相続した親の不動産を売却するときに注意したい3つのポイント

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目次

相続した親の家を「売却したい」と考えている人も多いでしょう。一軒家でもマンションでも、今の自宅からは遠くて自分達ではなかなか管理できない。また、利便性の問題から、自分達で住むのも難しいことも多いです。

すると、「それなら売却してしまおう」と考える人が多いのですが、不動産の売却は素人ではなかなか難しいもの。下手をしたら、相場よりもはるかに安い値段で手放す羽目になってしまうかもしれません。また、税金や法律の手続きも面倒です。そこで、この記事では親から相続した不動産をスムーズな流れで売却できるように、3つのポイントをまとめました。

親の家を売却したい

空き家、相続

実家の売却は悩みの種

親の家の相続と売却に頭を悩ませる人も少なくありません。一般の人にとって相続や不動産の売却は滅多に経験することではないからです。特に相続が絡むため、自宅であるマイホームの売却経験のある人でも親の不動産の売却には不安を感じることも多いでしょう。

そんなほとんどの人が不慣れな相続した自宅の売却も、ここで紹介する3つのポイントを知っておけば困ることは少ないはず。相続した不動産の売却に関しては、税金面でも控除特例を受けられる可能性があるため、税金に関しても簡単に説明してあります。

親の不動産を処分する時の3つの注意ポイント

女性

ポイント1『売却するためには相続登記が必要』

相続した親の不動産を売却する場合、亡くなった親の名義のままでは不動産の売買ができません。亡くなった人が法律行為(売買契約)をしたことになってしまうからです。また、登記のない不動産を売却することは可能ですが、それを購入する買主は極めて少ないです。一般人では皆無と考えて構わないでしょう。このため、相続した土地や不動産を売却する場合、相続登記が絶対的に必要だと考えましょう。

相続登記は、相続した不動産売却の契約前には済ませておき、諸事情で遅くなるとしても、引き渡しをする時までには相続登記を済ませておかなければなりません。少なくとも、確実に相続登記ができるように下準備は必要。相続登記申請後に書類などの追加や差し替えの請求があり、資料を揃えるのに時間がかかったために登記が上がるのが引き渡しに間に合わないという事態は避けたいところです。

相続登記ができないときは……

万が一、相続登記ができないとなれば、所有権の移転登記ができないため、買主から不動産売却の契約解除はもちろん、違約金や損害賠償の請求をされてしまうこともあります。

事前に相続登記ができるかどうか確認が必要ですし、できれば前もって相続登記を済ませておくことが望ましいです。相続登記の相談は司法書士などの他にも、各地の法務局の登記無料相談でも可能です。法務局の登記相談の場合、相談員のすぐ後ろに登記官がいることもあり、相談員を介してその場で登記官の見解を知ることもできます。

なお、相続した親の土地や不動産を相続登記するためには、遺産分割協議書などの添付書類が必要です。遺産分割協議書は法定相続人全員で作成するので、遠隔地に住む人や相続人の数が多い場合は、日数がかかることもあります。

相続人全員分の実印の押印や印鑑証明書なども必要です。こういった協議や書面の取り揃えなどは親族間の感情の対立や、贈与による遺産争いがある場合にはなかなかスムーズに行きづらいもの。相続した土地や不動産を売却したいのならば、なるべく早めに行動した方が良いでしょう。

ポイント2『不動産の登記名義の早期確認は大切』

マンション

多くの場合、相続した親の家の不動産の名義は親の名前になっているはずです。ご両親が購入した中古マンションや一戸建て、または土地ならばだいたい親の名義だと思うのですが、相続した親の家が先祖代々の一軒家という場合には注意が必要です。不動産登記自体が全くされていないケースや、親や祖父母が不動産を相続した当時に相続登記を行っていないケースもあります。

不動産登記が義務ではなかったことや、登記費用を節約するためです。名義がすでに亡くなって数十年以上経過している曾祖父母や大伯父などから変わっていないケースもあります。名前を見ただけでは、名義人が誰だか分からないということもあるでしょう。

一見笑い話のようですが、不動産の相続登記の場合はぞっとするような話です。というのも、前述した登記必要書類である遺産分割協議書は『相続人全員』で作成します。当時の法定相続人が死亡している場合には、さらにその相続人たちを探しだし、連絡を取り、遺産分割協議をしてもらわなくてはならないため、非常に気が長い話となるのです。

当時は兄弟も多かったため、二代、三代とさかのぼるだけで対象となる関係者が数十人という人数になることも。遠縁となれば親戚づきあいも希薄になり、今さら遺産分割協議書と言われても敬遠されてしまうこともあるでしょう。

そういった遠縁の数十人との折衝に日数がかかり過ぎれば、不動産売却をする際に利用できる税金の控除(後述)の適用期限を超えてしまう場合もないとは言えません。このような場合には司法書士や税理士などの専門家に依頼した方が確実でしょう。相続した不動産が新しい家やマンションの場合でも相続登記をしていないという可能性もありますので、いずれにしても登記簿の名義の確認は早めに行った方が無難と言えます。

ポイント3『親の家の現況確認は重要』

田舎暮らし

相続した親の家が一戸建という場合、現況の確認は絶対条件です。特に境界確認は重要。塀などがないために隣地との境界がはっきりしていない不動産の場合、隣人が越境してきていても分からないのです。塀があったとしても、その塀が越境しているというケースもあります。

相手方も代替わりをしている場合には、越境状態にもかかわらず、お互いに「そこが正常な状態」だと思い込んでいることもあります。実測図を持参して誠意を持って説明しても、境界確認の承諾を得られません。さらに、レアケースではありますが、隣家が空き家になったことをいいことに、勝手に物置や塀を越境して設置してしまう問題住人もいます。

このような境界紛争に巻き込まれてしまうと、相続した親の不動産を売却できない状況に陥ります。うやむやにならないうちに現況確認と境界確認を行っておくことをお勧めします。

もし境界線を明らかにするために土地家屋調査士などに依頼して新たに測量してもらう場合、40万円前後の費用が掛かります。不動産相続をする際には、不動産屋に支払う仲介手数料以外にもこんな出費があるのです。

マンションを相続した場合

ちなみに、相続した不動産がマンションの場合は、境界確認を重要視しなくても構いません。マンションの場合は境界紛争になるのは珍しいことですし、紛争があったとしても建物と敷地は区分所有者全体の共有なので管理組合や管理会社が折衝してくれます。それでも現況確認として現地の確認をしておくことは重要です。

一戸建かマンションに関わらず、屋内の家財や設備に関しては確認と、必要に応じて家財の撤去や設備の点検修理をしておくと良いでしょう。買主へ引き渡しの条件にもなる場合があります。相続した親の家が遠隔地ではなかなか見回りにも行けないので、空室期間中の管理に関しても地元の不動産業者や便利屋などに依頼できるようにしておくのも良いです。

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税金対策も忘れずに

マンションの部屋

相続した不動産を売却して売却益が生じた場合、譲渡所得税や住民税が課税されます。売却益の計算では、売却資産の取得費が経費として計上できます。親が家を取得した当時の費用も取得費として計上できますし、相続人本人が納税した相続税のうち一定額を取得費へ加算できるという特例があります。

不動産相続開始から3年以内の譲渡や空き家であることなど一定の要件を満たしている場合には、譲渡所得額から最大3,000万円の控除という節税を受けることも可能です。

所有期間で税率が変わる

所有期間

また、所有期間が5年以下の場合には短期譲渡として税金が高くなる場合があります。(5年以下=実際の所有年数ではなく1月1日を基準としているので注意)

税金面での3,000万円控除が受けられない場合には、5年超の長期譲渡となるように売却時期を調整するのも有効な方法です。これらの情報は国税庁HPや最寄りの税務署で確認できます。特例の要件や各種税制などは一般人には難しいため、理解できるまで何度でも相談すると良いでしょう。

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相続にも詳しい不動産会社に依頼しよう

男性

不動産会社にもそれぞれに得意な分野というのがあります。地域密着、マンション専門、買取が得意等。相続した親の家の売却であれば、相続関係に詳しい不動産会社にお願いしましょう。説明の通り、相続は普通のマイホーム売却以上に手続きが複雑です。かといって、対象の不動産は住宅ローンも完済しているケースがほとんどですし、高い価格で売ることにこだわる必要性もないでしょう。

不動産会社選びは不動産一括査定サイトを使うと簡単です。様々な不動産一括査定サイトがありますが、おすすめは2つあります。

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親族から相続した不動産売却するために必要なこと

住宅

「相続」「登記」「現況」そして「税金」

この記事では以下の内容を紹介しました。

不動産相続をした親の家の売却では、単に買い手を見つければ良いというわけではありません。「相続」「登記」「現況」という3点が重要なポイントとなります。さらに「税金」についても金額が大きいので無視できない要素です。

昔なら家は財産で兄弟間で所有権をめぐり奪い合うなんてこともあったかもしれませんが、今の時代は不動産を「負動産」と呼ばれてしまうくらい、処分に困る方が増えています。相続した不動産の売却には、それぞれ一般人にはなかなか難しい内容も含まれていますので、税理士や司法書士など専門家に相談や依頼をすることも検討すると良いでしょう。