相続した土地や建物を売却した場合にはどのような税金を払う必要があるのでしょうか。突然の相続に戸惑う人もいます。相続特有の特別控除や特例も用意されているのが相続税制の特徴です。事前にしっかり勉強しておき、いざという時にあせらないようにしましょう。

不動産売却したあとの税金について

使わない相続財産は売却も選択肢

親が住んでいた土地と建物を相続したのはよいけれど、使い道がない。こんなケースはよくあります。

自分はすでに自宅を購入しているし、兄弟も住む予定がない。賃貸に出すことも難しい。こうした場合には、思い切って売却することもひとつの方法です。

不動産は預金や現金と違って簡単に分割することができません。買い替えることも容易ではありません。固定資産税などの税金もかかり、維持管理費も相応の金額がかかります。

今の世の中、こうした住宅に買い手がつくだけでも恵まれたほうです。相続しても使い道のない、買い手もつかない物件は空き家問題の原因にもなっています。

ここでの説明は、相続後の不動産売却でかかる税金の解説と、税金の算定時の注意点、各種の特別控除などです。

不動産売却で支払う税金

相続した物件の利益は譲渡所得

中古マンションの購入で支払う税金

不動産売却で利益が出ると譲渡所得が発生し、この譲渡所得に対して税金がかかります。譲渡所得は所得税のひとつですが、給料にかけられる給与所得などとは合算できません。これを分離課税といいます。

譲渡所得の基本的な計算方法

譲渡所得の計算はいたってシンプルです。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除など

これが計算式になります。この式にあてはめて譲渡所得、つまり儲けが出た場合には税金がかかるという仕組みです。譲渡所得がマイナスになる場合には税金はかかりません。こうして考えると取得費と譲渡費用が重要であることが分かります。

取得費の注意点

相続の場合、土地や家屋を購入した訳ではないので取得費の評価はゼロではないか、とも考えられます。ただし税法上は、その相続財産を相続人である親が購入した時の価格です。いくらで購入したかは契約書、固定資産税の評価額等で確認しましょう。

どうしても確認できない場合は、譲渡価格の5%を概算取得費として計上することになります。譲渡価格の5%では、ほとんどが譲渡益になってしまいますので注意が必要です。

譲渡費用になるもの

登記費用や仲介手数料、印紙代などが該当します。仲介手数料などは物件価格の3%程度なので譲渡費用としては金額の大きなものです。印紙代のような小さな金額のものでも積み上げればある程度の金額になります。領収書をなくさないようにして譲渡費用に計上してしまいましょう。この他にも測量のための費用、土地の調査費用なども該当します。

保有期間で税率が変わる

中古マンションの不動産取得税

譲渡所得は保有期間によって税率が変わります。これは短期間で転売して利ザヤを稼ぐ「土地ころがし」行為を防止するためです。

その不動産を取得した日から売却した年の1月1日までが5年超であれば低い税率(所得税15%、住民税5%)、5年以下ならば高い税率(所得税30%、住民税9%)になります。

相続の場合は、その不動産を取得した日とは相続した人が取得した日ではなく、相続された人(親)が取得した日です。

特別控除とは

住宅を売却したときの税金

税額を減らす救いの手・特別控除

相続とは突然発生する場合もあります。人の生死は予測が難しいものですし、いくら終活をしていてもスムーズに行かない場合もあるものです。

特に突然の相続で相続税などの資金が急に用意できない場合も考えられます。財産を受け継ぐべき子世代の準備ができていない場合も多いのです。課税当局としても突然の相続で資金が十分でない人への配慮のためか、いくつかの特例の控除を認めています。相続の際に使える特別控除は以下のとおりです。

  • 3000万円の特別控除の特例
  • 10年超所有の場合の軽減税率の特例
  • 特定の居住用財産の買換え特例
  • マイホームの買換えの場合の譲渡損失の繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除

どの特別控除が使いやすいか

いくつもの特別控除がありますが、いずれかの特別控除を活用して譲渡所得を減少させることが現実的です。どの特別控除もいくつもの条件があるので自分がその条件に合致するかの確認が必要になります。ただし、これらの大部分は相続した人(子)が相続した家に居住していた場合の特別控除になります。

このなかで使いやすいのは、3000万円の特別控除の特例です。この特例は、本来は自分が住んでいる不動産を売却した場合に適用されるのですが、2019年末までは自分が現在住んでいない実家であっても適用ができます。この特例は他にも要件がありますので税務署や税理士に相談してみましょう。

相続後売却の注意点

注意点

子が居住していないと使えない特別控除も

先にあげた特別控除は、相続した人がその家に居住していないと適用されないものです。居住していなくても適用される特別控除として、空き家を相続した場合には、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例で3000万円を控除可能な場合があります。これは空き家対策の一環です。

払った相続税も取得費に加算できる

相続開始から3年10カ月以内に売ることなどが要件ですが、支払った相続税を取得費に加算できる特例があります。これが「取得費加算の特例」です。取得費が大きくなればなるほど、譲渡所得は小さくなるのです。

不動産の売買は売る方と買う方の思惑が絡み、査定から含めると早くても数か月、場合によっては1年以上かかることもあります。申告期限を過ぎてしまうと元も子もありません。もし取得費加算の特例を利用するとしたら、早めの売却をこころがけましょう。

相続専門の税理士にも相談しよう

不動産の相談、不動産業者

贈与税も含めた相続税は複雑な税法のひとつです。相続専門の税理士やコンサルタント会社も増えています。節税対策を考えればなるべく早い時期に相談したいところです。

こうした税理士に相談すれば、シミュレーションや遺産の活用方法、遺言の手続きまで幅広くアドバイスしてくれます。

複雑な税金を使いこなすには

自分の理解と専門家への相談が大事

相続にあたっては、相続税への理解が欠かせません。ネットの情報や書籍でできるだけ情報を集めるべきです。

一方で、相続の制度や税制は素人が簡単に使いこなせるほど簡単でもありません。不安のあるところ、専門的な箇所は税理士などの専門家の手を借りながら進んでいきましょう。

プロに依頼するとそれなりの報酬が発生するものの、手間やリスクを考えれば割安であることがほとんどです。自分の理解と専門家の助け。これをバランスよく使いこなし、相続を乗り切りましょう。

マンション売却を考えているものの、何から始めて良いのか分からない方へ
マンション売却の査定をする前に

マンションの売却は一生に一回あるかないかの事です。非常に大きな金額になりますので「なるべく高く早く売りたい」という方は多いと思います。

そのために一番大切な事は「査定」で売却を依頼する不動産会社を見極める事です。ここからはその査定をする前に必ず読んでおいて頂きたいマンション売却20ヶ条をお話します。

マンションを売却する前に必ず読みたい20ヶ条
習志野ジョン
宅地建物取引士、税理士の資格を保有。不動産取引、税務、金融等20年の実務経験があり、現在はライターとしても活動中。大手不動産会社に勤務し、不動産の仲介、建物管理、収益物件の購入等の業務にかかわった経験をもとに記事を執筆。