住み替え支援機構とは、その評判と活用方法

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目次

この記事は、住み替え支援機構の評判と活用方法についてまとめた記事です。住み替え支援機構のマイホーム借上げ制度は使いにくさもあり、認知度が低いです。どのような制度であるか、その実態に迫ります。

住み替え支援機構とは

マンション 女性

住み替え支援機構とは何をするところなのか

 

住み替え支援機構

住み替え支援機構の正式名称は「一般社団法人移住・住みかえ支援機構」と言います。2006年4月18日に設立されました。住み替え支援機構では50歳以上のシニアを対象にマイホームを借上げ、賃貸住宅として転貸する「マイホーム借上げ制度」を実施しています。

大きな特徴は、制度に申し込みをしてから1人目の入居者が決定すると、空室が発生しても賃料保証があることです。賃料保証の目安としては査定賃料下限の85%。終身にわたって借上げるので、安定した賃料収入が見込めます。

住み替え支援機構の活用方法とは

住宅

マイホーム借上げ制度の目的

この制度の目的は、50歳以上の世帯で住宅が不要になった人から住宅を借り上げ、若い世帯に転貸して、既存の住宅ストックを効率的に循環させるところにあります。せっかくの住宅という社会的資産を無駄にスクラップアンドビルドすることなく、うまく生かすことで循環型社会に適応させていく制度です。

低い認知度

しかし、この住み替え支援機構が行っているマイホーム借上げ制度を、ご存じない方も多い。それが現状です。住み替え支援機構自体は2006年の設立ですから、それなりに長く行わている制度。それなのに認知度が低いのは、制度設計上の問題点があり、使いにくい制度だからです。

住み替え支援機構のマイホーム借上げ制度:3つの基本情報

マンション物件の内覧・内見

住み替え支援機構のマイホーム借上げ制度①:対象年齢

住み替え支援機構が行っているマイホーム借上げ制度の仕組みを解説しましょう。まず、1つ目の特徴は、対象者が50歳以上に限定されているという点です。この年齢制限がかなりハードルが上げているように思われます。広い住宅が不要になった50歳以上の方が、新たに家賃を払ってまで狭い家に住み替えるかどうかは疑問です。住宅ローンの返済が間近であれば、そのまま住むでしょうし、狭い家に引っ越してしまえば、子供や孫が帰って来にくくもなります。

この年齢制限については、住み替え支援機構も問題視しているようです。新築住宅時に住み替え支援機構が認めた耐久・耐震性基準を満たし、長期にわたるメンテナンス体制を備えた新築住宅であれば「かせるストック(正式名称:移住・住みかえ支援適合住宅)」として認定されます。新築時に「かせるストック」に認定されれば、50歳を待たずにマイホーム借上げ制度を適用できますしかし、マイホーム借上げ制度の認知度が低い上に、新築時点から貸すことを前提として長期のメンテナンス体制を備える人は少ないでしょう。

住み替え支援機構のマイホーム借上げ制度②:建物の要件

マンション

2つ目の特徴は、住み替え支援機構が指定する業者の建物診断を制度利用者(オーナー)の負担で受ける必要がありますここで所有者に費用が発生するのが、利用者を限定させている原因かもしれません。また1981年6月の新耐震基準以前に建築確認が申請された住宅については、原則として耐震診断を受ける必要があります。さらに、耐震改修の必要性が生じた場合、補強・改修工事を行う必要も。

50歳以上の人たちが所有している住宅は、1981年6月以前に建てられた住宅の可能性も高く、耐震改修の必要性が高ければ、余計なコストもかかるため、マイホーム借上げ制度が適用しにくくなりますまた、耐震性の他に建物が法令などに違反している場合は貸し出せないことも。個人の住宅の場合、新築で検査済証を取得した後に、ちょっとした違法改修をしてしまうことは珍しくありません。

たとえば、ルーフバルコニーに新たに温室を作ってしまい、容積率がオーバーしていたなどの事例です。このような場合は、法令違反部分を改修する必要があり、新たな費用が発生してしまいます。

住み替え支援機構のマイホーム借上げ制度③:定期借家契約

賃貸

3つ目の特徴は、賃貸借契約が3年間の定期借家契約となっていることです。定期借家契約とは、更新の概念が無い契約形態で、3年間の契約期間が終了した時点で確定的に契約が終了し、入居者は建物を明け渡す必要があります。

そのため、入居者の立場は不安定。ほとんどの賃貸住宅の契約形態は更新ができる普通借家契約ですので、定期借家契約の物件は相当見劣りのする物件となってしまいます。だからか、一般的に定期借家契約の物件は、相当賃料を下げないと入居者が決まりません。

相場の半値くらいの定期借家物件もあります。 ワンルームマンションであれば、一人暮らしの方が「相場より安いし定期借款でもいい」と借りる場合もありますが、ご家族がいると手軽に引越しもできないでしょう。住み替え支援機構の物件はそこまで安いわけでもないので、正直、独身者にも人気がありません。そのため、最初の賃貸借契約が中々決まらず、賃料保証の開始も遅いというのが実態です。

あまり活用されていない住み替え支援機構

住み替え支援機構のホームページを見ると、賃貸募集中の物件が東京ですら10件未満です。評判が良いか悪いかと言われれば、この物件数から察しても、あまり良いとは言えないでしょう。

住み替え支援機構の活用方法としては、一般的には中々借り手がつかない立地の悪い物件を、安くても良いから賃料保証付きで運用したいという方には向いているかもしれません。このような方は、住み替え支援機構のホームページを見てみましょう。

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住み替え支援機構:まとめ

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この記事では以下の内容を紹介しました。

シニア世代の住み替えニーズは高いものの、住み替え支援機構が今すぐに活用できるかというと難しいサービスかもしれません。

監修者から

私もこの制度を利用したことも相談を受けたこともありません。ライターさんが述べた通り利用しずらい点の改善を急いで欲しいです。当社でこの機構の加盟店申請をしようと考えても、JTI所定の財務基準を満たすことや住生活プランナーの資格がいることなど、業者の加盟へのハードルもあります。この制度を進める業者への訴求も容易ではないようです。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧

 

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