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実際の売却事例を不動産会社の視点で解説します。今回は世田谷区の1LDKマンションを売却されたAさんご夫婦の事例です。なお、プライバシーにかかわる情報は伏せておりますのでご了承ください。
3年前に1LDKマンションを購入したBさんの事例
結婚が決まった!引っ越したいけど二重ローンは避けたい…
独身時代に1LDKのマンションお購入していたBさん。奥様との話合いの結果、結婚を機にマンションから一戸建への買い替えをすることになりました。
Bさんは住宅ローンを利用していたこともあり、マンション売却と新居引渡しのタイミングがずれてしまうと、ローンの支払いが2重になってしまうという状況です。
『マンション売却と新居購入のタイミングを可能な限り合わせたい』
これがBさんの希望条件です。
売却活動開始後3ヶ月で売買契約が成立、契約2か月後に物件の引渡しが完了しました。
売却したマンションの引渡しと新居の引渡しを同日に行うことが出来、最良の買い替えを実現することが出来ました。
売却したいマンションプロフィール
- 住 所:東京都世田谷区
- 駅距離:最寄り駅徒歩7分
- 築年数:築後3年
- 間取り:50㎡台/1LDK
新宿までのアクセスが良く、築浅物件ということで諸条件は悪くありません。
新築物件と比較した場合であっても、セキュリティー・デザイン性など大きく見劣りしません。
丁寧に使用していたということもあり、水回り設備のコンディションも大変良好で、とても好印象な物件でした。
マンション売却の懸念点
好印象とは言え、物件に全く問題が無かったわけではありません。
以下3点が今回のマンション売却において懸念点となった項目です。
- 住宅ローンを完済できる金額で売却することが出来るのか
- どのタイミングで売却活動を開始すれば良いか(新居を決めてからがいいのか等)
- 売却諸経費も含めどのような資金計画を立てれば良いのか
問題点1-住宅ローンを完済出来る物件価格で売却できるの
物件プロフィールを見る限り、売却活動に大きな心配をする必要性が無いようにも思えます。
しかし、売却対象マンションは地下1階部分(地下2階建地上3階建)だったため、日当たりが悪かったのです。
日当たりは売却活動(物件価格や販売期間)に大きな影響を与える個別要件なので、大きな懸念事項となりました。
Bさんは新居の購入もあるので、住宅ローンの返済に自己資金を充当することは出来ません。
2千万円台後半の住宅ローン残高があったので、どんな理由があっても必ず住宅ローン残高以上の金額で売却しなければいけないという状況でした。
問題点2-どのタイミングで売却活動を開始するのか
Bさんは一戸建ての引渡しを受けるまでは、所有マンションに居住する予定です。余分な出費を削るためにも、『仮住まいをする』という選択肢はありませんでした。
当然、新居を探さなくては住む家がなくなってしまうので、売却活動を早く始め過ぎては不都合が生じてしまいます。
逆に、売却活動を遅く始めてしまっては売却活動に十分な時間を割くことが出来なくなってしまうので、こちらも不都合が生じます。
完成済みの一戸建、建築途中の一戸建、中古一戸建、土地から建築するなど、一戸建と言っても各物件によって引渡し時期は大きく異なるので、Bさんは新居探しと並行してマンション売却を行うタイミングを計らなくてはいけません。
問題点3-売却諸経費を含めてどのように資金計画を立てれば良いのか
住み替えの場合は、マンション売却と新居購入の諸経費が必要となるため、事前に綿密な資金計画を立てなければいけません。
購入時に必要となる手付金、売却時・購入時に必要となる諸経費、住宅ローンの完済資金、新居の購入価格、引っ越し費用など、事前に可能な限り正確に把握しておかなければいけません。
準備可能な自己資金が不足していては住み替えを行うことは不可能なので、マンション売却をする意味がなくなってしまいます。
売却予定マンションの査定価格・当初販売価格
- 査 定 価 格 :2千万円台後半
- 当初販売価格:3千万円台前半
同マンション内・近隣マンションの成約情報、近隣の賃料相場などを参考に物件査定を行いました。
地下階というデメリットはありましたが開口部が広く明るい印象の室内だったため、地下階というマイナス要素を物件価格に反映させずに査定価格を提案しました。
また、住宅ローンの残債金額は査定価格よりも低かったため、万が一の事態にも対応することが出来る査定価格です。
マンション売却のプランは?
Bさんの希望は『マンション売却と新居購入のタイミングを可能な限り合わせたい』です。これを前提に住み替えスケジュールを組み立てていきました。
Bさんは、潤沢な自己資金は持ち合わせていませんでしたが、十分な年収があったため新居の購入を先行してマンション売却を行うことを提案しました。
①どのタイミングで売却活動を開始するか
どんな新居を購入するかもおおよそ決まってくる
新築一戸建、中古一戸建、土地から建築する場合、同じ物件価格であっても、準備しなければならない自己資金金額、引渡しのタイミングが異なります。
完成済みの建売住宅では、引渡しのタイミングが売買契約締結後2カ月前後となってしまうため、売却活動に十分な時間を費やすことが出来ません。そこで、今回は土地から一戸建を建築することにしました。
土地からであれば、新居の引渡しまで約6カ月~7カ月の期間を設けることが出来るので、十分な売却活動期間を設けることが出来ます。
売買契約締結のタイミングに合わせ売却活動を開始、おおよその建物完成時期を把握することも出来るので、『引渡しのタイミング』も合わせやすくなります。
②資金計画
新居購入で大切なことは予算決めです。新居もローンを利用して購入するので、『毎月々の支払金額』や『既存の住宅ローン』、『準備可能な自己資金』などを考慮した上で予算を決めていく必要があります。
付け加え、潤沢な手元資金がないケースでは、『どのタイミングでいくら必要になるのか』
これを正確に把握しておかなければいけません。
- 購入物件契約時:『手付金』、『仲介手数料の半金』
- 建築請負契約時:『手付金』
- 土地引渡し時 :『登記費用などの購入諸経費(仲介手数料の残金含む)』
- 着工時 :『中間金』
- マンション売買契約時:『仲介手数料の半金』 ※購入者より手付金を預かることが出来ます。
- 新居マンション引渡し時 :『仲介手数料の残金』
- 余剰資金 :引渡しのタイミングがずれた時を想定して、ローン支払い金額の3ヶ月分を確保しておきます。
『年収』、『自己資金』、『既存の住宅ローン』、この3つを考慮して資金計画を立てていきました。
③住宅ローンを完済出来る金額で売却することが出来るのか
提案した査定価格は、近隣相場、賃料相場からみても決して高くはありません。地下1階という懸念点はありますが、室内は明るい印象で地下階特有の湿気っぽさを感じることもありません。
イメージと実際の室内に大きなギャップがあったので、オープンルーム(特定の日に解放し、一般客に自由に見てもらうこと)を開催して売却活動を行うことを提案しました。
マンション売却成功の近道は、物件の良さを最大限に理解してもらうことです。室内をじっくりと確認することが出来るオープンルームは、今回のケースでは最善の売却方法と判断しました。
Bさんはご実家が都内ということもあり、オープンルーム前後は実家に泊ればいいので余分な経費が発生することもありません。
実際のマンション売却結果
先述しましたが、査定価格は『2千万円台後半』でした。
オープンルームにて売却活動を行った結果、価格交渉をされることなく3千万円台前半で成約することが出来ました。
マンション売却成功のカギは、オープンルームを開催したことです。写真や言葉だけでは物件の特徴を全て理解してもらうことは出来ません。
状況に合わせ最善の売却方法を検討すること、これがマンション売却成功への近道と言えるでしょう。