのようなメリット・デメリットが挙げられています。この中で、もっとも特筆すべき違いは、ランニングコストの有無でしょう。

マンションは管理費、修繕積立金、駐車場料金、駐輪場代など、ローン以外に多くの支払いが必要となります。

具体的な金額を入れて計算してみましょう。

管 理 費:月額13,000円

修繕積立金:月額10,000円

駐車場料金:月額20,000円

駐輪場料金:月額300円(2台分)

月 合 計:月額43,300円

利用状況によって金額は異なりますが、ローンの支払い以外にこれだけのランニングコストが毎月必要になります。

3,000万円の一戸建て・マンションで実際に資金計算してみましょう。

金利:0.875% 期間:35年 ボーナス返済:なし

一戸建て→月額82,949円

マンション→月額126,249円

もし月額12.5万円の一戸建てを検討する場合、4,500万円まで予算をあげることも可能になるので、今後のライフプランを含め一戸建てかマンションか、をしっかりと話し合いをしなければいけません。

家を購入するなら新築?中古? 私はどちらを検討するべきか

一戸建て、マンションの希望が決まったら「新築と中古、どちらを検討するか決めましょう。この2つを比較した時の最も大きな違いは『価格』です。

マンション、一戸建て、どちらの不動産も土地価格と建物価格で構成されており、建物価格は毎年必ず目減りしていきます。築年数が経過すればするほど建物の価値がゼロに近づいていくので、新築と中古を比較すると価格に大きな違いが生じてくるのです。例外として、立地条件や社会情勢などによっては、中古住宅の方が高い価格で取引されることもあります。

新築、中古の価格差はエリアなどの諸条件により異なるので、正確に伝えることはできませんが、参考に以下の資料をご確認ください。

出典:三井住友トラスト不動産 マーケット情報

2011年、マンションを対象として実施された調査によると、築後20年で約40%価値が目減りするという調査結果が出ています。中古マンションの割安感が確認できるでしょう。

ただし、中古マンションを検討する場合は、修繕積立金などのランニングコストが高くなっているので注意が必要です。先述したように、マンションはローンの支払い+ランニングコスト(修繕積立金など)を毎月支払います。物件価格が安くなってもランニングコストが高くなる。これでは、中古住宅を購入するメリットが薄れてしまう可能性もあります。

新築当初のマンションは修繕積立金が低く設定されているので、物件価格が高くとも毎月の支払金額が中古マンションと大差ないケースも多々あります。将来的な転売を考慮すれば、築年数は少しでも新しい方が有利です。見た目の物件価格だけで新築か?中古か?の判断をしないように気をつけましょう。

家を購入するベストタイミングはいつなのか?

購入タイミングを考える時、多くの方は不動産価格の高い低いで判断しようとします。極端な説明になりますが、不動産価格は景気動向によって変動するので、景気が後退すれば不動産価格は値ごろになります。

とはいえ、景気が後退すれば雇用状況や収入減少など住宅ローンに対す懸念材料も多くなるので、大多数の方は家の購入に対して消極的となるでしょう。

上記を踏まえた上で、筆者なりに家を購入するベストなタイミングを考えてみました。その結果、不動産価格の高い、安いは二の次で、「あなた自身や家族にとってベストなタイミングで購入することが最善」という結果に辿り着きました。

  • 収入が安定したタイミング
  • 転勤が落ち着くタイミング
  • 子供が産まれるタイミング
  • 結婚するタイミング
  • 資産形成に関心を持ったタイミング

などなど、各家庭によって様々なタイミングがあるでしょう。

支払い不安については先述した通り、適切な予算決めを行うことで大部分を解消することができます。貯金額が少なくとも、年収が低くとも、各家庭に合った予算を決めていけば何も問題ありません。

「購入した時よりも高く売却できた」という体験談を耳にする機会も多いのですが、このような話に耳を傾け過ぎてはいけません。

「家を購入しよう」……そう思った瞬間が、あなたにとって最善のタイミングです。損得勘定に縛られることなく家を購入するタイミングを見極めてください。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧