極力、税金を抑えたい!不動産売買の際の注意点

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大きな計算機を持つ女性

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不動産を売買するときに気になるものの1つが税金です。親から相続した家を売却するなどした際に得た収入にはどのくらいの税金がかかるのか、また確定申告は必要なのかといったことが気になる方は多いはず。この記事では、不動産売買をする上で知っておきたい税金と税金対策について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

不動産売却では所得税・住民税・復興特別所得税がかかる

住宅

土地や家、建物を売却して利益が出た際にかかる税金をまとめて譲渡所得税と呼びます。実際に「譲渡所得税」という名称の税金があるわけではなく、不動産を売却することで得た利益に対してかかる所得税と住民税、そして2037年までの期間限定で所得税に対してかかる復興特別所得税を合わせて譲渡所得税と呼びます。

不動産売却をして利益が上がれば、確定申告を行う必要があります。納付の際に所得税の確定申告を行えば、住民税については改めて手続きをする必要はありません。会社に勤めていて給与所得がある場合は、勤務先が給与から天引きして納付してくれます。フリーランスなどの自営業の場合でも、申告した年の5月以降に自治体から納付書が送られてくるでしょう。

ちなみに、納付書は一括払いのものと年4回の分割払いのものが同封されているので、どちらかを選んで支払うことになります。税金を抑えるためには、いかに所得税(復興特別所得税)と住民税がかからないようにするかがポイントとなります。

税金は利益に対してかけられる

まず不動産売却に関わる税金の基本ルールとしては、「税金は利益(=所得)に対してかけられる」ことを頭に入れておきましょう。逆に言えば不動産を売却しても購入時よりも安い金額で売却することになり、利益が出なければ「譲渡損失」といって所得税(復興特別所得税)と住民税はともにかかりません。

不動産売却に関する所得は分離課税といって、他の給与所得や事業所得とは切り離して考える必要があります。そのため、たとえ不動産売却に関しては利益が出ずに税金がかからなくても、給与所得や事業所得で利益があれば、当然そちらには税金がかかってしまうので注意してください。

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どうやって税金を抑えるか

女性

税金は所得に対してかけられます。所得とは得た金額そのもの(=収入)のことではなく、収入から経費や条件付きで適用される特別控除を差し引いたものです。不動産売却においての経費とは、土地や建物の購入費や売買の際に仲介業者に支払う費用などが該当します。

さまざまなものを差し引いて残る所得が少なければその分かけられる税金は少なくなります。とはいえ、経費を多く使って所得を下げてしまっては、支出を伴うため税金だけでなく結局手元に残るお金も少なくなってしまいます。なるべく税金がかからないようにしながら手元にもしっかりと利益を残す。そのためには、特別控除を活用することが重要です。

利用するべき特別控除

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特別控除は、そのまま所得から差し引くことができるので税金を抑えるためには特に重要なものとなります。それぞれの特別控除には、適用条件があるので確認していきましょう。各控除の名称は国税庁のホームページと同じものにしてあります。

1:居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

自分が住んでいるマイホーム、または以前に住んでいた家を売却する場合に適用される特別控除です。不動産売却における控除としては最も一般的なものだと言えます。所有期間に関係なく、所得から最高3,000万円まで差し引くことが可能です。つまり、不動産所得が3,000万円までならば、所得税(復興所得税)、住民税がかかりません

以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ることがこの特例の適用条件となっています。

2:マイホームを売った時の軽減税率の特例 

10年以上所有していたマイホームを売却した場合、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分は、通常よりも低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができます。これは1つ目の「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と併用が可能です。

10年以上の所有とは、被相続人(=親などの財産を残して亡くなった方のこと)の所有期間も加算されます。被相続人と同居していなかった場合は、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売ることが条件となっています。

3:被相続人の居住用財産(空き家)を売った時の特例

親から相続した空き家を売却した場合に、譲渡所得から3,000万円を控除することができます。これは「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」とは同時に適用はできません。しかし、「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」とは重複して適用できます。

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売却損を減らすための特例

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所得が赤字であれば税金は発生しません。不動産所得は分離課税ですので、他の給与所得や事業所得とは切り離して考えなければならないのですが、現在は損益通算といって不動産所得の赤字分を他の所得に充当して合計の所得と減らし、税金を抑える損益通算が条件つきで認められています。

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホーム(=旧居宅)を2021年12月31日までに売却し、新たな家を売却した年の前年の1月1日から翌年12月31日までに購入した場合に適用されます。

マイホーム(=旧居宅)を売却した際に譲渡損失があれば、損益通算ができます。1年で相殺できなかった場合は、繰越控除といって次の年にも相殺することが可能です。「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」では最長で3年間の繰り越しが可能。つまり、最初の年を含めれば4回の損益通算ができることになります。

この特例は、不動産所得が生まれた際に適用できる3,000万円の特別控除やマイホームを売ったときの軽減税率の特例を、不動産を売却した年の前年と前々年に利用していれば適用できないので注意してください。

まとめ:制度を知って税金を抑えよう

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この記事では以下の内容をお伝えしました。

さまざまな特別控除は、自動的に適用されるものではありません。必要な書類をもとに申告を行うことで初めて適用されるものです。つまり、制度を知らなければ税金を抑えることができません。しっかりと税制について知り、お得な不動産売却を行ってください。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧