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相続したマンションの売却について流れや税金を不動産のプロが解説

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相続したマンションの売却について流れや税金を不動産のプロが解説

目次

マンションを相続して売却することが決まった場合、どのような手続きが必要で、売却後はどのような税金がかかるのでしょうか?本記事では、相続したマンションの手続きの流れや必要となる税金や節税法などを詳しく解説します。

相続したマンション売却の流れと税金

不動産業者 女性

相続したマンションの売却

相続したマンションを売却する流れは、基本的には通常のマンション売却の流れと同じと考えて問題ありません。主に、以下のような流れで売却を進めていきます。

  • 登記の名義変更を行う
  • 不動産会社に査定依頼
  • 不動産会社と媒介契約
  • 不動産会社が売却活動を行う
  • 必要に応じて内覧対応
  • 買い手が現れたら売買契約引渡し

相続したマンションも基本的には通常の売却と同じ

立地や物件に大きな問題がなく、相場程度の価格設定であれば、おおむね3カ月程度で売却できるはずです。また、引き渡し後は税金の手続き(確定申告)も必要になります。なお、相続したマンションが賃貸マンション・アパート一棟であっても、分譲マンションであっても手続き自体に大きな違いはありません。

ただし、賃貸マンションの場合はオーナーチェンジ物件といって、投資用物件として売却するか、入居者が退去してから居住用建物として売却するかで査定額が異なることがある点に注意が必要です。

相続したマンションを不動産会社に直接買い取ってもらうことも

不動産を説明する女性

マンションを相続したら、不動産会社に直接買い取って貰う方法を検討するのもよいでしょう。直接買取には以下のようなメリットがあります。

  • すぐに買い取ってもらえる
  • 売却代金を分配する場合に他の相続人を説得しやすい

「買取」ならすぐに買い取ってもらえる

直接買取は不動産会社の提示した評価査定額に売主が納得したら、すぐに買い取ってもらうことができます。相続による売却代金で相続税を支払うような場合、相続の開始から10カ月以内に相続税を納める必要があります仲介による売却では、時期によっては数カ月~年単位で売買が決まらないこともありますが、直接買取ではそうした心配もありません。

ただし、不動産会社は買い取ったマンションをリフォームして再販するため、リフォーム費用や不動産会社の利益分、相場より買取価格が安くなってしまいます。通常、相場の6割~7割程度になることを覚悟する必要があります。

買取を検討するのなら

買取を検討するのであれば、やはり不動産の買取を専門的に扱っているサービスを利用するべきです。買取専門の業者に一度相談してみましょう。おすすめは買取博士です。査定や手数料は無料ですし、買取してもらった後の物件への責任はなし。なるべく早く物件を現金化したい方にもおすすめです。

買取博士

相続したマンションを買い取ってもらうメリット

 

相続したマンションの売却代金を複数の相続人で分割するケースでは、誰が主導権を握って売却を進めるかで揉めることがあります。一方、直接買取の場合、複数の不動産会社に相談した査定額を、遺産分割協議等で共有して決めればよいだけなので、そうしたトラブルに発展する心配はありません。

買取保証

先述の通り、買取はすぐに売買が決まり便利ですが、売却価格が安くなってしまうデメリットがあります。一方、売却のデメリットは、売却代金で相続税を支払う予定のときに、期限内に売らないといけないことでしょう。それぞれのデメリットを解消するためにおすすめなのが、買取保証です。

買取保証とは最初は仲介による方法で売却し、一定期間売却が決まらない場合、当初取り決めた保証額で買い取ってもらうという方法です。

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相続したマンションを売却した後にかかる税金

家

相続したマンションを売却して利益を得ると譲渡所得として所得税と住民税を納める必要があります。なお、具体的には以下のような税金がかかります。

  • 印紙税
  • 消費税
  • 相続税
  • 譲渡所得税(所得税・住民税)
  • 登録免許税

段落

ここでは、この内の譲渡所得税について見ていきます。

相続したマンション:譲渡所得税の計算方法

マンションを売却した利益に対して課される譲渡所得税(土地・建物)は以下のような計算式で求めます。

  • 課税譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除
  • 税額=課税譲渡所得×税率

上記計算式の構成要素の内、取得費とは売却したマンション(土地・建物)を購入したときに要した費用、譲渡費用とは不動産(土地・建物)を売却するときにかかった仲介手数料等の経費のことです。

相続したマンションの取得費

女性 税金

不動産を売却したとき、そのマンション(土地・建物)を購入したときのマンション購入費用や諸経費から、建物部分を減価償却した額を取得費として計上できます。

具体例

例えば、3,000万円で購入し、諸経費として200万円かかり、30年かけて1,500万円減価償却されたようなケースでの取得費は3,000万円+200万円-1,500万円=1,700万円となります。この取得費について、相続の場合は被相続人(亡くなった方)が取得したときにかかった費用を計上できることになっています。 なお、こうした書類がどこにあるか分からない場合や紛失した場合は、売買価格の5%を取得費として計上できます。

ただし、2,000万円で売却できた場合、取得費として計上できる額はわずか100万円となってしまいますので、生前から売買契約書など書類をまとめたものを用意してもらうことをおすすめしますその他、一定の要件を満たすことで納めた税金を取得費として計上できる「取得加算の特例」もあります。なお、取得費はやや複雑になることから、必要に応じて税理士など専門家に相談するとよいでしょう。

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相続したマンションの譲渡所得に関する税率

不動産(土地・建物)の譲渡所得税は、その所有期間によって以下のように税率が定められています。

  • 短期譲渡所得(所有期間5年以下)…39.63%
  • 長期譲渡所得(所有期間5年超)…20.315% 

相続したマンション(土地・建物)を売却する場合、所有期間についても、被相続人(亡くなった方)の所有期間をプラスして計算できるようになっています。短期譲渡所得か長期譲渡所得かで税率が大きく変わってくるため、覚えておくようにしましょう。

相続したマンション:利用できる特例(特別控除)

マンション

課税譲渡所得税の計算でお伝えした通り、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた後、最後に特別控除を差し引けるようになっています。

  • 課税譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除(再掲) 

この特別控除について、以下の2つのケースで適用を受けられる特例(特別控除)が異なります。

  • 被相続人(亡くなった方)と相続人が同居していた場合
  • 被相続人(亡くなった方)と相続人が同居していなかった場合

それぞれ、見ていきましょう。

被相続人(亡くなった方)と相続人が同居していた場合

被相続人と相続人が同居していた場合、被相続人はマンション売却時に「マイホームの売却に関する特例」の適用を受けることができます。 たとえば、自宅(マイホーム)であるマンションを売却して利益がある場合には、一定の要件を満たすことで「3,000万円特別控除」の適用を受けられます。

また、所有期間10年超であれば「所有期間10年超の場合の軽減税率の特例」の適用を受けることも可能です。上記と併用はできませんが、買い替えの場合に適用を受けられる「特定居住用財産の買換え特例」を利用することもできます。

さらに、マンションを売却した結果、譲渡所得がマイナスとなった場合、マイナス分を他の所得から差し引くことができ、差しい引いてもなおマイナスが残る場合は翌年以降3年間に渡って繰越できる特例を受けることもできます。

被相続人(亡くなった方)と相続人が同居していなかった場合

ティーカップ

一方、被相続人と相続人が同居していなかったケースでは上記特例の対象から外れます。一定の要件を満たすことでマイホームの特例と同じく「3,000万円特別控除」の適用が受けられる特例がありますが、これはマンションの場合には適用を受けられないなど条件が厳しくなっています。具体的には以下のようなものがあります。

  • 旧耐震基準(1981年5月31日以前)で建てられた建物であること
  • 一軒者(一戸建て)であること
  • 相続直前まで被相続人が1人で暮らしていたこと

相続したマンション売却:まとめ

男性 青空

相続したマンション(土地・建物)の売却について、以下の内容をお伝えしました。

相続した不動産を売却するときは、相続税の納付期限の問題から、不動産売却の流れをよく理解しておく必要があると共に、売却時に相続税とは別に譲渡所得税を納める必要がある点に注意が必要です。親の実家は住宅ローンも完済しているケースが多く、高く売ることよりは早く売る方を優先させたほうがいいでしょう。

絶対おすすめしないのが、売るのかどうするか決めれず空き家にしてしまうことです。近年空き家が増えて問題になっております。空き家はさらに売りにくくなります。計算方法など本記事で解説していますが、税の計算においては複数の特別控除の選択肢があったり、税の確定申告時には複雑な計算が必要なこともあるため、必要に応じて税理士など専門家に相談することをおすすめします。