住宅ローンアドバイザーが教える、住み替えローンの注意点

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住宅 不動産

目次

現在住んでいるお家を売却して、住み替える時の住宅ローンについての注意点を、売買仲介の不動産屋・住宅ローンアドバイザーが伝授します。マンションの住み替えを考えていて、残債がまだ残っている方は必見の内容です!

現役アドバイザーが教える住み替えローンの注意点

住み替えローンで注意したいポイント

ローンアドバイザー

仲介を専門にしている現役の不動産店長である関口さんは住宅ローンアドバイザーでもあります。今回も直接スタッフがインタビューしてきました。インタビューしたのは、子供が生まれて最近は手持ちのマンションを売ることを考えている34歳の男性スタッフの「A」。

登場人物

  • 関口さん:不動産歴10年の不動産屋さん店長。資格は宅地建物取引士、損害保険募集人(主に火災保険)、住宅ローンアドバイザー。マンション売買の仲介の営業で埼玉県No1になったこともある売買のプロ。
  • スタッフA:子供が生まれて最近は手持ちのマンションを売ることを考えている34歳の男性。

住み替えローンを組む際の気をつけるべきポイント

スタッフA
2年前に子供が産まれまして、今のマンションだと手狭になってきたんです……。 それで、住み替えを考えているんですけど、住宅ローンは何から始めれば良いですか?
関口さん
お任せください。住み替えは私の得意分野です。 まず、大きく分けて注意点が「3つ」あります。 1つ目は、現在のAさんの「年収」です。 2つ目は、現在住んでいるAさんの家の「ローンの残債」です。 3つ目は、新しく購入しようとするお家の「価格」です。
スタッフA
なんだか、難しそうですね……。
関口さん
住み替えはよく難しいと思われがちですが、内容がわかれば難しいことではありませんよ。

3つのポイントをチェック!

  • 住み替える名義人の「年収」
  • 住んでいるお家の「ローンの残債」
  • 新しく購入するお家の「価格」
関口さん
まずは順を追ってご説明しますね。
スタッフA
わかりやすくお願いします。笑
関口さん
はい。笑 まず年収について注意点をお伝えしますね。 最初にお家を買って住宅ローンを組む際、借り入れできる金額は年収によって大きく変動します。 例えますと、年収300万円だと、借り入れできる金額が1,700万円~2,600万円。 年収400万円だと2,600万円~4,000万円と、大きく変わります。(借り入れ時期や銀行により異なります)
スタッフA
え! 年収100万円の違いでそんなに差があるんですか!?
関口さん
そうなんです。銀行によりますが、主に400万円がボーダーラインとなります。 そしてさらに例えますと、仮に400万円の年収があって、購入した金額が3,500万円前後だとすると、現在のローンだけでほぼいっぱいになってしまいます。
スタッフA
そうですね……。
関口さん
そこで、次に「現在のローンの残債」が関わってきます。住んできた年月が長いと、当然ローンの残債も減ります。 400万円の年収で3,500万円のお家を買ったが、長いこと住んだり、繰上げ返済などをして、「ローンの残債」残り1,000万円など、残債が減るとその分「枠」が戻ります。 例えますと、400万円の「年収」で、「枠」が約4,000万円あり、「現在のローンの残債」が1,000万円とすると……その差が3,000万円なので、次に買う物件の「価格」が3,000万円以内ということになります。 あくまで例えで、実際はここまで単純な計算ではありませんが、わかりやすく言うとこういう原理です。
スタッフA
なるほど! それで「年収」と「残債」と次の買う物件の「価格」が注意することなんですね!

ポイントは「年収」で借り入れできる金額と「残債」の差

この差額が次の購入物件の「価格」に関わってきます。

スタッフA
でも、そしたら私の場合、買ってからの年数が浅いので、そんなにローンの残債が減っていないんです。 そうなると住み替えって出来ないんですか??
関口さん
ご安心ください。結論から言いますと、できます。
スタッフA
どうすればいいですか??
関口さん
先ほどはチェックする「3つ」の注意点をご説明しましたが、次に住み替えの「方法」についての「3つ」のパターンをご説明します。
スタッフA
また3つあるんですか。教えてください!

住み替えローン:3つのパターン

マンション
関口さん
はい。ではまず簡単に3つのポイントお伝えすると、 1つ目は、「売却」を先行して、売れてから次のお家を「購入」します。 2つ目は、「購入」したい物件を見つけて、業者による「買い取り(売却)」をします。 3つ目は、「売却をしながら」、買いたい物件を探し、「購入」をします。
スタッフA
1つ目と2つ目はなんとなくわかりますが・・・ 3つ目はどういうことですか?
関口さん
これも順にご説明しますね。1つ目の売れてから買うのは当たり前に聞こえますが、住み替えでは大事なことです。売却によって残債を弁済します。 そして、新たに新居のローンを組むというやり方です。このやり方のメリットは「相場」で売ることができます。要するに高く売れると言うことです。 しかし、住み替えの場合はデメリットもあります。デメリットは、売れているわけですから、急いで次の購入物件を探さなければなりません。
スタッフA
急に探せますかね。。。
関口さん
一般的に、売れてから(契約)引き渡しまでは、大体3ヶ月の期間がもらえますが、逆に言うと、3ヶ月で購入する物件を決めなければなりません。 しかし、希望する物件がない場合、購入時に多少の妥協は必要になってしまいます。そうならないように、あらかじめ新居に求めるポイントをしっかりと整理して、地域を狭い範囲に限定しておくと良いでしょう。そこまでやれば、3ヶ月以内に物件を探しやすくなります。
スタッフA
本当に住みたい家が見つからない場合は、大変ですね。正直、妥協はしたくないですしね……。
関口さん
そうなんです。 場合によっては、一度賃貸に住んで、引き続き探すという方もいらっしゃいます。ただし、賃貸を挟んでしまうと経費が余計にかかってしまいますよね。コストを考えると、なるべくダイレクトに住み替えできるように考えていきましょう。
スタッフA
家が売れれば、残債もなくなって、新たなスタートができますね。
関口さん
次に2つ目です。こちらは1つ目と全くの逆パターンです。 「購入」したい物件を見つけて、業者による「買い取り(売却)」 メリットは「本当に住みたい家」が見つかります。先に探しているわけですから、妥協しなくて済ますからね。 デメリットは、住みたい家が他の買いたい人に先に買われないように、「購入」を先にしたいので、今の住宅を一般に売り出すことができません。 なぜなら、売却に出してもいつ売れるかわからないからです。売れるまで待ってくれませんからね。 そうなると業者による「買い取り(売却)」となりますから、相場よりも安くなってしまいます。ちなみに、大体相場よりも1~2割引きと考えておいてください。 あと、最初の1ヶ月だけ希望価格で売り出す方法もあります。その期間で売れなければ、業者に売却という流れですね。この売却方法だと「いいとこどり」できるんですよ。このような臨機応変な対応をしてくれる業者さんもいます。
スタッフA
なるほど。しかし、残債よりも買い取り金額が下回ることもありますよね?
関口さん
実際、そのケースが多いです。業者売却でなくても、残債を下回ってしまうこともありますね。
スタッフA
そうすると、住み替えできなくないですか?
関口さん
ご安心ください。それができるんです。 今回の本題にもなりますが、ここで「住み替えローン」を使います。銀行でもちゃんと「住み替えローン」という商品があります。
スタッフA
住み替えローンとはどういうことですか?
関口さん
まさに2つ目のケースでして、売却したいが残債を下回ってしまう。 その時に、残債で足りない部分を次の購入する物件に上乗せすることができます。
スタッフA
なんか、便利そうですね。
関口さん
具体的な例を挙げますね。 たとえば、残債が2,000万円あります。買い取り金額が1,000万円だとします。次に購入する物件が3,000万円だとします。 そうすると残債2,000万円-買い取り金額1,000万円で残債は1,000万円に減ります。 3,000万円(購入する物件)+1,000万円(残債の残高)=4,000万円 の借り入れをすることができます。 これが住み替えローンです。諸費用などは含んでいませんので、実際はもう少しかかりますが……。
スタッフA
そんなことができるんですね。
関口さん
これがまさに住み替えローンです。

簡潔に説明!「住み替えローン」とは

マンション

物件を売却しても完済できない残債を、新しく購入する物件の住宅ローンで補うということです。

関口さん
ちなみにですが、夫婦共働きの場合、今のお家が旦那さん名義の場合、新しいお家は奥さん名義(奥さんの年収)で買うという方も中にはいらっしゃいます。
スタッフA
では最後の3つ目を教えてください!
関口さん
はい!これは、結論から言うと、結構ハードルが高いです。 簡単に言うと、既存の住宅ローンを残しながら、次の家も買うということです。 これに関しましては、年収が1,000万円以上の高所得者、もしくは既存の住宅ローンの残債がほとんどない方でないと難しいです。
スタッフA
最初の注意にあった年収で借り入れができる「枠」が余っているという状態ですか?
関口さん
その通りです。 これに関してのメリットは、本当に住みたい家に住めますし、売却も相場で売ることができます。 デメリットは、売れるまでは既存の住宅ローンと新しい住宅ローンの2重払いとなることです。
スタッフA
早めに売れればいいですけど、なかなか売れないとキツイですね。
関口さん
そうですね。私も3つ目のケースは少ないですね。 この3つ目のケースに関しては、もう1つ注意点がありまして……この方法を選択すると住宅ローン減税などの要件を満たさなくなることもあります。税制についての確認も忘れないでくださいね。

まとめ:結局、住み替えローンはどの方法が良いの?

マンション
スタッフA
結局のところ、どの方法が一番良いんでしょうか?
関口さん
これは一概に言えません。Aさんの優先順位によって決まりますね。 どうしても高く売って住み替えたいというならば、1つ目の方法がいいですし、絶対に理想のお家に住みたい場合は、2つ目の方法になります。 あとはAさんの年収と残債次第では3つ目も可能です。
スタッフA
悩みますね…。 優先すべきことを妻とも話し合ってみます。ありがとうございます!

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ホームズ

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧