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時期によって「不動産価格」は大きく動きます。そのため、不動産を売却する時ときも購入するときも、いわゆる売り時・買い時が大切です。もともと、不動産は一千万円単位の商品ですから、数パーセントの値動きで随分と価格が変わってしまうもの。不動産売買を検討している方は、是非この記事で特集している「売り時」と「買い時」を知っておいてください。
不動産価格が変化する要因
不動産価格が変化する要因は大きく分けて以下3点です。
- 周辺の需給環境
- 築年数の節目
- 日本全体の経済情勢
上記の「日本全体の経済情勢」は、いわゆるマクロ経済的な観点。マクロ経済とは、金利情勢(≒政策金利)や株価(≒企業業績)などのことです。この「金利」や「株価」についての詳細は後述するので、この章では「周辺の需給環境」と「築年数の節目」の2点について解説します。
周辺の不動産への需給環境
まずは周辺の需給環境です。需給環境とは需要と供給のことで、それぞれ以下を指しています。
- 需要:不動産を購入したい人
- 供給:売り出し物件数
需給環境と不動産価格
仮に、需要が高く供給が少ないと不動産価格は高くなります。なぜなら、買いたい人(需要)が多いものの売り出し物件(供給)は少ないからです。反対に、需要が低く供給が多いと不動産価格は安くなります。これは先ほどとは逆で、買いたい人(需要)が少ないものの売り出し物件(供給)が多いからです。
ミクロな経済視点から考える不動産価格
この「周辺の需給環境」は、日本全体を俯瞰して見るマクロな視点ではなく、駅や沿線別のミクロな視点です。というのも、不動産を探す人は広い範囲ではなく、駅や沿線などの限定された範囲で不動産を探すからです。
たとえば、練馬駅周辺で「不動産の需要が高く供給が少ない」という状況であれば、不動産価格は高くなりやすい時期。まさに売り時と言えるでしょう。不動産価格はマクロ経済の影響も受けますが、「周辺の需給環境」というミクロ経済のほうに、より強い影響を受けます。そのため、周辺の需給環境は不動産価格を左右する最も大きな要素と言えるのです。
築年数の節目に不動産売却時期のヒントが!
不動産(建物)価格は築年数の節目でも大きく変わります。理由は、不動産を探している人の多くが「築年数」を絞って検索するからです。大半の不動産ポータルサイトでは、新築・3年・5年・7年・10年・15年……以降は5年刻みで築年数を指定できます。言い換えると、この節目を超えてしまうと検索結果から弾かれる可能性が。
築年数の節目を超えたばかりの物件はお買い得
たとえば、築10年の物件であれば「築10年以内」と検索したときに検索結果に出ます。一方、築10年1か月となった時点で「築15年以内」と検索しないと、検索結果にすら出てきません。
つまり、築年数の節目を超えると必然的に集客力が落ちるため、不動産価格も下がりやすいのです。そのため、築年数の節目を超えている不動産は、不動産購入者からすれば「買い時」と言えるでしょう。一方、築年数の節目を超えそうな不動産の所有者は、節目を超える前に売ったほうが高く売れる可能性が出てきます。
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金利と不動産価格の関係
次に、金利と不動産価格の関係を以下の順番で解説します。
- 金利が下がるのは景気低迷期
- 景気が低迷すれば不動産価格は下落
- 低金利がしばらく続くと不動産価格は上昇
金利が下がるのは景気低迷期
まず、金利が下がるのは景気低迷期です。景気が低迷すると国民の収入も減り、皆がお金を使いません。しかし、それでは経済が回らず国が困るので、世の中にお金を回すために金利を下げます。
金利を下がると企業も個人も借入しやすくなり、その借入で商品やサービスを購入するようになります。すると、世の中にお金が回り、景気が回復しやすくなるという流れです。
景気が低迷すれば不動産価格は下落
景気が低迷時期は、不動産価格も下落しています。なぜなら、上述した需給バランス的に「不動産を買いたい人(需要)」が減っているからです。
低金利がしばらく続くと不動産価格は上昇
低金利の状態が続くと不動産価格は徐々に上昇していきます。理由は、低金利の状態だと住宅ローン金利も低いため、徐々に不動産を購入する人が増えるからです。そもそも日本は、1998年からゼロ金利政策を導入しており、2013年まで一時期を除きゼロ金利政策を継続してきました。そして、2013年にマイナス金利政策を導入します。マイナス金利政策を導入した2013年前後の不動産価格を見てみると以下の通りです。
不動産価格 | |
---|---|
2010年 | 4,718万円 |
2011年 | 4,578万円 |
2012年 | 4,540万円 |
2013年 | 4,929万円 |
2014年 | 5,060万円 |
2015年 | 5,518万円 |
2016年 | 5,490万円 |
このように、そもそも低金利であった日本ですが、マイナス金利政策の導入でさらに金利が下がってからは不動産価格が上昇しています。
物件価格が上昇しても金利が下がると不動産購入者が最も気にする「月々の返済額」がそれほど大きく変わらなくなります。この点が、物件価格上昇の要因の1つです。
日経平均株価と不動産価格の関係
日経平均株価と不動産価格は上記のように、おおむね連動します。日経平均株価と不動産価格が連動する理由は、どちらの指標も景気に連動するからです。
日経平均株価とは、日本の主要企業225銘柄の平均株価。つまり、日本の景気を端的に表している指標です。そして、日本の主要企業の株価(≒業績)は景気に左右されるため、日経平均株価は日本の景気と連動します。
不動産価格は上述した通り需給バランスで価格が決まり、日本全体の不動産の需給バランスは景気によって決まります。景気が良ければ需要が増えるため価格は上昇。一方、景気が悪ければ需要が落ち込むため価格は下がります。このように、日経平均株価も不動産価格も景気と連動するため、この2つの指標も概ね連動するというわけです。
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最適の不動産売却時期・購入時期は不動産価格:まとめ
この記事では以下の内容を紹介しました。
このように、不動産価格の動きは、周辺の需給環境・築年数の節目・日本全体の経済情勢によって変化します。もちろん、そのほかにも色々な要素があるものの、この3点から受ける影響は無視できません。適切な不動産の売買時期を見極めるには、この3点を意識しておきましょう。とくに周辺の需給環境から受ける影響は大きいため、不動産会社にヒアリングしておくことをおすすめします。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧
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