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「これからマンションを購入したいけど価格はどうなるだろう」「マンションの売り時っていつだろう」そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。マンションの売却や購入を検討されている方にとって中古マンションの価格が今後どうなるのかは気になるものです。
2020年から新型コロナウイルスの影響もありましたが、中古マンションの価格に影響がでているのでしょうか。この記事では、マンション価格推移に基づいて今後の中古マンションの価格推移の動向などを具体的な出来事を踏まえて解説します。この記事を参考に、マンション市場の動向の予測を立て、売買タイミングの見極めの参考にしてみてください。
近年の中古マンション価格の動き
今後のマンション価格の予測を立てるためにも、近年の中古マンション価格の動きを抑えておくことが大事です。公益財団法人東日本不動産流通機構によると、首都圏における中古マンション成約件数は35,825件で2年ぶりに前年よりも減少しています。
ただし、成約物件価格は3,599万円と8年連続で上昇しているのです。中古マンションは、価格が上昇傾向にあるといえるでしょう。
公益財団法人東日本不動産流通機構:首都圏不動産流通市場の動向(2020年)より作成
都心では新築マンションより中古マンションの方が多く取引される動きも
マンションの需要が高い都心部では、マンション価格は上昇傾向にあります。マンション市場は2008年のリーマンショック時に一度大きく落ち込んだものの、緩やかに回復し、現在その価格は上昇しているのです。マンション価格は上がる一方、供給件数が減少傾向にあります。
中古マンションの価格は新築マンションの価格の動きに一致する傾向があるものです。マンション需要の増加や物件の供給量が減少し価格が上昇することで、新築マンションの価格が上昇します。新築価格が上昇すると、新築を検討している人も中古マンションを検討するようになり、その結果中古マンションの価格も上昇しているといえるでしょう。
さらに、新築マンションの価格が高騰しているため、都心では新築マンションよりに中古マンションが多く取引される動きもあります。
公益財団法人東日本不動産流通機構:首都圏マンション市場動向より作成
コロナ禍においても大きな下落は見られない
それまで上昇傾向にあったマンション価格は、今後も上昇を続けると予測されていました。しかし、2020年新型コロナウイルスの影響をうけ、一時価格の減少がみられたのです。緊急事態宣言の発令など、マンション需要にも大きな影響を及ぼし価格が下降しています。しかし、2020年5月ごろから価格が回復しその後も上昇傾向となっていることから、価格の減少は限定的であるといえるでしょう。
新型コロナウイルスでは、リモートワークの導入など自宅で過ごす時間が増え、「住まい」に対する考えが見直されました。新しい生活様式に対応し、よりよい住まい環境を求めマンション購入する人も増加傾向にあります。そのような背景により、経済を揺るがす新型コロナウイルスでも、マンションの価格は予想よりも大きな影響を受けなかったといえるでしょう。
ただし、今後その影響が出ないとは言い切れません。今後の新型コロナウイルスの感染状況によって、経済に大きな影響が出るとマンション価格にも、その影響は波及する可能性は大いにあるでしょう。
公益財団法人東日本不動産流通機構:2020(令和2)年12月度月例速報より作成
中古マンション価格推移:今後の予測
新型コロナウイルスの影響による大幅な価格減少はありませんでしたが、今後その影響は不透明でもあります。ワクチンの接種がスタートしたものの、感染の収束はいまだ見通しが立たない状況といえます。経済活動の自粛のよる金融市場への影響が、不動産市場の縮小につながる恐れもあるのです。新型コロナウイルスの影響が、中古マンションの価格に今後どのような影響を及ぼすのかは、予測できないといえるでしょう。
そのため、今後マンションの売買を検討されている方はマンション価格の変動に注目する必要があります。今後、マンション価格に影響を与える要因として次のようなことがあります。それらの要因を踏まえその動向や価格の推移に注目するとよいでしょう。
- リモートワーク需要で地方の物件に注目
- コロナ禍収束後の動きは不明瞭
- その他中古マンション価格に影響がありそうな出来事
リモートワーク需要で地方の物件に注目
新型コロナウイルスの影響により働き方が見直され、職場に縛られない働き方をする人も増えている傾向にあるのです。そのため、仕事のために都心部に住む必要がなくなり、郊外や地方へ生活拠点を移す傾向があります。「リモートワーク用のスペースが欲しい」や「子供と過ごしながら仕事をしたい」など、新たな生活様式に対応した住宅への需要が生まれています。
その結果、間取りの見直しやバルコニーなどくつろいで過ごせるスペース・庭のある広い敷地を安く購入できる郊外や地方の物件の人気が高まっている傾向があります。それまでは、仕事のために都心の駅近の物件であることが、価格を大きく左右するポイントでもありました。
しかし、今後さらにリモートワークが定着すると、自然の豊かな場所や広い土地など過ごしやすい物件がより注目されていくといえるでしょう。価格の動きを予想するためには、そのような時代の流れをつかむ必要もあるのです。
コロナ禍収束後の動きは不明瞭
リモートワークの導入から新たな物件の需要が高まる傾向があるとはいえ、リモートワークがどこまで普及するのかは未定です。また、新型コロナウイルスがいつ収束するのか、収束した後の経済活動がどれほど回復するのかは不明瞭な部分が多くあります。
今後の不動産市場やマンション価格の動きも予想とは大きく異なる可能性も高いといえるでしょう。今後の新型コロナウイルスや経済活動・不動産市場などの動きに注目しておく必要があります。
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その他中古マンション価格に影響がありそうな出来事
新型コロナウイルス以外に、今後中古マンション価格に影響を及ぼす要因には次のようなものがあります。
- 2022年生産緑地問題(価格の下落)
- 2025年大阪万博(上昇)
- 2027年リニア(価格の上昇)
①:2022年生産緑地問題(下落)
生産緑地とは、国や自治体が指定した都心部の農地のことをいいます。1992年に市街化区域にある農地は、宅地化農地と生産緑地に分けられました。生産緑地は農業を営む義務があり売却できない代わりに、固定資産税が安くなり相続税も猶予されるというメリットがあるのです。
しかし、その期限が30年間と定められています。三大都市圏にある生産緑地1.2万クタールのうち約80%が2022年に期限を迎えるとされているのです。農業人口の高齢化が進み後継ぎもいない場合は、納税の優遇措置のない生産緑地が一斉に売却される恐れがあります。
広大な土地が一斉に売りに出されると、その土地が大型マンション用地となりマンションの供給過多となることも予想されます。その場合、都市部のマンション価格が減少する可能性も高いといえるでしょう。
②:2025年大阪万博(上昇)
1970年以来55年ぶりに大阪で開催される大阪万博。大阪万博に伴い、数々のプロジェクトも進行しており、経済効果は4.1兆円にものぼるといわれています。その影響は不動産市場にも及ぶものといえるでしょう。
今後、大阪を中心に関西エリアの不動産価格は上昇すると予想されます。とくに、関西エリアの鉄道沿線や新駅の予定地域は価格が上昇する可能性が高いのです。大阪万博に向けての不動産市場の動向にも注目しておくとよいでしょう。
③:2027年リニア(上昇)
2027年にリニア中央新幹線が開通予定であり、これにより名古屋・品川間の所要時間が約40分短縮される見通しです。料金について正式発表はありませんが、JR東海によると新幹線料金の+700円で採算が取れると示されています。
そのため、現在の新幹線料金よりも大幅な値上げはされないのではと予想されているのです。料金が大幅に変わらずに、移動時間が半分以下になることで、人の流れが大きく変わる可能性があるでしょう。リニア新幹線が開通すると、名古屋から東京へ出勤するということが普通になる可能性も高くなります。
その場合、不動産価格が東京に比べ安い傾向のある名古屋の不動産の需要が高まるといえるのです。ただし、現在開通工事の進捗が滞っており2027年の開通は難しい状況ともいえるので、今後の進行状況に注目するとよいでしょう。
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中古マンション:現在は買い時?売り時?
比較的安定している中古マンション価格ですが、今後の先行きは不透明なものです。現在は、新型コロナウイルスによる影響を不安視している方も多いでしょうが、先述の通り不動産市場での影響は限定的とも予想されています。
しかし、新型コロナウイルスの今後の見通しが不明瞭であり、長引くことで価格は下がっていく可能性は高いといえるでしょう。先行きが不透明であるため、状況によっては価格が大きく下がってしまう可能性があります。住み替えを検討するのであれば、早めに動くとよいでしょう。
中古マンション価格推移:まとめ
この記事では以下の内容を紹介しました。
中古マンション価格の今後についてお伝えしました。新型コロナウイルスの影響が心配な中古マンション価格ですが、その影響は限定的といえるものです。
しかし、今後どれだけの影響が出るのかは見通しが立たず、価格も大きく下がってしまう可能性も高いものです。ほかにも、今後価格に影響を与える出来事も発生するため、価格の動きに注目しておく必要があるでしょう。この記事を参考に、中古マンション価格に影響が出る出来事を理解し、価格推移を敏感に感じて上手に住替えられるようにするとよいでしょう。
監修者:鈴木 良紀
経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧