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固定資産税がもったいない:空き家問題に悩む人に向けた3つの対策

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固定資産税がもったいない:空き家問題に悩む人に向けた3つの対策

目次

空き家の管理・維持はとても大変です。住んでいない状態にもかかわらず、固定資産税や火災保険料を支払わなければなりませんし、倒壊や犯罪リスクも気にしなくてはなりません。そこでこの記事では、多くの人が頭を悩ませる空き家問題について、売却する・特別控除を受ける・賃貸に出すという3つの対策を解説します。空き家にかかる固定資産税についても確認しましょう。

空き家対策1:売却する

住宅販売

空き家問題を解決する一つ目の方法は、売却することです。空き家がある限り管理・維持費を払い続ける必要がありますので、売却すればその負担はなくなります。この章では以下について解説します。

  • 空き家にかかる固定資産税
  • 空き家にかかる固定資産税
  • 空き家を保持するリスク

空き家にかかる固定資産税

空き家には固定資産税がかかります。固定資産税の額は以下の通りです。

土地:「市町村が決めた土地の価格である【課税標準額】×税率1.4%」

建物:「課税台帳に登録されている価格 × 税率1.4%」

ただし土地の課税標準額が30万円、建物の価格が20万円に満たない場合は課税されません。加えて、一戸建てやアパートのような居住用の建物には「住宅用地の軽減措置特例」が適用されます。これは、200㎡までの部分に対する固定資産税は1/6、200㎡を超える部分については1/3まで固定資産税が減額されるという制度です。

※市町村によって税率が異なることがあります

(参考)東京都主税局:https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/kotei_tosi.html#ko_02_01

空き家にかかる都市計画税

空き家には、固定資産税のほかに都市計画税も課税されます。都市計画税の額は以下の通りです。

土地:「市町村が決めた土地の価格である【課税標準額】×税率0.3%」

建物:「課税台帳に登録されている価格 × 税率0.3%」

都市計画税も固定資産税と同じく、土地の課税標準額が30万円、建物の価格が20万円に満たない場合は課税されません。また「住宅用地の軽減措置特例」についても同じく適用されますが、金額が異なります。都市計画税の場合は、200㎡までの部分には都市計画税が1/3、200㎡を超える部分については2/3にまで減額されます。

※市町村によって税率が少し異なることがあります

特定空き家に認定されると固定資産税が6倍になることも

住宅

2015年の「空き家対策特別措置法」により、空き家を放置し続けると「特定空き家」に認定される可能性が出てきました。特定空き家に認定されて勧告などを無視し続けると「住宅用地の軽減措置特例」の適用から外れてしまう可能性があるのです。その結果、固定資産税が最大で6倍になってしまうこともあります。その点からも、不要な空き家は売却した方がメリットは大きいでしょう。

空き家を保持するのはリスク

そもそも空き家には、固定資産税や都市計画税がかかること以外に4つのリスクがあります。4つのリスクは全て、建物だけではなく土地の価値の低下にも繋がります

建物が劣化するリスク

人が住まない建物は日常的なメンテナンスが行われないため、劣化のスピードが速くなります。

防犯上のリスク

明らかに人が住んでいないとわかる空き家には、防犯上大きなリスクがあります。たとえば、不法投棄や放火、不法侵入や不法滞在を招く恐れがあるといったことです。

景観が悪化するリスク

庭の雑草などが生い茂ると見た目が悪くなるうえ、害虫が発生したり動物が住み着いたりして衛生上もよくありません。

防災上のリスク

屋根や壁、柱が劣化した空き家は、地震で倒壊や崩落する恐れがあるだけでなく、倒壊した建物が道路をふさいでしまう可能性もあります。これらのことから、空き家は保持し続けるよりも売却するほうが良いと言えるでしょう。

監修者から

土地の工作物などで他人に損害を与えた場合は、損害を賠償しなければなりません。これを規定して民法717条は所有者に対しては無過失責任を定めております。つまり、仮に空家をきっちり管理していても、他人に損害を与えた場合は賠償責任を負います。空家は良好に管理されていなことが通常ですから、損害賠償責任をおうリスクは高くなりがちです。建物が老朽化・劣化して屋根が落ちて他人にけがを負わせるなど空家を持つことはそれだけで所有者リスクが伴います。

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空き家対策2:3,000万円の特別控除を受ける

大きな計算機を持つ女性

空き家を売却した際には、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税の負担が心配な人は「譲渡所得から3,000万円控除される特例」を利用できるかチェックしましょう。ここでは、3,000万円の特別控除とその適用条件について解説します。

3,000万円の特別控除とは?

空き家を売却した際の譲渡所得から3,000万円控除できる特例を「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。空き家の譲渡益が3,000万円に満たない場合はその金額まで控除され、税額は0円です。譲渡益が3,000万円を超える場合には、超える金額に対して課税されます。

監修者から
別の住居に住んでいた両親が亡くなり、相続が発生する。こんな契機で空き家状態になることが多いと思います。この場合、要件を満たせば譲渡所得の3,000万円控除が受けられますが、期限がありますのでご注意ください。

空き家が特例を受ける条件

特例の適用対象となる空き家は「相続開始の直前まで被相続人が住んでいた居住用家屋とその敷地」です。ただし、次の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 家屋が区分所有建築物でないこと
  2. 1981年5月31日以前に建築されたものであること
  3. 相続開始の直前まで同居人がいなかったこと

特例の適用対象となる人は「上記の住宅等を相続により取得した人」です。また相続した空き家を2016年4月1日から2023年12月31日までの間に売却し、次の要件を満たす必要があります。

①相続が開始した日から3年を経過する日の属する年の年末までに譲渡すること
②売却金額が1億円以下であること
③空き家が一定の耐震基準を満たすものであること、もしくは取り壊して敷地のみを譲渡すること
④相続してから譲渡するまでに建物や空き家を相続人が商売など事業に使ったり、他へ貸し付けたりしていないこと

(参考) https://www.mlit.go.jp/common/001284879.pdf

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空き家対策3:賃貸に出す

住宅を抱える営業マン

空き家の管理・維持費の負担をなくすためには、売却のほかに賃貸に出す方法もあります。空き家を賃貸に出すことのメリットは、思い入れのある家を手放さずに済むことです。ただし、築年数が古い家の場合、借り手がつきにくく思ったような収益を得られないことが多いでしょう。借り手を探すためにリフォームが必要となり、初期投資費用がかかることもあります。

また借り手が見つかっても、その人が長期間住んでくれるとは限りません。退去後に空き家期間が長引くと、収入よりも維持管理費の方が大きくなるリスクも抱えています。

使わない空き家に固定資産税を払うだけ……そんな状況からは脱却しよう

不動産を説明する営業マン

この記事では以下の内容を紹介しました。

空き家を所持したままにしておくと、固定資産税や都市計画税をはじめとした管理・維持費が必要です。またそのまま放置すると、空き家の価値が下がるさまざまなリスクに加え、固定資産税が6倍になってしまう可能性もあります。今回ご紹介した対策である「空き家の売却」(3,000万円の特別控除の利用が出来る期間内に)または「空き家を賃貸に出す」を参考に、空き家問題の対策を行いましょう。

監修者から
空家となった建物をそのままにすることはマイナスしかありません。売却するか賃貸に出すかいずれかを行わないと、特定空き家の法律も施行されペナルティさえも受ける状況です。売却の場合……とくに相続によって空き家になった時は、3年以内に売却して3,000万円控除を利用して手取金額を増やすことをおススメします。また、収益を上げ、賃借人という形で建物の維持をしてくれる賃貸も選択肢の一つです。とにかく放置だけは避けなければなりません。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧