不動産の取引をする際に必要になるのが税金についての知識です。税金の知識は、その時になって初めてその必要性に気づく方も多いでしょう。また必要だと感じていてもどのように調べていいかわからない方も多いかと思います。そこで税金のことを知りたいけどどうやって調べればよいか分からない方向けに、不動産の売却時に必要な税金に絞って解説しています。

不動産売却時に知っておきたい税金について

不動産を売却するときに知っておいた方が良い知識を解説

  • 「不動産を売却しようと不動産会社に相談した際に、税金の話が出てよく分からなかった」
  • 「改めて税金について知っておかなければならないと実感した」

など、税金について興味を持ち始めた方向けに、ファイナンシャルプランナーである私がわかりやすく解説していきます。できれば不動産売却時ではなく、早めに知識として知っておいてほしい内容で、知識があれば税制を利用した賢い不動産取引が可能です。

不動産売却ではどのような時に課税対象になるの?

不動産売却で利益が出たときの所得

不動産を売却し、一定の利益が出ると課税対象となります。所得は給与所得、利子所得など10種類に分けられ、種類によって計算方法は異なりますが、不動産投資の売却による利益は譲渡所得に該当します。

ただ、利益全額に対して課税されるわけではなく、諸費用や特例による控除などを差し引いても利益が残る場合に課税されます。また給与所得や事業所得とは合算せず、単独で計算する分離課税となります。

譲渡所得

  • 譲渡所得 = 譲渡価格 -(取得費+売却費用)
  • 課税譲渡所得 = 譲渡所得 - 特別控除
  • 課税譲渡所得 ×(税率)= 税金の金額

譲渡所得の計算で重要な所有期間の考え方

売れる時期に売却活動

譲渡所得では不動産の所有期間によって税率が異なるので、所有期間が重要になります。

  • 不動産の所有期間
    • 5年超なら長期譲渡所得
    • 5年以下なら短期譲渡所得

長期譲渡所得の税率が20.315%であるに対して、短期譲渡所得の税率はおよそ2倍の39.63%となります。さて、この所有期間ですが、取得年月日から譲渡した年の1月1日までの期間で考えますので注意が必要です。

譲渡所得の所有期間の考え方

不動産の所有期間

この場合、2022年7月1日で実質5年超の所有期間ですが、譲渡所得の所有期間の売却日は、2022年1月1日となり、所有期間は5年以下となります。長期譲渡所得にするためには、2023年1月1日以降に売却しなければなりません。

取得費や売却費用に含まれるもの

譲渡所得から控除できる取得費や売却費用にはどのようなものが含まれるか、具体的に確認しておきます。

まず取得費には以下が含まれます

  • 売却した不動産の購入代金や建築費用
  • 購入時の手数料
  • 設備費や改良費

これらの合計額から減価償却費相当額を引いた額が取得費となるのが一般的です。

また譲渡費用は、不動産を売るためにかかった費用が該当します。具体的には、以下のような費用になります。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 立退料
  • 取り壊し費用や建物の損失額
  • 違約金や名義書換料など

※修繕費や固定資産税、維持管理費用などは該当しません。

所有期間に関係なく適用される3000万円特別控除

不動産のエスクロー

譲渡所得には様々な特例がありますが、長期譲渡所得でなければ適用されないものがあります。しかし、居住用不動産を売却したときは、長期譲渡所得、短期譲渡所得に関係なく3000万円特別控除を使うことができます。この特別を受けるための適用要件を確認しておきましょう。

3000万円特別控除の主な適用要件

  1. 居住している建物を譲渡した場合や建物と同時にその土地や借地権を譲渡した場合
    ※住んでいないときは、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡する場合
  2. 建物を取り壊している場合は、次の二つの要件を満たすこと
    1. 土地譲渡契約が、建物取り壊し日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されること。
    2. 建物を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その土地を貸し駐車場など他の用途に利用していないこと。
  3. 譲渡した年の前年又は前々年に3000万円特別控除、または居住用財産の買換えの特例、譲渡損失の損益通算や繰越控除の特例の適用を受けていないこと。
  4. 親子や夫婦などとの取り引きではないこと。

3000万円特別控除が使えるのは居住用不動産だけです。ただ、どのような状態を居住用と呼ぶのかなど、他の要件を含め、該当しそうな場合や他の特例につきましては税務署に問い合わせてください。

3000万円特別控除以外に知っておきたい特例

チェックリスト

3000万円特別控除について詳しく紹介しましたが、他にも特例があります。

マイホームで使える特例の一覧

【軽減税率の特例】

課税長期譲渡所得金額が6,000万円以下の部分は10%に、6,000万円超の部分が15%になります。長期譲渡所得は税率20.315%ですので、要件を満たせば、税負担を減らすことができます。

【買換え時の特例】

マイホームを買換え、譲渡損失が生じた場合、損益通算ができます(控除しきれなければ繰越控除が可能です)。譲渡所得は給与所得などと合わせることができませんが、この特例の要件を満たせば、他の所得から損失分を控除でき、控除しきれなければ譲渡年の翌年以後3年間控除することができます。

【住宅ローンがあるマイホームで譲渡損失が生じた場合の特例】

住宅ローンがあるマイホームを、住宅ローンの残高以下の価格で売却して損失を出した場合は、その他の所得と損益通算でき、控除しきれなければ譲渡年の翌年以後3年間控除することができます。

不動産売却で利用できる控除を調べよう

お得な特別控除を積極的に利用する

いかがだったでしょうか?

不動産を売却するときにどのような制度が使えるか、この判断基準の一つが、不動産が居住用か否かという点があります。居住用の不動産を売却する際には税負担が重くならないように控除を適用できることがあります。特例や控除が適用できるかどうか、不動産を売却する前にお近くの税務署に問い合わせてみましょう。

ファイナンシャルプランナー(CFP®)子育て世代を中心に、公務員や自営業者、上場企業の従業員の方々から関する相談を受けている独立系ファイナンシャルプランナー。FPや宅建の資格講師もしている。