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相場より価格の安い再建築不可物件
安いから掘り出し物?それとも失敗しやすい家?
土地も建物も申し分ない家は価格が高くて手が出ない一方で、お手頃価格の家は何か物足りなさを感じる…。 家探しを始めると誰もが感じることではないでしょうか。 そんな中、見つけた理想の家が「再建築不可物件」だった場合、購入を検討すべきなのでしょうか。 本記事では、再建築不可物件を買う前に知っておいて欲しい注意点について解説していきます。
違反建築物と既存不適格建築物
再建築不可物件とは、「建築時には法律に適合した建物だったけど、現在の法律には適合しない建物」のことです。
違反建築物ではない
既存不適格建築物は、今建っている不動産に住み続ける分には何も問題ありません。 なお、建築時は法律に適合していたけど現在の法律に適合しない不動産のことを「既存不適格建築物」と呼びます。 既存不適格建築物は違反建築物とは異なります。違反建築物は、建築時から法律に適合していなかった不動産のことで、場合によっては撤去(除去)命令が出されることもあります。
一方、既存不適格建築物に対して除去命令が出されることはありません。ちなみに、既存不適格建築物は新築・建て替えはできませんが一定の要件を満たせば増築することも可能です。
どんな法律に引っ掛かるの?
既存不適格建築物となってしまう理由にはいくつかあります。例えば、建物を建てるには、その土地が幅4m以上の道路に間口が2m以上接道していないといけない「接道義務」を満たしている必要があります。建築時には接道義務を満たしていたのに、その後、周辺で土地の分筆が行われ、いつの間にか接道義務を満たさなくない土地になっていた、といったことがあります。一戸建てで多いです。 この場合、基本的にどんな建物でも建て替えできません。
他には、建ぺい率や容積率が問題になることがあります。 建ぺい率とは、建築面積と敷地面積の割合、容積率とは延床面積と敷地面積の割合を表すもので、エリアごとに上限が定められています。
建築時には建ぺい率、容積率を満たしていたものの、その後建ぺい率と容積率が変更され、現在の法律では建ぺい率と容積率の基準をオーバーしているといったマンションや戸建てがあります。 この場合、確かに同じ規模の建築物は再建築不可ではありますが、現状の建ぺい率、容積率内であれば再建築できます。 こうした物件は再建築不可物件ではなく、建ぺい率(容積率)オーバー物件と呼ばれます。
再建築不可物件の特徴
ここでは、再建築不可物件の特徴についてご紹介していきます。
相場より価格が安い
再建築不可物件は、再建築できない不動産のため相場より安い価格が設定されます。安くなった分、リフォームやリノベーションを施すこともできます。 再建築できない不動産であることを承知の上であれば、購入を検討してみてもよいでしょう。
「再建築不可」であることの告知義務がある
なお、再建築不可であることを隠して売買はできません。 もし、売主が知りながら再建築不可であることを告げずに不動産を売却した場合には告知義務違反となり、罰せられることになります。
購入前の3つの注意点
再建築不可物件は相場より安い価格で購入できる可能性が高いですが、購入を検討する際には以下の注意点をよく理解した上で検討するようにしましょう。大きなデメリットは3つあります。
1・資産価値は低い
再建築不可物件は、再建築できない不動産のため資産価値が低くなります。 将来、お子様に相続させたいと思っても大した価値のない不動産を残してしまうことになります。また、不動産会社に価格査定を依頼しても低い評価額となる可能性が高いでしょう。
2・融資は原則利用できない
再建築不可物件の購入においては、住宅ローンは原則利用できないか、利用できたとしても高めの金利設定となります。 金融機関は、住宅ローンを組む時に、対象の物件に対して抵当権を設定します。これは、住宅ローンを滞納された時に対象も物件を売却してローンの残債を減らすことが目的です。
しかし、再建築不可物件は資産価値が低く、売却しようとしても買い手がつかない可能性があります。こうしたことから、金融機関は再建築不可物件については融資しないか、融資するとしても売却できないリスクを想定して高めの金利設定にするのです。
3・災害で倒壊しても再建築できない
再建築不可物件で一番注意したい点が、再建築不可物件に住んでいると、地震や火災など、災害を理由に建物が倒壊しても再建築できないということです。こうなると、住む場所に困ってしまいます。 災害は起こる可能性が低いとはいえ、いつ、どこで起こるか分かりません。 こうしたリスクをしっかり把握した上で購入を検討しましょう。
建築可にする方法がある?
再建築不可物件を購入後、条件をクリアすれば建築可にできることがあります。もしこれが可能であれば、割安で購入し、購入後に手を加えることで将来、相場程度での売却を実現できる可能性もあります。
セットバックする
土地に接道する道路の幅員が2m以下の場合、セットバックといって、敷地の一部を道路に割り当てることで4m以上の幅を持つ道路(私道)にできます。
隣地を買い取る
対象の土地と隣地を一体として考えた時に接道義務を満たせそうであれば、隣地を買い取ることで建築可の土地とできます。隣地の一部を買い取ることで道路(私道)の幅を4m以上にできる場合には、その一部だけ買取ることも考えられます。
なお、再建築不可物件について、当たり前の方法で売却すると相場より安くなってしまう物件でも、図のように隣地の所有者に売却することで通常の土地と同程度(もしくは少し安い程度)で売却できる可能性があります。 隣地の所有者としても、対象の不動産を購入すれば2筆の土地を1体として考えて活用が可能なので、悪い話ではないはずです。
一時賃貸借契約を締結する
購入については隣地の所有者が納得しない場合や、購入するだけのお金を用意できない場合は、工事中だけ土地の一部を利用(借地)させてもらう一時賃貸借契約を締結することで、再建築可となることがあります。
一時賃貸借契約については、書面に残しておき、役所に確認申請する際に提示します。実際の対応は物件により、また行政により異なる可能性があるため、事前に行政に確認の上進めていくとよいでしょう。 間違っても、確認が取れる前に建物を解体してはいけません。きちんと再建築不可物件の取り扱いに詳しい不動産の専門家に相談しながらどの方法が適しているのか探っていきましょう。
再建築不可物件の購入は慎重に
デメリットは裏を返せばメリット
再建築不可物件について、その概要や特徴、注意点等お伝えしました。 再建築不可物件は相場より安い価格での購入が可能なので、購入を検討してもよいですが、購入前には本記事でご紹介した注意点をしっかり確認しておきましょう。
一般のマイホームを探している方ではなく、不動産投資家や賃貸アパート経営している大家さんといった不動産売買に慣れている方にとっては再建築不可物件は、利回りよく人気です。 また、購入後建築可にできるあてがあるのであれば、お得に購入できる可能性が高いので、そうした視点で物件を探してみるのもよいでしょう。
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