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住宅を売却したときの税金の控除と特例

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住宅を売却したときの税金の控除と特例

目次

住宅を売却すると、多額の収入を得ることになります。土地や建物など不動産を売却した場合にはその利益に対して所得税や住民税がかかります。住宅はもちろん不動産ですが、住宅を売った場合にのみ適用される様々な税金の特例が用意されています。どういった特例があるか説明します。

住宅の譲渡による所得は担税力がない

住宅

住宅の売却代金は自由に処分できず、税金の特例がある

通常、住宅を売却すれば新たに住居となる場所を探す必要があります。新たに住宅を取得するとなれば、その売却代金はその資金に充当されます。また、ローンが残っている場合は売却代金をローンの返済に充てなければいけません。

このように、一般の人にとって住宅を売却して得た現金は自由に処分できない場合が多いです。住宅の売却による収入は、担税力、つまり税金を負担する能力を持っていません。そのため、住宅の売却については様々な税金を減額するための特例が用意されています。

住宅の売却に対する様々な税金の特例を解説

住宅

特例が適用される居住用財産とは

税法上、特例が適用される住宅は居住用財産という言葉で表現されます。長年、所有者本人が住んできた住宅はほぼ居住用財産になりますが、実際に住んでいない住宅は居住用財産にはなりません。この居住用財産は次の要件のどれかを満たせば該当します

  1. 現に自己の居住の用に供している家屋
  2. 現に居住している家屋とともに譲渡した土地等(借地権なども含む)
  3. 次の(1)から(3)の譲渡を、その家屋に住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までにした場合
    (1)災害等により滅失した居住用家屋の敷地であった土地等の譲渡
    (2)以前に、居住用として使用していた家屋の譲渡
    (3)(2)の家屋とともにするその敷地である土地等の譲渡

自己の居住の用に供しているとは、生活の拠点として利用している家屋のことを言い、単に住民票があるなどの場合は含まれません。

特例1 3,000万円の特別控除

住宅(以下、税法上の居住用財産のことを言います)を売却した場合、所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最大3,000万円の控除を受けることができます。「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と言われるものです。特例を受けるための要件は次の通りです。

  1. 居住用財産の売却であること
  2. 売却した年の前年及び前々年に、この特例や居住用財産の譲渡損失の損益通算の特例など、居住用財産の売却に関する税金の特例を受けていないこと
  3. 売却した家屋や敷地について、収容等の場合の特別控除やその他の特例の適用を受けていないこと
  4. 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

特例2 軽減税率の特例

女性 住宅

住宅を売却した場合、長期譲渡所得の税額を計算する上で通常よりも低い税率が適用されます。低い税率は先程説明した3,000万円の特別控除をした後の譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分について適用されます。6,000万円を越える部分の利益については通常の税率が適用されます。

  1. 長期譲渡所得の通常の税率と特例の軽減税率との比較
    ア.通常の税率……所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%
    イ.特例の軽減税率……所得税10%、復興特別所得税0.21%、住民税4%
  2. 特例の適用を受けるための要件
    ア.住宅を売却した年の1月1日において、家屋及び敷地の所有期間が10年を超えていること
    イ.売却した年の前年及び前々年にこの特例を受けていない事
    ウ.3,000万円の特別控除を除く、住宅売却に関する特例の適用を受けていない事
    エ.親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでない事

特例3 譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

男性

土地や建物を売却したことにより生じた損失については、通常は給与所得など他の所得と損益通算することはできません。しかし住宅の売却の場合、次の特例があります。

1.特例の概略

平成27年12月31日まで(延長される見込み)に住宅ローンの残っている住宅を、住宅ローン残高未満の価額で売却して損失が生じた場合、一定の要件を満たせば他の所得と損益通算することができます。また、他の所得から控除しきれなかった損失がある場合、その売却の年の翌年以後3年間、繰り越して他の所得から控除することができます。また、新たに購入した住宅ローン控除の制度との併用も可能です。

ただし、売却による損失の全額が対象となるわけではありません。売却の契約日の前日における住宅ローン残高から、その売却価額を差し引いた金額が控除の限度額となります。その他の要件としては次のようなものがあります。

  1. 売却した年の1月1日において、所有期間が5年を超える住宅で、かつ日本国内にあるものの譲渡であること
  2. 売却契約日の前日において、その住宅の取得のために借り入れた償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること

2.特例を受けることができない場合

  1. 繰越控除が出来ない場合
    合計所得金額が3,000万円を越える年については、その年のみ適用できません。
  2. 損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合
    ア.親子や夫婦など特別の関係のある者に対して譲渡した場合
    イ.マイホームを売却した年の前年及び前々年に、3,000万円の特別控除や軽減税率、買い替えや交換の特例などの特例の適用を受けている場合
    ウ.マイホームを売却した前年以前3年以内の年において、現在説明しているこの特例、及びマイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けている場合

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税務署

期限内に申告しないと特例の適用を受けることができない

住宅を売却した場合、様々な特例があり、税金の軽減措置が図られていることについて説明してきました。

今回説明した特例の他、買い替えた場合における特例もあります。これらの特例は、確定申告を申告期限内に行わないと適用を受けることができなくなってしまいます。また期限後に申告をすれば延滞税など、余計な負担も増えてきます。住宅を売却した場合、利益が出る場合はもちろん、損失が出る場合でも特例がある場合は必ず期限内申告をするよう心掛ける必要があります。申告に必要な書類等もたくさんありますので、余裕をもって手続きをしてください。

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