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マンションを売る前にリフォームをすべきなのか?するのならばどのようにリフォームするべきか?こんな悩みを持つ人に向けて、現役の不動産鑑定士がマンション売却前のリフォームについて解説します。
マンション売却は見た目が重要
日本の住宅は新築神話が根強い
商品は見た目が大切です。中身が似たような商品でもパッケージがおしゃれなほうが良く売れます。これはマンションを売る場合においても同様です。同じ立地、同じ広さのマンションでも、やはり見た目が良い物件が売却もしやすくなります。
中古マンションの購入を検討している人にとって、マンションの購入は一生で一番大きな買い物かもしれません。見る眼が厳しくなってしまうのは当たり前。
中古マンションを売却したい人は、なるべく綺麗な形で物件を紹介しなくては売れにくいのです。そのためにはリフォーム……なのですが、これから売却するものにお金はなるべくかけたくはありませんよね。だから、この記事ではなるべく費用対効果の高いマンションのリフォームについてご紹介します。
マンション売却する時のリフォーム:7つのコツ
マンション売却のためのリフォーム①:「高く売るための投資」とは考えないこと
マンションの売却時のリフォームで、一番知っておくべき事実は、リフォーム費用がそのまま売却価格に転嫁……つまり、上乗せできないことです。たとえば、相場が1,500万円の中古マンションがあったとします。それを500万円かけてリフォームを行った場合、2,000万円の高値で販売して売れるかというと、残念ながら売れません。
マンションを購入する人にとって、そのリフォームされたマンションが2,000万円の価値があるかどうかは別の話だからです。つまり、下手にリフォームをすると損をしてしまう可能性が高くなります。
マンション売却のためのリフォーム②:コストはかけない
マンション売却を目的にリフォームを行う際は「マンション価格+リフォーム費用=売却価格」の関係にならないことを十分に認識しなければなりません。
リフォームに投じたコストが回収できる可能性は低いです。これからマンションを売却するのにリフォーム費用は回収できない……そう考えると、リフォームはできるだけコストをかけずに、効果的なものを選んで行う必要があります。コスト重視で考えれば自分でできる壁紙交換などです。
マンション売却のためのリフォーム③:全ては査定額を見てから
マンションの売却は査定から入るのが一般的です。お金をかけてまでリフォームするかどうかは査定額を見てから決めてはいかがでしょうか?査定は無料でできます。物件の値段を大きく左右する条件は中の状態よりもエリアやマンションのスペックです。
査定は、複数の不動産会社に査定してもらえる一括査定サイトを使うのが便利でしょう。おすすめの不動産一括査定サイトは2つあります。1つめはすまいValueです。大手不動産6社からの査定を一括で申し込めます。もちろん査定は無料です。
続いては、LIFULL HOME’Sが運営しているHOME’Sです。こちらは約2,800社の不動産会社が登録しておりどんな会社なのか説明も具体的です。
マンション売却のためのリフォーム④:自分でリフォームしたい買主が多い
中古マンションを安く購入して、自分好みのリフォームやリノベーションをしたい……そんな人達が増えているようです。「マンション自体は安く購入したい。その後に自分で行うリフォームにお金をかけたい」と思っている買主は、リフォームされたマンションをわざわざ高い価格で購入しようとは思わないでしょう。
だから、最近ではリノベーションプラン提案付きの売却サービスもあります。たとえば、パナソニックのリアリエ。このサービスは東名阪エリアの物件に限定されますが、リノベーションプラン提案付きの売却サービスで、リノベーション代は買主負担です。
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マンション売却のためのリフォーム⑤:賃貸マンションがヒントになる
リフォームをしても、リフォーム代金がそのまま売却金額に上乗せすることはありません。しかし、何もリフォームをしないのもまた問題。買主の印象点が低くなり、売却しにくくなってしまうからです。そのため、最低限のリフォームは行う必要があります。
では、最低限のリフォームとはどのようなものでしょうか?最低限のリフォームへのヒントは賃貸マンションにあります。賃貸マンションは入居者が退去するたびに、建物のオーナーが簡単なリフォームを行っています。リフォームの内容はマンションの築年数や入居者の使用状況によって異なりますが、基本的には内覧時に次の入居者へ印象を良くするための修繕です。
賃貸マンションのリフォームとは
賃貸マンションで良く行われるリフォームは以下の3つです。
- クリーニング
- 畳の貼替
- 壁クロスの貼替
築15年以上のマンションであれば、最低でもこの3つはやっておきたいところです。クロスは貼替る面積に余寄りますが、「クリーニング」「畳の貼替」「壁クロスの貼替」を合わせてマンション1室で50~60万円程度でしょう。ちなみに、賃貸マンションでは賃貸者が変わるたびにクロスの貼替えをするわけではありません。
また、畳の部屋がないワンルームマンションなどでは、クリーニングのみです。クリーニングだけなら、業者にお願いしても6~8万円程度。売却予定のマンションの使用状態が良ければクリーニングのみという選択肢もあります。
賃貸仕様のリフォームと不動産会社が行っているリノベーションマンションは全く別物です。リノベーションは500万円から1000万円程度かけて部屋をスケルトンにして行います。つまりすべてが新品になります。一方賃貸のリフォームは上辺を整える事を目的に行います。上辺を整えると住宅購入希望者の内覧時、最初にお部屋に入ったときに印象が良くなり売却に近づきます。この手法が効果的なのは築年数が25年~10年程度の物件です。それより古い物件は上辺を整えても水回りの設備の古さや建具等の細かい部分などの経年劣化からアンバランスになり逆に価値を落としてしまいます。
よって築年数が25年を超えていたらフルリフォームが良い選択になります。しかしながらフルリフォームを個人で行うと不動産会社が500万円で行うリフォームが700万円位になります。そしてリフォームの責任も売主として負わなければならないので、不動産業者にリフォームせずに買取を行ってもらう選択肢が生まれてきます。
マンション売却のためのリフォーム⑥:効果的なワンポイントリフォームは費用対効果が高い
効果的なリフォームの1つに、温水洗浄便座を交換する手もあります。マンションの案内時に、「トイレは新品ですよ」と説明できると、買主は安心しますし、物件の印象も上がるでしょう。
中古マンションの購入者の多くは、マンション購入後に温水洗浄便座を交換したいと思っています。その費用が浮いたと思えると、物件への購入意欲も増すというもの。温水洗浄便座の交換にかかる金額は5万円程度なので、費用対効果は高いです。
個別にやるべきところを判断
基本的なリフォームは以上となりますが、さらにリフォームを行う場合は、物件ごとの判断を要します。たとえば……
- 給湯器が壊れている
- 壁に穴が開いている
- カビが広がっている
これらの部分に致命的な箇所があれば補修すべきです。また、キッチンの蛇口がお湯と水を別々にひねるタイプのツーハンドル水詮で、それが古臭い印象を与える場合は、ステンレス製のシングルレバー混合水詮に変えるのも良いでしょう。
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マンション売却のためのリフォーム⑦:やり過ぎは禁物
しかし、やはりマンション売却前にリフォームをやり過ぎるのは禁物。リフォームのやり方によっては、購入予定者に「好みではない」とされてしまうこともあるからです。たとえば、クロスの貼替でも賃貸マンションのようにアクセントクロスを貼ってしまうと、買主をがっかりさせてしまうケースもあります。
たしかに、賃貸マンションの場合は、空室対策の差別化としてアクセントクロスは有効です。しかし、エッジが効き過ぎたリフォームをしてしまうと逆効果になることも少なくありません。
古いマンション売却のコツ
マンション売却のためのリフォームはコストをおさえて
以上、マンション売却時の効果的なリフォームについて以下の内容を説明しました。
最大のポイントは、リフォーム費用を売値に転嫁できないため、コストをかけ過ぎないことです。リフォームにかけた費用を回収するのは簡単ではありません。購入のハードルとなる不具合があればリフォームで治しておく程度の感覚です。また、お部屋がかなり傷んでいて見た目をよくするのにコストがかかる場合は、不動産買取業者に売り主責任免責で買取してもらうのも手です。本格的なリフォームは買主にお任せするくらいの発想がちょうど良いでしょう。買取を希望するのなら、買取専門のサービス買取博士がおすすめです。
軽微なリフォームで住宅の価値が取り戻せる状態であれば本記事の賃貸仕様のリフォームで見た目を整える戦略は良いと思います。築年数が25年以上で上辺だけではなかなか修正できない経年劣化した物件は買取がおすすめといえます。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧