目次
日本にはさまざまな住宅購入支援制度がありますが、視線制度の恩恵を受けるためには制度の内容を知った上で、更に申請をする必要があります。この記事では、これから住宅を購入予定の方に向けて、国の住宅購入支援制度である「すまい給付金」について解説します。
すまい給付金とは?
そもそものきっかけは2014年4月。消費増税に伴い、増税前の駆け込み需要、増税後の経済の落ち込みを緩和させるために住宅ローン減税制度が拡充されました。しかし、住宅ローン減税は所得税が還付される制度。所得税をより多く払っている人が恩恵を受けることができる仕組みで、所得が低い人ほど効果が低下してしまう制度でした。
すまい給付金は所得が低い人ほど恩恵が大きい
そこで導入された制度がすまい給付金。すまい給付金は住宅購入者に直接金銭給付をする制度で、所得が低い人ほど恩恵を受けられる制度です。2019年10月の消費税率が10%になったことにより、すまい給付金の給付額も最大30万円から50万円に拡充されました。
すまい給付金は誰がもらえるの?
続いて、すまい給付金は不動産を買えばだれでも受給することができるのか?……その疑問を解説していきます。すまい給付金は、「すまい」と書かれているとおり、居住用の住宅を購入した人が対象です。不動産の登記は本来義務ではありませんが、すまい給付金を受けとるためには、不動産について所有権の登記が必要です。
その他、実際に住んでいること、一定年収以下であること、住宅ローンを借入している人(50歳未満の場合)もそれぞれ要件となります。まとめると……
- 居住用の不動産であること
- 所有権の登記がされていること
- 実際に住んでいること
- 収入が775万円以下であること
- 住宅ローンを借り入れしていること
これらの要件が求められます。ただし、例外として50歳以上の方は現金取得でも対象です。また、所有権に関しては、共有持ち分でも対象になります。
住宅ローンの借り入れ要件
住宅ローンの借入についても要件がありますので、整理しておきましょう。
- 住宅ローンであること
- 返済期間が5年以上であること
- 金融機関からの借り入れであること
投資用不動産を購入した時や、親から借りた借入金で物件を購入した時は、すまい給付金の対象とはなりません。
すまい給付金はいつまでもらえるの?
すまい給付金は、住宅購入時に1回だけ受け取ることができます。ただし、不動産の引き渡しを受けてから1年以内にすまい給付金の申請をしないと(現在は1年3か月に延長)受け取れなくなりますので、注意が必要です。尚、2021年12月までに引渡しされ入居が完了した住宅までが、すまい給付金の対象となります。
すまい給付金はどんな不動産が対象?
すまい給付金には、不動産の規定によって給付金が受け取れるケース・受け取れないケースがそれぞれあります。ここでは新築、中古それぞれの規定について解説いたしましょう。
新築、中古共通項
- 床面積が50㎡以上であること
- 消費税が課税される不動産であること
- 自ら居住すること
注意する点としては、床面積が50㎡以上という点。ここは登記面積で確認します。マンションは専有面積で表示されているケースが多いですが、これは壁の中心から測った面積で登記面積とは異なりますので、購入前に必ず確認しておきましょう。また、中古住宅は売主が一般個人の不動産もあります。この場合、受給の対象にはなりませんので、売主が誰なのかを確認しておいてください。
新築のみ
- 一定の検査機関の検査を受けた住宅であること
一定の検査機関とは、「住宅瑕疵担保責任保険」「建設住宅性能表示制度」「住宅瑕疵担保責任保険法人による検査の実施」のいずれかとなります。
中古
- 売主が宅建業者で課税業者であること
- 耐震基準を満たしていること
- 一定の検査機関の検査を受けた住宅であること
一定の検査機関とは、「既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書」「既存住宅性能評価書」「住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書」「建設住宅性能評価書」のいずれかと新築とは若干異なる点に注意が必要です。
すまい給付金はいくらもらえるのか?
すまい給付金の給付額は収入によって10~50万円に変動。年収に連動しているものだと思われることが多いですが、正しく説明すると「都道府県民税の所得割額」によって給付額が決定されます。
都道府県民税の所得割額:確認の仕方
では、都道府県民税の所得割額はどこで確認ができるのでしょうか?住宅ローンの申込をする際、銀行に提出する個人住民税課税証明書(発行する市町村によって名称が異なり、市県民税証明書、特別区民税都民税課税証明書等と呼ばれます)で都道府県民税の所得割額は確認できます。所得割額と給付金の関係は以下の通りです。
所得割額 | 給付金額 |
---|---|
7.60万円以下 | 50万円 |
7.60万円超〜9.79万円以下 | 40万円 |
9.79万円超〜11.90万円以下 | 30万円 |
11.90万円超〜14.06万円以下 | 20万円 |
14.06万円超〜17.26万円以下 | 10万円 |
お住まいになっている住所が政令指定都市の場合は下記の表になります。
所得割額 | 給付金額 |
---|---|
3.800万円以下 | 50万円 |
3.800万円超〜4.895万円以下 | 40万円 |
4.895万円超〜5.950万円以下 | 30万円 |
5.950万円超〜7.030万円以下 | 20万円 |
7.030万円超〜8.630万円以下 | 10万円 |
政令指定都市以外と政令指定都市では、県民税と市民税の税率が違うために差が出ているように見えますが、同じ所得であれば給付金の額は変わりません。ただし、神奈川県は上記とは別の規定となっていますのでご注意ください。
関連記事
すまい給付金を利用する際の注意点
すまい給付金は1回限り
すまい給付金は消費増税緩和の施策ですので、一人一回の制度です。つまり、適用期間中に不動産を買い替えても、どちらか1回しかすまい給付金の恩恵を受けることができません。
すまい給付金は重複利用不可
すまい給付金は、住まいの復興給付金と重複して利用をすることはできません。
新築は1年以内限定
新築住宅のすまい給付金は新築してから1年以内という規定があります。1年を超えているものは新築に含まれず、すまい給付金の対象外となるため、「いつ完成した建物か?」の確認は必要です。
税金について
すまい給付金は一時所得として計算されます。他に一時所得がある場合確定申告の必要があるかもしれません。
すまい給付金の申請代行について
すまい給付金は、本人が直接申請する他、不動産会社からの代行申請をすることも可能です。すまい給付金の代行申請を不動産会社が行う場合、手数料を請求されることがあります。ただし、トラブル防止のため、すまい給付金を代行申請してもらう時には手数料が発生するか事前に確認しましょう。
まとめ:すまい給付金を上手に利用しよう!
この記事では以下の内容を紹介しました。
住宅購入時は何かと物入りですから、すまい給付金のようなお得な制度は積極的に活用したいものです。不動産の販売価格は税込表示されており、宅建業者は消費税分を価格に反映しにくいため、個人が売主の物件と価格差なく販売されていることも多くあります。すまい給付金が利用できる宅建業者の物件に注目して新居を探してみるのも良いかもしれません。
監修者:玉井 伸樹
経歴:(株)ウィルゲイツ・インベストント勤務。ゼネコン、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、建築に広範な知識を有し、近年は太陽光発電等様々なアセットのソリューションにアプローチ。宅地建物取引士・一級建築士。