住宅ローンの繰り上げ返済は本当にお得?繰り上げするべきか迷っている方へのアドバイス

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住宅ローン

目次

この記事では、住宅ローンの繰り上げ返済について特集します。繰り上げ返済は、住宅ローンの返済期間や月々の返済額を減らす方法として知られていますが、メリットとデメリットまで知っている人は、そう多くないようです。現在住宅ローンを返済中のあなたが「繰り上げ返済をするべきか……」と迷ったときには、この記事の内容を参考にしてください。

繰り上げ返済の大きな特徴

住宅を抱える営業マン

繰り上げ返済とは、月々の返済とは別にまとまった金額を返済にまわすものです。住宅ローンにおいて繰り上げ返済が注目されるのは、住宅ローンには金利があるからです。金利とは利子や利息と呼ばれるものと同じだと考えて構いません。

お金を借りるわけですから当然利息をつけて返していくことになります。利息は「利息額=元金額(=借入残高)×金利(利率)×借入期間」という式で計算できます。

ポイント

金利(利息)は、借入残高や借入期間に応じて変動します。それらを減らしたり短くしたりするために繰り上げ返済という手法があるのです。

2パターンの繰り上げ返済方法

住宅

繰り上げ返済には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。どちらも繰り上げ返済ですので、支払う利息額の合計が減流のは同じです。しかし、異なる部分もあるので、詳細をみていきましょう。あなたのライフスタイルによって、どちらの繰り上げ返済がより適しているかが変わります。

①:返済期間短縮型

返済期間短縮型の繰り上げ返済は、住宅ローンの返済期間を短くするものです。返済期間が短くなるので、利息の総額を大きく減らせる特徴があります。たとえば、もともと35年ローンのものを繰り上げ返済して30年で完済するのが、返済期間短縮型です。

具体的には、ボーナスなどのタイミングで返済期間短縮型の繰り上げ返済を行い、ローン残高を減らし、結果として返済期間を短くします。返済期間は短くなりますが、月々の返済金額は変動しないのが大きな特徴です。

返済期間短縮型のメリットは、利息を大きく減らせること。そして、早めに返済を終えられること。この2点です。

②:返済額軽減型

返済額軽減型の繰り越し返済は、月々の返済額を減らすためのものです。月々の返済額は減りますが、返済期間は短くなりません。もともと35年ローンであれば、35年かけて完済します。

もちろん繰り越し返済に充てた金額はローン残高に充てられるので、利息の総額は少なくなります。しかし、返済期間は短くならないので、返済期間短縮型と比べれば利息の減りは少ないです。

返済額軽減型のメリットは月々の返済額が減り、家計が安定することです。仮に数千円月々の返済額が減るだけでも、生活の充実度は大きく変わるでしょう。それが35年などの長期間となればなおさらです。

繰り上げ返済のデメリット

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メリットの多い繰り上げ返済ですが、注意しなければならない点もあります。とくに「繰り上げ返済時の手数料」と「生活に支障が出るリスクが高まる」ことには注意してください。

繰り上げ返済時の手数料

金融機関によっては、繰り上げ返済の手数料が数万円かかってしまうことがあります。とくに、窓口で繰り上げ返済を行う際は手数料が高くなる傾向です。インターネットバンキングでの返済であれば手数料無料のことが多いので、繰り上げ返済を行う際には、まず手数料を確認してください。

生活に支障が出るリスクが高まる

繰り上げ返済は利息額の減少に直結するので、できる限りしておきたいと考えるのが一般的です。しかし、繰り上げ返済にこだわりすぎると手元に残るお金が少なくなり、いざというときにお金に困ってしまいます。これでは、本末転倒でしょう。繰り上げ返済は生活を切り詰めて行うのではなく、余裕が生まれたときに初めて検討するのが良いです。

繰り上げ返済の効果を実感するためには、まとまったお金が必要です。たとえば、数万円程度を繰り上げ返済に充てても、ああまり効果は実感できません。

繰り上げ返済のシミュレーション

知るぽるとというサイトで、繰り上げ返済を行った際の利息額の減少や返済期間の変動などをシミュレーションできます。

シミュレーションは以下のような形で行います。

  • 当初借入金2,500万円
  • ボーナス返済なし
  • 当初借入期間 30年
  • 返却済期間 5年
  • 金利 1%
  • 繰り上げ金額 100万円

「返済期間短縮型」でシミュレーションを行うと、返済期間が1年3か月短縮します。減少する利息額の合計は274,880円です。

一方、「返済額軽減型」でシミュレーションをすると返済期間は変わりませんが、次回からの毎月の返済金額が3,779円減ります。減少する利息額の合計は130,189円という計算です。

100万円程度の金額でも十分に利息額が変わってくるのがわかりますね。もちろん、繰り上げ金額がもっと大きくなれば、返済期間や減る利息額、毎月の返済金額もさらに変動します。

繰り上げ返済をするなら住宅ローン減税のことも考慮して

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お金に余裕があるときに繰り上げ返済を行えば、とても有効的です。しかし、繰り上げ返済を行うタイミングはいつでもよいわけではなく、適したタイミングがあります。とくに考慮すべきなのが住宅ローン減税です。

住宅ローン減税とは、マイホーム購入から10年間、税金の優遇が受けられる制度です。優遇される税額は「毎年末の住宅ローン残高の1%」で、年間で最大40万円です。毎年末の住宅ローン残高の1%と比べて低い方の金額が所得税から差し引かれます。

所得税は本来、収入から経費や控除を差し引いた所得(利益)に対してかけられるものですが、住宅ローン減税は所得税から直接差し引かれます。単純に言えば、毎年住宅ローン残高の1%と同じ金額だけ支払う税金が安くなるというものです。元本が大きいときのほうが繰り上げ返済の効果(減らせる利息)が大きくなるので、この点も合わせて検討すると良いでしょう。

住宅ローン減税の優遇が終わってから繰り上げ返済?

最大の問題点は、「住宅ローン減税で受けられる10年間の優遇が終わってから繰り上げ返済したほうがよいか」です。もちろん10年間の期間中に繰り上げ返済を行っても、住宅ローン減税は受けられます。しかし、安くなる税額は変わってしまいます。が変わるだけです。

どちらがお得なのかを知りたいのなら、ファイナンシャルプランナーに相談するが、詳細を入力できるシミュレーションを行う必要があるでしょう。

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金利が高い場合には繰り上げ返済がおすすめ

今、簡単に繰り上げ返済したほうが良いかを知りたい人に向けて、一定の目安を紹介します。積極的に繰り上げ返済するべき目安は、住宅ローンの金利が1%以上の場合です。金利が1%以上だったら、「金利が高いもの」として考え、なるべく積極的に住宅ローンの繰り上げ返済を行うと良いでしょう。

金利が高ければその分利息額も大きくなります。つまり金利が高い場合は、ローン残高を減らす繰り越し返済を行う効果が大きいです。1%を目安とするのは、住宅ローン減税で所得税から差し引かれる金額が「年末のローン残高の1%」だからです。

金利が1%より高ければ積極的に繰り上げ返済を行い、1%より低ければ支払う利息のほうが住宅ローン減税で戻ってくるお金より少なくなるので減税対象となる10年間は待っていたほうが、最大限住宅ローン減税の恩恵を受けられます。

住宅ローンの繰上げ返済:まとめ

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この記事では以下の内容を紹介しました。

住宅ローンの返済プランには、正解はありません。まとまったお金があるタイミングで繰り上げ返済を行うことは大きなメリットがありますが、手元にお金は残りません。たとえばそのお金で家族の思い出となる旅行をし、繰り上げ返済は行わないと判断するのも、1つの選択肢です。

ローンを返済することは重要ですが、ローンの返済をすることが必要以上に重荷になってしまってはよくありません。繰り上げ返済をするのなら、先のことだけでなく今のことも考えて後悔のない方法を選択してくださいね。

 

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧