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住み替え時に家計が助かる5つの税金節約方法

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住み替え時に家計が助かる5つの税金節約方法

目次

さまざまな事情で今住んでいる家を売却し、新居を購入する住み替え。大きなお金が動くので税金がどのようにかかるのか心配な方も多いでしょう。この記事では、住み替え時にかかる税金や、税金を節約するために有効な特例について紹介しています。ぜひ住み替え時の参考にしてください。

売却して利益が出たときの税金:所得税と住民税

家

住み替えは今の自宅を売却し、新たに家を購入すること。税金は利益(所得)に対してかけられます。不動産を売却して得た利益に対して課せられるのは、所得税と住民税です。得た利益に対して法律で定められている税率をかけて税金を計算していくのですが、売却して得た収入がそのまま課税対象となるわけではありません。

不動産を売却するにあたっては、土地や建物の購入費や売買の際に仲介業者へ支払った費用などさまざまな経費がかかっています。それらを差し引いて残った利益(=所得)に対して税金がかけられるのです。極端な例で言えば不動産を売却して1億円を得たとしても、購入費用や経費で2億円かかっていて赤字となるならば、税金はかかりません。

ポイント

売却して得られた利益に対しては、条件つきで適用される「特別控除」というものがあります。所得からさらに特別控除を差し引いた金額が、実際に課税対象となる金額です。

住み替え時の税金の特例①:居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

マイホームなどの自分が住んでいる、または以前に住んでいた家を売却する場合に適用される特別控除です。所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで差し引くことができます。

つまり、譲渡所得が3,000万円以下になる場合は税金がかからないということです。自宅を売却して利益が出た際にとても重要な特例です。詳しくは国税庁のHPをご覧ください。

主な要件

  • 現在住んでいる住宅であること
  • 住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること
  • 他の特例を適用していないこと
監修者から

住宅ローン減税との併用が出来ないので、「買い替え」の場合はどちらが得か検討をしておく必要があります。

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住み替え時の税金の特例②:マイホームを売ったときの軽減税率

10年を超えて所有していたマイホームを売却した場合は、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分は通常よりも低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができます。10年を超えた所有であれば長期譲渡所得となり元々税率は低くなりますが、6,000万円以下の部分についてはさらに低くなります。

6,000万円以下の部分の税額の計算式は

譲渡所得×14.21%(所得税10%+住民税4%+復興特別所得税0.21%)」です。

ちなみに、6,000万円を超えた部分に関する税率は20.315%です。

軽減税率適用の主な要件

  • 売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えている
  • 他の特例とは同時に適用できない(居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例との併用は可)
  • 売った年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと
  • 親子や夫婦などに売ったものでないこと

2つの特例は併用できるというのがとても大きなポイントです。たとえばマイホームの売却による利益が8,000万円の場合、3,000万円の特別控除を適用する5,000万円になり、5,000万円は6,000万円以下なので、5,000万円に対してかけられる税率は14.21%になります。

5,000万円×14.21%=710万5千円 が売却利益に対して支払う所得税と住民税の合計になります。

ただ、特例2は住宅ローン減税とは併用できないので注意が必要です。詳しくは国税庁のHPをご覧ください。

住み替え時の税金の特例③:特定のマイホームを買い換えたとき

マイホームを、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却し、元の住宅を売却した価格よりも高い価格の家に買いかえた場合、元の住宅の売却によって生まれた利益に対する課税を、新居の売却時まで延長できる特例があります。税金が安くなるわけではありませんが、後回しにできるのでとても効果があります。

これは3,000万円特別控除や軽減税率の特例とは併用できないのでご注意ください。詳しくは国税庁のHPをご覧ください。

売却して損失が出た場合の特例

大きな計算機を持つ女性

所得税や住民税は、利益に対してかけられるので、不動産を売却して損失が出れば税金はかかりません。通常は、不動産による損失は、事業所得や給与所得とは別で計算されるため、事業所得や給与所得に対しては通常の税金がかかります。

しかし、一定の要件を満たす場合、不動産での損失を事業所得や給与所得に充当する損益通算が可能になり、税金が抑えられます。損益通算を行ってもなお控除しきれない損失の金額については、その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができます(合計4年間)。

その要件とは売却の年の1月1日における所有期間が5年を超える長期譲渡所得であること。これが不動産を売却して損失が出た場合の基本ルールとなります。以下に紹介する特例も長期譲渡所得であることが条件になっています。

住み替え時の税金の特例④:特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除

これは住宅ローンが残っている物件を売却して損失が出たときに使える特例です。つまり、住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る金額で売却した場合の特例となります。

損失を給与所得や事業所得と損益通算ができ、控除しきれなかった場合は翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができます(合計4年間)。

たとえば、会社員で給与所得がある場合、税金は自動的に差し引かれていますが、譲渡損失を申告することで天引きされた税金が返ってくるということです。この特例は住み替えなくても適用できます。詳しくは国税庁のHPをご覧ください。

主な要件

  • 住宅の売却日の前日で、住宅ローンの返済期間が10年以上残っていること
  • 住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること

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住み替え時の税金の特例⑤:マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

住み替えで損失が生まれた場合も、損益通算が可能です。こちらも一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得などから控除でき、控除しきれなければ翌年以後3年にわたって控除することができます。詳しくは国税庁のHPをご覧ください。

主な要件

  • 買い替えた住宅の床面積が50㎡以上であること
  • 買い替えた住宅について10年以上の住宅ローンを組むこと

住み替え時、税金の特例を使うのなら確定申告を

女性 

この記事では以下の内容を紹介しました。

住宅の売却や住み替えにあたって、お得な特例が豊富に用意されています。しかし、適用には確定申告が必要で、自動的に適用されるわけではないので知識として身につけておくことが重要です。売却時には税金の相談もできる不動産会社と協力して売却に臨むのがおすすめです。

監修者:鈴木 良紀

監修 鈴木

経歴:東京理科大学卒業。大手ゼネコン、ディベロッパー、不動産ファンドを経て、(株)ウィルゲイツインベストメントの創業メンバー。不動産、法律に広範な知識を有し様々なアセットのソリューションにアプローチ。保有資格:宅地建物取引士、ビル経営管理士、一級土木施工管理士、測量士補。執筆活動:投資僧